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おもに劇団⭐︎新感線まわりの怪文章を投げています

まっすぐな月の光 髑髏城の七人月〜上弦の月〜 後期公演感想

えーーーー!!!!!!?????????
髑髏城の七人月 上弦の月 めっちゃくちゃに面白いしめっちゃくちゃに良いよーーーー!!!!!!!!!!
 
私は上弦のオタクだけど、でも上弦正直勧めづらくて。
私は好きなんだけど……好きな役者が特にいなければ下弦のほうがいいかな…と日和ってしまってたとこあるんだけど、今なら「上弦!!上弦見てください!!下弦ももちろん見てほしいのでとりあえず1回ずつ!!」という気持ちで山から降りて野を駆け回れる。
この終盤ではもう、それも難しいんですけどね。みんな!ゲキシネの時はよろしく!
 
最終回みたいになっちゃうから終わるまではちゃんと書かないけど。
最初はほんと、不安で。月髑髏不安要素多いけど下弦より圧倒的に上弦が不安で、大丈夫かなこれ、ちゃんと幕は開くんかな……って怯えながら初日に向かったし、初日見たときは「お、おう…………」ってテンションにもわりとね、なったんだけど……今はすごく上弦が好きだし、一人でも多くの人に上弦を見てほしいな〜と思っているので、すごく幸せです。序盤のハラハラする上弦を見守れたことも含めて、すごく幸せな体験をさせてもらいました。もらいまし…もらってます!!まだ終わってない!!まだ続く!!
 
捨之介の項目でも書くんですが、ここにきて上弦髑髏という作品がものすごくストレートになってきたと感じます。
最初は下弦大正解なのに上弦混沌としてんな…みたいに思ってたんですけど、今となっては、髑髏城の七人としては下弦が正しさに近い。髑髏城の七人月としては上弦が正しさに近い。という気持ちだなぁ。月髑髏という作品が、親切なように見えて実は落とし穴がものすごく多くて、ボコボコの穴があちこちに開いている髑髏なので、そのデコボコに添う力は上弦のほうがやや強い気がしています。
 
なので、上弦は変わらず歪だけど、その歪さこそが月髑髏本来の姿なんだなーって。
花鳥風とくらべて相互不理解の色が強くて、青春の過ち、痛み、苦しみの要素が強いけど、ワカドクロから始まった捨天別役髑髏城がいったんこの月で幕を引くのは、ちょっと感慨深い気がしちゃいますね。
月がワカドクロのブラッシュアップかっていうと違って(やっぱその役割は花のものだと思う)、これは新しい月髑髏というお芝居なんだけど、大団円!って形で終わらないところもまた髑髏城らしいというか。
やっぱある程度観た人間の心を荒野にしてほしい。楽しく苦しみたいし、つらいよ〜〜!!!って泣きながらチケ増やしたい。そういう需要に応えていただきありがとうございましたーーー!!!いっぱいいっぱい苦しみましたこれからもまだまだ苦しみますーー!!!!
 
拗れたオタクが勝手に苦しんでるのは、本当に勝手にやってることなので「いや別に苦しくないよ」「楽しかっただけだよ」という皆様にはその感性を大事にしてほしい。
苦しみを楽しんでしまうオタクですみません……髑髏胃痛、めちゃくちゃ楽しいです……。
 
 
■捨之介
福士捨 宮野捨見たあとだとやっぱりめっちゃ爽やか。すだちの匂いがする。
なのに宮野捨が言わされてない下ネタ言わされてるんだからここはなんなの?この荒野何?怖い……やめてふくしくんをこれ以上そんな……極控えてんのに研音に怒られたくないんだよこっちは!!!!!!(春の研音&準劇団員祭り 極髑髏)
 
正直ねぇ月始まったときはねえ、「やっぱ捨って年齢重ねた人間やる役だしなあ…」という思いがぬぐえなかったんですが、ここにきて「月の捨は福士くんのほうがすっと嵌るかもしれん…」という気持ちになってきたので、本当に自分としてもびっくりです。
 
最初の感想からずっと言ってるんですが、月捨はすごくかたちが歪なんですよ。まっすぐで、善で、正義で、だけど独りよがり。天魔王に敗北して初めて、天と蘭が見ていた地獄を理解する。這い上がる瞬間で本編が終了するという、見ててすごくハラハラしてしまうタイプの捨。わたしは捨のことが大好きなんだけど、やっぱり月捨って、歴代の捨に比べると自己主張が強くて勝手で独善的だなと思っちゃうんですよね。天魔のことも蘭のことも、わかろうとしたんだろうけど理解できてなくって、それで天を追い詰めてしまうわけだから。捨がもうちょっといろいろな視点からものを考えてくれたら、他ならぬ捨自身が傷つかずに済んだのになって、悲しい。
 
そういういびつな捨だけど、福士くんのような若い人が演じていると「若いもんなぁ…わかんないよな」って気持ちになる。回りを完全に見ることができなくても、完全に他人を理解できなくても、しょうがないよ若いんだもん。月捨においては「若さ」がキャラとしての説得力に繋がる場面もあるんだな、っていうのが私の後期月髑髏を見ていていちばん大きな気付きかもしれない。(もちろん下弦は下弦で大好き!)
 
若い頃のぎらぎらした、理想を追い求めて自分の物差しで世界を測ってしまう危うさが、月捨の歪さと噛み合ってしっくり来るようになってきて。最初はいっぱい不安な点があったけれども、福士くんにしかできない捨がきちんと出てきてくれて嬉しいです。爽やかだけど儚げな笑みとか、翳りを感じさせる事が多かったんだけど、最近はか細いけれどもまっすぐ伸びている月光、という印象かな。ちょっと不器用に見える捨だからこそ、最後の笑顔に嘘がないと思えてほっとする。
 
上弦の捨はね、自分が「過去にとらわれている」ということにどっかで気づいていたと思うな。とらわれているとわかっていても、俺は大丈夫なんだ、だから天と蘭を助けてやらなきゃいけないんだ、って言い聞かせながら闇雲に世捨て人を演じようとしていた人に思える。やっぱりそのへんは、小栗捨に近いと思うんだけど…福士捨は小栗捨ほど取り繕うこともうまくなくって、がんばってほころびを繕いながら、なんとか傘の役割をはたそうとしていた人に見える。
だから「お前みたいな向こう見ずが」って霧丸に言うの、誰と重ねて言ってるんだろうな〜ってずっと思ってたけど、やっぱり自分、なのかな。と今は思います。霧丸の姿を通して、いまとらわれている自分の姿を見ていたのかもしれないなあ。上弦においては「昨日に向かっているんじゃ意味がない」も、霧丸にってだけじゃなくって自分に言い聞かせていた言葉なのかも。
 
上弦捨は終盤のギアのかけ方がすごく好みなんだよなぁ。叫びに、思いに混じりけがなくて、絶望までもがストレートで、闇のなかにすこんとまっすぐに落ちていくようにみえるんですよね。それが辛いけど、なんとなくどこかに爽快感もあるかな。どこかで気持ちのよい負け方、というか…謎な感覚なんですけど、あって然るべき敗北に見えます。
ほら全国大会で優勝するには一年の大会のとき地区本選で敗北しといたほうが盛り上がったりするじゃん!?そういう感じ!!
 
天魔が飛び降りたあと、下弦捨は呆然と立ち尽くしてから後ろにふらふらとよろめき、座り込んでしまったんですけど、上弦は天の落ちていった先へとふらふら歩いていって、霧丸に止められるんですよね。上弦捨は、どこかで鎧を剥がしたあとの結末を予期していた気がします。下弦よりも上弦のほうが、捨から天への理解度合いは高い気がするんですよね。それでもこのまま天魔王をやらせているよりは、鎧を剥がして訴えかけるほうが人の男を取り戻せる確率は高い、と考えていた、、とか……うーん、まぁこのあたりは完全に根拠無し妄想ですが。
 
とにかく彼は「天魔王」ではなく「人の男」と、仮面も鎧もない姿で相まみえて、話がしたかったんだと思います。だからわざわざ、鎧を斬る剣をこしらえた。その鎧さえ取り払えば、昔みたいに話ができるんじゃないかと思っていた……。
彼は天魔のことも、蘭のことも、好きだからこそ過去のしがらみに囚われていてほしくなくって、でもその彼らからすると「しがらみに囚われている」ことこそ生きる意味を見いだせる最後の拠り所だったわけなので、つれえ…ほんとつれえなぁ……。
 
でも福士捨。もう闇ではないよ。
一時期はほんと闇に飲み込まれるんじゃないかって不安だったけど、いや今も頼りないんだけど、でも確かに光を感じるよ。
私は捨之介が最後、川を越えて光の方角へと走っていくのがものすごく好きなんですよね。蘭が「一度洗い流すしかない」と言って、そのまま囚われてしまった川。捨之介も最後のほうは川に浸かってずぶ濡れになって、囚われかけてしまうのだけど、最後にはその川を越えて乾いた大地へと戻っていく。花鳥風月通してすごく好きだな〜と思うシーンなんです。
 
あと、研音に怒られるのは怖いけど……でも……
鴈鉄斎と最近仲良しなの、めーーっちゃか〜わいい!
アドリブ対応とかできるのかな…大丈夫かな…って思ってたけど、返しの方向性が予想外すぎて「なにが出てくるかわからんパンドラの箱」を毎日パカパカされてる気分になる。新感線の舞台でこんなド天然アドリブを見ることになるとは思ってなかった……ありがとうカワイイよ…。
 
下ネタを言うようになったのは(最近止められたぽいけど)別にいいんだけど、いいんだけどなんかちょっと寂しさはある。ちょっと前までnon-noのグラビアで「彼女は大学のころいたけど、その子と別れてからはなんもないです笑 けっこう引きずるタイプなんで笑」ってインタビューに答えてた上弦捨はもういないんだ……下弦捨にキャバクラ連れていかれたらいっしょに行っちゃうんだ…うっ嫌だ…嫌だ上弦捨ピュアなままでいて……もう手遅れ……
 
果たしてあと一週間 研音に捨之介を取り上げられないまま駆け抜けられるのか!?
 
■天魔王
上弦天魔王はオタクの情緒を捏ねてちぎって投げるのがうますぎるので、捏ねられてちぎられて投げられてる……。こんなん無理…こんなん無理じゃん…って毎回泣いている。
 
上弦はじまった時は、なんて拗れた解釈の天魔王出してきたんだよ…って思ったんだけど、月での変更点を鑑みれば、逆に?王道の解釈だったのかもしれないな、とこの時期になって思えてきました。戯曲上の姿を追いかけてても、他の天魔と比べてさらに粘度が高いようなきがするんですよね。月天、あ。
 
もうなんかね〜上弦天魔王のテーマ「愛」なんだよな。愛でしかないんだよ!!
月髑髏上弦天魔王 今年のテーマは「愛」です!!!!よろしくお願いします!!!!
 
彼は国盗りとか天下とか戦乱とかは正直どうでもいいんですよね。ただ、天としての信長が為していたことだから、その再現として天をやり遂げようと頑張ってるだけで。彼にとって、自分が「天」であること以外、愛した人と添い遂げる方法はないんですよ。蘭と違って、もしその人が生きていたとしても添い遂げられやしないんですよ。だから「自分が天だ」ってことを拠り所にして、生きることしかできなかった。
 
蘭への口移しも、これまでは「天魔に一方的に与えられた酒を飲み、蘭が堕ちる」という描写だったんですけど、今回においては天魔王にとってもあの口移しは大きな意味を持つ、己にとっての儀式だったんじゃないかと感じます。
そもそも、あの口移しってモロにイエスキリストの「最後の晩餐」なんですけど(この酒はわたしの血なので、この血を飲むときあなたのなかにもわたしの血が流れますよ、って言ってワインを分けあたえたアレですね)。天魔王たちは、まさしくイエス・キリストの立場からあの酒を分け与えてると思うんですよ。死した信長の復活した肉体が自分である、という意識で。
 
例えばこれはワカ天もそうだと思っているんだけど、「蘭を手に入れることも含めて織田信長」だと思ってるのが上弦天な気がしていて。あの口移しによって蘭を手に入れ、そこで初めて自身も完全な天魔王となれる、という天魔王にとっての儀式の側面があるように思えてならないんですよね。ただ、上弦天魔にとっては、蘭は愛した人の忘れ形見でもあって、憎らしくもあるけれど愛した人の愛したものだから……「蘭を愛した信長ごと己の身の内に取り込む」儀式だったのかもしれない。
最近の上弦天魔は蘭を愛してるんだなと感じます。蘭に勝てないということをわかっていて、それでも、信長が蘭を愛していたことは事実だから……愛しているのも嘘じゃないんじゃないかな。憎いのも本心だろうけど。
 
愛しているからこそ憎らしい、みたいな像ともまた、違うとは思うんですよね。
蘭のことを愛している。でも、愛してるからといって生きていてほしいわけではない。なんじゃないかな。
信長を手にかけたのも(たぶん上弦は手にかけてると思います)そうだと思うと納得いく。天魔にとって、愛していること=生きて傍にいてくれること。ではない。むしろ天魔は信長のために「死にたかった」んじゃないかな。だから嘘の遺言でも「死ねと言われた」と言ってみせる。
「自分のために死んでくれること」が究極の愛だと思っていて、だからこそ生駒に死を選ばせて喜んじゃう。そういう天魔王なのかも、という気がしています。
 
「殿はお前に生きろといい」のあとにひと呼吸置いてから「わたしに死ねといった」って言うんだけど、その時の表情が…ものすごく苦しそうで、そうだよね…そこからは嘘だもんね…って辛くなってしまった。
上弦天魔王。殿を本当に愛しているけれども、愛しているからこそ蘭にかなわないことを知っていて、その冷静さがアンバランスで、とても苦しい。
 
「所詮お前も天はつかめない」と言って蘭の息の根を止める天魔王だけど、天魔王にとって「天」とは唯一天魔が望めるものだったんだよなぁ……。蘭や捨に与えられなくて、天に与えられていたものって「人の男」ってポジションで、それこそあとひとつ横棒があれば「天」に届くわけで……だから、あの人の「心」は手に入らずとも、「天」だけは自分のものだと思いたかったんだろう。
上弦天魔に関しては、やっぱり天魔というより「蘭兵衛」に近しい気がしちゃいますね。愛する人への情炎に狂って堕ちてしまった憐れな子。この天魔に関しては元から狂気的だったイメージがあんまりない。サバサバしてて言いたいことハッキリ言う蘭とは対照的な、大人しくて内気な子だったんじゃないかとさえ感じる。それが信長晩年で爆発しちゃったのかなーって……。
 
さんざんバブだのガラガラが必要だのなんだの言ってますけど、最近首がすわってあんよが上手になったので普通に怖くて怖いです。早乙女天魔、挙動が読めないから何するかわからないし、最近声を使い分けて人の恐怖をくすぐってくるようになったのでこえーよ!!!って思ってる。
メイクが序盤に比べてかなり美人寄り…というか「君…初日と顔ちがくない??????」過ぎて、オペラで見るとハワワワワワ…となってしまうんですが、メイク班じゃないので細かい変化とかはなんもわかんないです!!
私のお化粧レポ「化粧してた」「肌白かった」「まつげ長い」「なんか塗ってる」で終わる。推しの化粧うますぎてそろそろ「シューウエムラの専属モデルあるで!」って思い込んでます。は〜髑髏城と化粧ブランドコラボしないかな〜ひろせ蘭プロデュース無界の女の血リップ!地の男の泥パック!早乙女天魔のバシバシ睫毛マスカラ!
そんなもん買う金と心の余裕あったら登城するので大丈夫です。ありがとうございました。
 
でもホント後半でスパートかけてきて、私としてもやっと「これだーーっ!!!」と思える上弦天魔王に出会えました。今までずっと、何かやりたそう、まだ仕掛けたそう、探ってそう…と感じることが多かったので、推しの本気の本気がガンガン繰り出されてる光景に涙を禁じえません。ありがとう…こんな最高の推しに課金できる環境……
どうせ私が「最高!!!!これが正解じゃん!!!」って思ったとしても「ざんね〜ん!まだまだ途中でしたーっ!」って違う芝居を見せてくるのが推しなんで、楽まで油断せず心臓は予備の分も持って登城していきたいと思います。
 
■蘭兵衛
髑髏城の七人月~みうらんべが最高の月~絶好調すぎる。
「私の趣味に合う」という点で…最高で…好きで…クセは強いと思うんだけど…私は…たまらなく…無理…好き…
その蘭、百点!!!!百点満点中でな!!!!
 
私(太一オタク)と知り合いの髑髏オタク(太一オタク)とで見に行くこと多いんですけど。
一幕終わったあと「みうらんべヤバくない?」「知ってたけどヤバい」「どんどん好きになる…」って脳トロトロな会話をして、そのまま休憩時間みうらんべ…良い…みたいな話しかできなくて…私たちは何のオタクなんだ……(蘭兵衛という概念のオタク)
とにかく、そのぐらい良いです。大好き。

そもそも「顔きれいゴリラが大好き」という性癖にワカ蘭が刺さって髑髏城ズブズブ蘭兵衛ズブズブだった私なので、オラオラゴリラのみう蘭を好きにならないという選択肢がないんですよね。あんまりゴリラゴリラ言うのもな…私が記憶のなかでゴリラにしすぎかもしれない…と思って見に行ったら、兵庫にビンタし返されてキレて三連ビンタかましたうえに、まだビンタしようとして止められていたので、そんなゴリラなことある!?と混乱しました。
いいのか!?ゴリラでいいのか!?いいんだな!よし…あなたはあなたの道を…お行きなさい…。
(さすがに神の指摘入ったのかこのあとビンタ控えめになった……)
 
前回がひどすぎたので、今回は脳死感想以外にもいろいろと言いたい。
座席ガチャ勝利回があったこともあり、めちゃくちゃ蘭をよく見れたんですが、上弦蘭は細かいところでのしぐさ・所作、伏線の置き方がうまい……。なんでそうなったのか?というのが(私視点では)わかりやすいなーと思いました。
 
なんだろ。三浦蘭ほんとに気持ちがいいんですよね。見てて気持ちがいい、っていう感じ。花鳥風月で一番見てて爽快感ある蘭かもしれない。
蘭ってよく考えたら同情の余地なしのド外道なんですけど、見てるあいだ「うわ~~;;;蘭悲しい;;かわいそう;;」みたいに思っちゃうところがあって、鳥蘭とか…すごかったから…ウルトラ被害者ヅラしてくるから「蘭~~~;;;;かわいそうだよ~~っ;;;;」ってなって、劇場出てから「いや……あいつ自分が悪いだろ!!」ってはっとしてたんですよね…。
 
かわいそうっちゃかわいそうだし、見てて辛いし悲しいし、過去にとらわれたまま打ち勝てない、っていう人間臭さ、理解できるから辛いんですよね。蘭兵衛って、アレとかコレとかビジュアルから設定までもう何もかも「オタクーーっ!!ここで死ねーーっ!!」って火炎放射器で畑を燃やしまくるレベルで強いので。蘭兵衛をぶつけられると7割のオタクは燃える(調べてないです)と思ってるので…。

でも上弦蘭は、ドーンっ!で出てきてザクザクザクッて人殺して、ウワーッて裏切って、バーンッて死んでくからあんまり辛くない(私だけかもしれないけど)、いや当然だわそりゃこうなるわ…って思って見ていられる。ていうか月は極楽がかわいそうすぎて、蘭をかわいそうと思うより先に「極楽に謝って…」って包丁持ってしまう。ので、本来持つべき憎しみをきちんと蘭に向けられる気がしてて、私は楽しいんですよね。

これ花蘭のときも思ったんですけど、ピンと硬質で落ち着き一定ある人が落ちたとき、すぐさまひっくり返ってしまうのって、私はなんか…「わかる」んだよなぁ。重たいものは落ちる。着地点がわかりやすいというか。私が下弦蘭を「理解できない」と思うのは、彼がふわふわと風に揺られて落ちていくから、その軌道・行きつく先を読みづらい、というのがあるのかもしれない。
それは良しあしではなくって、ほんとに好みの世界で…でも私は…バカ……なのでみう蘭…わかりやすくて好きですね…。下弦蘭のほうがわかりやすいって人もいるだろうし、なんなら上弦蘭クセ強いから、下弦のほうが好きという人の気持ちもとてもよくわかる。上下で一番ギャップ激しいの蘭だと思うので、すごくおもしろいですね。
 
みう蘭の好きなところ。こんなに強いのに、わりとチョロいんですわ…。
一幕で天魔に「森蘭丸」って呼びかけられて、発作でも起きたみたいに胸を抑えてよろけて、そのまま天を仰ぎながらふらふらと歩き始めるところ。あそこね…もうあそこからみう蘭、半分は落ちてるんだよね…。愛情というか、呪いに近しいんだ。無界を、大夫を大事にしていたんだろうけど、みう蘭は殿への愛というよりも、単純に「殿の下で過ごした日々」に囚われていた気がするなぁ。やっぱりこうやって見てると、アプローチは花蘭に近い気がしますね。愛というより忠義の子。もののふであることをやめられなかった子。
 
…と思っていたら口説きがめちゃくちゃエロくなっていて情愛路線に転がりはじめていた…。口説きのとき天魔のこと引き寄せたり、腕を腰に回したりしてて「下弦蘭か!!!??」って焦りました。(その前日下弦蘭見たら、あっちは逆に天魔イヤイヤ期に入ってて上弦蘭か!!??ってなった)
でもそのあとは割りといつも通りというか、あんまり一幕から乖離してない蘭に戻るので、あの口説きのときの顔は殿の前でしか見せなかった顔…なのかもしれない。上弦蘭は、天魔のことはあくまで天魔だと思っていて、信長と同一視はしてない気がするんですよね。むかしは俺ら一緒にムチャやったよな…みたいな相手かな。
 
変更点がちらほら出てきて戸惑うものの、良い方向に変わったなーと思う点、すごく多いんですよね。
「無界の里の男と女、その命」が後期からめちゃくちゃ良くなった。すごい声がピン!と通って、揺さぶられた。ああこの時までは守ろうと思っていたんだな…半分落ちてはいたけど、もう半分は本気で、みんなを守りたいと思っていたんだな……って感じた。
 
「来い 大夫」もどんどん良くなる。
満身創痍でふらつきながら、焦点のあわない目をしていた蘭が、最後に大夫を捉えて「来い」と呼びかけるのがね……辛い…辛いよね…今回の蘭と大夫、恋愛要素が消えて親子ポジションになったぶん逆にめちゃくちゃ辛くなったよ…。
 
それとそれと、細かいところの小芝居も良い。
捨が「ボーッとした男」って言われたときにほんとにちょっとだけ小首かしげるのとか、さりげない着物のさばき方とか。オラオラゴリラだけど、所作は要所要所ですごく丁寧なんですよね。ああいう仕草見ると「あ…この人森蘭丸だ……」って思うし、あれでだいぶギャップが埋まる。

初日時点ではこんなに好きになると思っていなかったんだけど、今完全に好きすぎておかしくなりそう。もうおかしくなってた。人は髑髏で何回でもおかしくなれるしオタクは蘭兵衛でいくらでも狂える。
私はみうらんべさんにビンタされたら30発ぐらいまではご褒美として受け入れる覚悟があります。
 
■霧丸
霧ちゃん……
下弦霧ちゃんは「霧ちゃん…お、おぢさんだよ〜……^^」って気持ちで見てるんですけど、上弦霧ちゃんは「霧ちゃん…霧ちゃん…霧ちゃん……( ;∀;)」って心境で見てる。
 
上弦のほうがまわりのキャストとの兼ね合いもあって霧丸の難易度あがってると思うのだけど、でも平間霧丸、めちゃくちゃ好きです。下弦は兄貴捨と子分霧ちゃんって感じでわかりやすいけど、上弦は部活の先輩福士捨と後輩の平間霧ちゃんなので。学校帰りに公園でパピコはんぶんこするんだよ。なんであんたは先に卒業すんだよって卒業式で泣くのを堪えて平間霧ちゃんが言うと、福士捨は卒業したってまた会えるだろ〜って笑うんだよ。
 
上弦捨霧、そういう感じです。(伝わらない)
 
上弦霧ちゃんの良いところ!!!成長過程がとてもわかりやすい!!
あと下弦の霧ちゃんよりちょっぴりオトナで落ち着いてる。ゆえに感情をむき出しにするシーンでのギャップが激しくて、めちゃくちゃに抱きしめてえ……という気持ちになる。
 
上弦霧ちゃんは、下弦の霧ちゃんほど感情型ではないぶん冷静なので。
もしかすると、天魔王と思わしき鎧の正体(捨之介)に気づいたときも、「酒を呑まされて操られてるんだ」って気づいてたかも、と感じますね。天と蘭の口説きにも立ち会ってるし。
「あんたも苦しんでたから」って台詞が意味深でずっと考えてたけど、捨が霧丸と同様、過去に囚われて苦しんでいることに、捨より早く気づいていたんだろうな、と今では思います。捨本人は気づいていなけれども、それでも天に覆われているんだってことを、酒に操られている姿を見て気づいたのかもしれないよね。
 
沙霧⇒霧丸になって「山の民」がめちゃくちゃ強調されたけど、これが個人的にはゲキアツなんですよ。
月の捨之介は雨雲が振らせた雨を受け止め、川にして流す「地の男」。でも、雨を濾過して川に戻す役割を担っているものってなんだ?って考えると「山」なんだよなぁ……。
そして案の定捨之介は、雨を受け止めきることができず自身まで流されかけてしまうわけで、そんな捨を受け止めて闇から掬い上げてくれた霧ちゃんが「山」の子であること、すごく意味を感じてしまう。
 
霧ちゃんがいてくれなかったら本当に捨之介は死んでしまったのだろうし、捨之介を救うのは「天魔を死に追いやってしまった捨之介の考えが救った霧丸」という存在でなければいけなかったんです。霧丸という存在は、捨之介が間違いばかりじゃなかったことを教えてくれる象徴のような存在だから。
 
霧ちゃんとかいう存在のエモさが留まるところを知らない……
でも平間霧ちゃん ムキムキすぎて福士捨よりたくましいので筋肉で天魔王殺害ワンチャンあったと思うんだよね。天魔王は強いかもしれないがたぶん百発ぐらい殴れば死んだと思うので、みうらんと結託して右と左から同時にボコればよかったんじゃないかな……
 
上弦の私は天魔王のオタクです。
 
■兵庫
初日から後期公演にかけて、一番進化したのはやっぱり須賀兵庫だと思います。
上弦がかなり見やすくなったのも、大部分はこの人のおかげな気がするなぁ。何回も言ってるけど、兵庫がしっかりしてるかどうかで髑髏城というお芝居の強度が変わるので。
 
「お前が雑魚だと思ってる連中の力、見せてやろうじゃねえか!」で拍手起きるようになったの、すごいですね。でもわかるな。下弦はもっと渋いんですけど、上弦の兵庫の滾るような叫びはテンションあがるし、そうだ見せてやれーっ!って気持ちになるよね。若い須賀兵庫だからこそぶち上げられるポイントだなぁ。
 
須賀くん兵庫と高田さん極楽だと、かなり年の差開いてる印象で下弦よりきつくない!?って思うんだけど、須賀くんがほんっとーーに太夫のこと大好きなんだなぁ、って一生懸命さでいてくれるから、違和感を覚えたことはないなぁ。聖子太夫に女としてというより人間として惚れて、すごく尊敬しているんだと思う。
「日ノ本一の綺麗な背中だ 見失うわけねぇ」がね……とても好き。須賀兵庫は太夫の「背中」を見てきたんですよ。いろいろな、綺麗じゃないものも背負ってきた太夫の苦しみ悲しみ、過去ごと肯定して尊敬している。そのうえで「愛している」と感じている。ものすごく深い愛だよ……絶対太夫を幸せにしてくれる……。
 
序盤は歴代兵庫に似通った部分が多かっただけど、今では本当にきっちり須賀くんの兵庫だし、須賀兵庫めちゃくちゃ愛しいです。ゴム鞠のように跳ね続けてるんで大丈夫か!?wwwと思うけど。
 
しかし、あまりに子犬属性なので下弦の霧ちゃんと並べたら確実にどうぶつ奇想天外みたいになる
上弦荒武者隊子犬の集まりすぎる……うわ〜〜んやめてやめて天魔王;;;子犬に酷いことしないで;;;;;生類憐れみの令生類憐れみの令〜〜〜;;;
 
■極楽
えーーー……もうね……大好き……。
わたし、月髑髏最大の収穫は、個人的にはこの「聖子太夫」ですよってぐらい大好き…………。
聖子さん、悪役も合うんだけどこういう情の深い役やってらっしゃる時の懐の広さというか、度量の深さというか……唯一無二でほんとうにほんとうに好きなんですよ。
 
下弦太夫が「女」を演じつづける人だったのに対して、上弦太夫は最初から「女」として見られることは半分捨ててるというか、もう若い子にそういうの譲ったから!ってテンションでいるけど、めちゃくちゃに生き方が美しいんですよね。顔見世で歓迎されてるのも、老舗クラブの名物ママさんみたいな、常連ウケがすごく良い印象。無界すべてのカーチャンポジションなんじゃないかな。
 
自分も悲しい思いをしてきているのに、それを隠して気丈に振る舞い続けていて、でも無界ガールズのことはものすごく気遣っているんですよ。兵庫のことはホントに「変なこと言うヤツやなぁ〜」ぐらいに思ってそうだよね。今更、自分みたいなのに本気にならなくたって若い子がいるじゃないか、って。
 
でも私は兵庫の気持ちわかるよー!!上弦極楽、あっけらかんとしているからこそ時々見せる悲しい表情が胸に刺さるもん。
無界襲撃で蘭兵衛に一発撃ち込んで、失敗してその場に崩れ落ちるシーンがとてつもなく苦しくて、大好きなんです。ここで蘭兵衛に殺されるならそれもそれだと、絶望して受け入れてしまっている
 
一幕終わりに極楽は「本音を言うならその因果は私で消したい」って歌っているんですけれども、奇しくも蘭兵衛が「因果を断ち切る」ために手にかけたのは極楽以外の女たちであったわけで。上弦極楽は、自分を斬ることによって蘭が幸せになれるなら、自分の身を差し出せたと思うんです。ところが、極楽がそう送り出したせいで、娘みたいにかわいがっていた無界の女の子たちが死んでしまって、自分だけが生き延びて……月髑髏の「無事か?」「私だけはね」は、とくべつ重みがある。
 
あんなに愉快であっけらかんとした人でも、死ぬほど絶望して立ち上がれなくなって死のうとしてしまうんだ。そう思うとすごく苦しい。月髑髏のキャラは全体的に、他の髑髏よりも脆いように思えるのだけれども、人生経験が豊富で年をある程度重ねている極楽が脆いのは、胸が痛くなる。
 
だから最後に生きるよ!って強く宣言してくれるの、すごく嬉しいよ。月髑髏、特に上弦は若さゆえの過ちがテーマとして濃いんですが、そんななかで一番最後に立ち上がるのが大人の極楽太夫、という構図、とても好きです。
無界の里に境はないのだ……年齢の境もな……
 
 
その他キャストの感想も書きたいのですが、あとは終わってからになりそう。
自分は上弦、残り2公演(足せたら3公演になりそうです)になっちゃいました。まさかこんな通うとは思っていなかったので財布大爆死炎上!!!極髑髏を前にしてここが本能寺!!!なんですけど……悔いはないし、どちらかというと「もっと見たいなぁ」って気持ちのほうが強い。
 
最初のほうは捨天蘭の関係性がよくわからん…と思っていたのですが、中の人年齢を考慮すると蘭>天捨 みたいな感じなのかもしれないですよね。天も捨も子どもすぎて、どちらが大人になることもできずにわかりあえないまま終わってしまった。蘭は二人からは一歩引いた場所にいるけど、彼は逆に子どもみたいに幼く振る舞うことはできなかったからこそ、言えないことが多すぎてああなっちゃったようにも感じますね。
 
前にも書きましたが、月戯曲二幕タイトルがほんとうに「ああ…これが月のテーマなんだ」って感じる、凄まじいブツなんですけど。あのテーマ性を如実に表しているのは、どちらかというと上弦のほうに感じる。あのタイトルひとつでいくらでも妄想できる…カズキナカジマやはり天才…という代物なのでまだの人早く戯曲買って見て私と一緒に泣いて。
私は電車のなかでぺらっと捲って目に入って、無理すぎて泣いて暴れました。帰宅後の、自宅の布団の上で。(家まで暴れるの我慢して偉いなぁ〜〜!!)
 
ほんとにほんとに月髑髏終わってほしくないよ……と毎日めそめそしているんですけど……
そんな時極のビジュアルを見ると
 
「わたし 一ヶ月後はこの天海さんに心も財布も抱かれてんだろうな……」
 
という予想がつきすぎるので悲観しないようにしてます。もう財布とか残高みたいな概念忘れたので。過ぎたる我が身の忘八稼業(ステアラ通い)……粋じゃねえよな……オタクだから仕方ないんだわ……。
 
でもロスに陥るのは確定している。
ので、早くゲキシネやって!!!!!!バ◯ト9のゲキシネカフェで虚無しか感じられないコラボメニュー出して!!
5万円ぐらいしても問題ないので花鳥風月極BOX出して!!!!!!!!!!!!
2.5系だとキャラ追いかけるカメラあったりするって聞いて嫉妬に狂ったから捨天蘭だけでも追いかけカメラ出して!!!!!!!
 
口説きのときいつも天蘭見ちゃうので、そこだけポカーン…としてる霧ちゃんカメラもお願いします。
 
霧ちゃん、ほんと変なモン見せてごめんな。あと数公演耐えてくれ。

「推しの情報少ないほうが楽しいオタク」という生き物

こんばんは。どうでもいい話から入ると最近ブログで文章打つのって小説書くのより手軽で楽しくない?って気づいて小説(二次創作)に対するモチベが落ちています。
いいですねブログ。小説は「なんでこんな思いして下手くそな文章打ち続けてんだろうな」って鬱になりながら書いてたけど、ブログって脳味噌垂れ流し!推敲無し!文章力も語彙力も詩的表現もくそくらえドーンバーン!みたいな。文章打ってるだけで楽しいという感覚を久々に思い出した。ありがとう。
 
どうでもいい話ここまで。
ここからもどうでもいい話です。
 
最近推し舞台(推しが出ている舞台&その舞台自体が推しと呼べるほど好きな演目)の宣伝をするため、人里に降りてきて所構わず銅鑼を打ち鳴らして回っています。いや別に。宣伝しないとまずいほどチケ売れてないわけでもないんだけど。ただ単に舞台が最高すぎて見てほしいので、朝から晩まで騒いでいます。
 
そんなこんなで、最近設置した質問箱にも、舞台のオタクからのご質問?ご意見?を頂くことが多い。
最近来たなかで「ホア…」って一番なったのこれ。
 
この間まで太一蘭推しだった髑髏党仲間が、ここに来てみんな廣瀬蘭に口説き落とされていて困っています。(特に廣瀬氏のブログが効いてる模様) もづさんの考える、廣瀬蘭のよさや魅力を教えてください。
(質問者様勝手に引用してしまってごめんなさい)
 
ブログが効いている……
ブログが効いている!!!!!!!!!????????????
 
その時オタクに衝撃走る。なにそれ異次元。でも言われてみりゃ「いやそりゃいるわ」の響き。
 
それで私も気づいたんですよ。
「もしかしてみんな…推しの近況を追いかけられる環境…好き!?」
 
いまわたし髑髏城の七人花鳥風月追いかけてるんですけど
season月から若手のいわゆる2.5系と言われる俳優さんたちが入ってきて、びっくりしたことがある。
ブログとかツイッターめっちゃ更新する。毎日してる。ほんとに毎日。嘘でしょ。ただ座ってボーッと見てただけの私でも疲れた〜って思いながら帰ってきてるのに。2.5系の子たちブログかツイッター更新するまで気持ちよく眠れないのかなってレベルで絶対更新するんだもん。すごいよ。鈴木拡樹くんとかもうこれ以上人格がきれいなところを見せないでほしいって思う密度のツイートが毎晩クール便でTLに届く。
 
もしも私が鈴木拡樹くんで、髑髏城ツーステやったあとツイッター更新しろって言われたら多分こんな感じ。
 
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もうむり
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いやーーーすごい すごいわ……体力じゃなくて気力勝負だよね。そもそも私だったら「この☆いらなくない?」みたいになって3日で「もうむり」だけ呟くようになると思う……。
 
無精者オタク。ブログは回ってきてもほぼ読まないので、定期的に目に入るのは鈴木拡樹くんなんですけど、冒頭の廣瀬くんや、宮野さんも毎日のようにブログ更新してるみたいですごい。
ほんと…すごいよ。すごいですよそのマメさとファンサービス精神。ほんとすごいんで、そういうところに惚れてるオタクのみなさんはガンガン誇ってほしい。「うちの推しめっちゃマメですよ」って。
 
そう。すごいと思うし本当に素晴らしいことだと思う。
 
なのに私、この推し情報洪水をもたらす俳優勢を見ていると「推しの情報量少なくて良かった」と安心してしまう。
 
考えてみると、私推しのことなんも知らないままだわ……。
推しの誕生日も覚えてない。多分九月。みたいなレベル。
推しの身長体重?とか(そもそも出てるのかな)公式プロフィールも覚えてない。
年齢もぶっちゃけ怪しい。(いま何歳かはわかるけど、何歳のとき何やって〜みたいなの覚えてない)
お米が大好きなことは知ってる。
 
単に私が記憶力がない説!ある!と思うんですけど、ほんとにね…あの…興味がない…びっくりするぐらい興味がない。
誕生日来たら「あっ誕生日かーーっ!」ってなって「生まれてきてくれてありがとーーーっ!!!」ってなるし、身長体重も聞いたら「え〜すご 神の意図を感じるな」みたいになるんだけど、推しにまつわる情報すべて素晴らしいから情報の細部まで見てない。
 
推しのことは舞台を見て射抜かれて好きになってしまって、当時男性の芸能人を好きになるという経験をしたことがなかった自分は「男の芸能人ってどうやって好きになるの」と混乱しながら推しの名前でサーチかけたり、オフィシャルサイト見たり、まぁそういうことしてたんですけど。将来の夢はペガサスだったとかそういう、「え!?」って情報がぽつ…ぽつ…と落ちてくるだけで、推し自身から落ちてくる推しの情報がぜんぜんなかったんですよね。 
FC会報とか舞台パンフとか、然るべき場所見ればしゃべってるけど。でもやっぱ推し、情報量少ねえ!!ってなった。
 
ところがどっこい私はそれでよかったんですよね。
推しの情報量少ないの気づいて、逆にほっとした。
 
推し、舞台のうえで情報量が多いので。私は頭のキャパシティ小さくて、舞台の上の推し(あるいはテレビや映画でお芝居をする推し)で手一杯なんで。推し自身の言葉とか、聞きたくないわけじゃないんだけど……聞けたら普通に嬉しいんだけど、それって本当に推しの原液だから、あんまりちょくちょく触れてしまうと恐れ多いんだよね……。
 
「お前それは推しじゃないよ」「オタクじゃないよ」って言われたら、まぁそうかも…とはなる。
でも……やっぱり推しが好きだし、推しの芝居を舞台のうえで観るとただでさえ壊れかけの脳がぶっ壊れてしまって「好き」「本当にありがとう」「こんなに美しくて石油王に攫われないか心配」などと言う機械になってしまうんですよね。(今はもう石油王に攫われないと思っています)
 
だから自分みたいなキャパ狭オタクにとって、推しはすごく相性が良い推しなんだなって思う。
 
推し…
ブログ更新しなさすぎて、最後のほう一言だけになって、2015年で更新止まってるのとか…ほんと好きで……
でも推しのそういうとこ好きって話しても他の人に推しの良さが伝わるわけではないかなって 理解はしてるので…
 
他の人はどう思うかわからないけど、私はたまらなく好き……。
ある種「推しの情報量が少ない」という「推しの情報」を愛しているのかもしれないですね。
 
余談ですけど、推しの情報が少ないと、たまに来るパンチの利いた情報で脳を適度に揺さぶれるのが楽しい。
 
私の推しまわりの、私のなかで好きな事件は「スリッパ事件」なんですけど。
ある日、推し出演舞台の演出家さんが、ブログに推しの話を書いてくださったんですよね。
内容を要約すると
 
すごい立ち回りや踊りモリモリ舞台の稽古にもかかわらず、推しがスリッパでやってくる。
足元が悪いだろうに、その稽古を当然のようにこなす。
 
……まあ、こんな感じの内容で。
なんでスリッパだったのか、実はわたしは知らない(遠征舞台だったもんで、その答えが掲載されてるらしいパンフ購入に出遅れた)んだけど、当時推し界隈のツイッター(私は僻地なので推し界隈の全容はまったく知らないです)はにわかに湧いた。
やだ〜スリッパで平然と稽古する推し。現実味がある〜。なんでスリッパなのかわからんところも推しっぽさがある〜。みたいな。当時の記憶曖昧なので多分ちょっともしくはだいぶ違います。ごめんね。
 
ていうか界隈っていうか、界隈は嘘。主語を縮めます。私が湧いた。
私の脳に「推し」「スリッパ」という情報がものすごい濃度で迫ってきて、突き刺さった。
頭がおかしくなった私は、推しを知らんひとも見てるツイッター「推し!!スリッパ!!」ともう要領を得ない興奮してたわけで。したらば当然のように、周りはこの推しスリッパ事件の詳細なんて知らないわけで。でも私、まわりが推しスリッパ事件の詳細知っているかどうかとかどうでもよくって。とりあえず「推しがスリッパを履いて天才なんだよ!!!」って言って回ってた。
 
推しがスリッパを履くと天才に見える。
オタクってそういう生き物でもあるのかもしれない。
 
そんなこんなで推しの情報量少ないほうがあらゆる面でいいなぁ…と思っていた自分。昨今、推しの情報量が多いほうが楽しいタイプのオタクをたくさん見て「脳のキャパが帝国劇場ぐらいあるんやろな……脳内でお弁当売ってる余裕まであるんだろうな…」「わたし…どう頑張ってもシアターサンモールぐらいしかないから…」って感動してる。
それでも私は、私なりにこれからも推しを好きなので。空の星を眺めて「星があるなぁ」「星…そこにいて天才だな」「しかも輝いてる…奇跡だ…」ぐらいのテンションで行こうと思います。
 
あのねでもね 推しね ほんとに私は推しのこと好きなんだよね。
静止しているかと思ったらエモーショナルな叫びを叩きつけてきたり、一挙一動、指先から髪の毛まで神経がめぐっているみたいに体が動いたり、目にも止まらないけど早いだけじゃなくって見せ方もわかってる殺陣とか、「殺した!いまほんとに殺した!」って思う殺し方とか、「あっいま死んだ!ほんとに死んだ!」って思う死に方とか、体重があるのかないのかわからなくなる踊りとか、和紙にぼうっと染み出してくるような独特の声とか。
他の人がどう思ってるかはわかんないし関係なくてさ、推しが好きなんだよねーーーっ!!!
元気でいてください!!!!出来る限り楽しく過ごしてください!!!!カテコ爆速帰宅はここまできたら貫いてください!!!!!
 
というわけで、そんな私の推し(早乙女太一)が出演して好き放題暴れている「髑髏城の七人の月〜ブログとかあんまり更新しない月〜」よろしくお願いします。
福士くんと三浦くんその他の皆様に風評被害をかぶせたことをお詫びします。
 
あと、同時にダブルキャストで上演している「髑髏城の七人月〜ブログとツイッター更新しまくりの月〜」もメチャ面白いので見てください。
 
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宮野真守!鈴木拡樹!廣瀬智紀!
舞台の上でも情報量がメチャ多い!
最高エンタメなのでオタクは今からでもチケットを取って!!!
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月髑髏始まってから鈴木拡樹くんにごめんなさいを言うことが多すぎてもっとちゃんと反省をしたい……。
 
鈴木くんのあまりに隙のない努力と「己の魅せ方」への追求に恐れおののいています。
絶対絶対絶対絶対今以上に売れて、あと蛮幽鬼再演のあかつきにはサジと名乗る男になって大暴れしてください。もう私には鈴木サジばんゆ〜きの「ワッツニュー!」が見えてるので、あとはチケットを買うだけです。
 
ちなみに、噂を聞いて以来こわくて廣瀬くんのブログ見てなかったんですけど、さっき初めて覗きにいきました。
いっぱい書いててすごいんだけど「このひと…あのハードな公演こなしたあと、こんなメルヘンOLのごときブログを執筆しているの…?」と思うと狐につままれた気持ちになりました。たぶん一回のブログだけで推しのブログ(廃墟)一年分の文章量があるとお見受けしました。(検証はしてないです)すごいなほんと。
 
健やかであってほしい……廣瀬くんの筆致……。

陽光と陰の物語 髑髏城の七人月〜下弦の月〜 1/8感想

ここまでのあらすじ!
わたしはNOT宮野真守のオタク!(上弦天の中の人と髑髏城という芝居のおたくをやっています)
 
再放送なんですけど宮野真守のオタクのみんな!チケットは持ったか!?行くぞ!!!!
 
宮野真守のオタクが月髑髏観ないとしたらあまりにも「最高を体験する機会の損失」すぎて私が泣いてしまうので、もしまだ観劇予定のない宮野真守のオタクがいたら絶対絶対チケット買ってほしい。もちろん、下弦に出ている全ての役者のオタクに見てほしいんだけど、やっぱり宮野真守オタクへの「見てほしさ」がぶっちぎっている……。
 
13000円!?タダだから!!!
4時間!?5秒だから!!!
市場前!?市場前は…正直荒野!!!
みんな!!水は豊洲のセブンで買って持ってこようねーーーっ!!!!
 
いやーーーーわかるんですよ……
お芝居ってお金とかタイミングの問題とか、おまけにそこでしかやってないものだから距離の問題もあって、ハードルが高いのはわかるんですよ。私もそれなりに色々なものを犠牲にして今豊洲に通っているので……。
でも、今この時、この年齢のその役者しか出せないものがあるんだ。もしかすると「見たら合わなかった」があるかもしれないんですけど、それでも強く私が勧めるのは「見なかった後悔」は「見た後悔」よりはるかに大きいと断言できるからです。
映像として残すことができても、映像は映像であって「その時やっていたお芝居」ではない。お芝居は生き物だし、情報がそこかしこに散らばっているから、都度都度私たちが「何を見るか」でまったく違ったものになってくる。
 
あなたが観るお芝居は、あなた以外の人間が観ることのできないお芝居なんですよ。
だからあなたにこのお芝居を観てほしいんですよ。
 
観て「おもしろくなかったな」の後悔は数日で忘れるけど、「観たかったな」の後悔はずーっと引きずるんです。私は髑髏城の七人2011をこの目で見られなかった後悔を数年引きずりつづけ、花髑髏くんと鳥髑髏くんに「もういいんだ…休んでいいんだよ……」と抱きしめてもらうまで髑髏のオタクとして眠れない日々を過ごしたんだ。
まあ今は月髑髏くんに「寝てる場合かオラッ!チケ増やせ!」とビンタされてるけど。
 
わたし宮野さんのオタクじゃないので、ファンの皆様方がどのようなものを求めているのか、どんな彼を見たいと思っているのかはわからないんですけど、オタクじゃない私が見て「完全に最高」「最高を超えた何か」「最高が宮野真守すぎる」と脳味噌をぐちゃぐちゃにしているので、何がなんでも見てほしい。
 
というわけで、もしこの文章を読んでいる未見のオタクがいたら、こんなブログ読んでる場合じゃないんで!!閉じて閉じて!!(ローチケを)開いて開いて!!
あっもうURL貼ったほうがいい!!??
はい!!!!はい!!!!!!はい!!!!!!!!!!!
 
(ローチケに飛びます)
(もちろんここから買っても私になんの金銭的利益も生じないから安心してください)
(チケット取ったらこのブログなんて閉じて 存在を忘れて 髑髏城への知識をシャットダウンして 知識ないほうがおもしろいから)
 
お願い!!お願いだよ!!せめてライビュ見てほしいよ!!
わたし宮野真守の回し者じゃないんで!!大丈夫なんで!!信じて!!
もうほんっとーーーに最高なんだよーーーー!!!!!!!!!
 
こんな辺境ブログ読んでるかもわからんような未見の方々に訴えまくってしまった。すべての宮野真守オタクのみなさんが髑髏城見るまで騒いでいくつもりなのでよろしくお願いします。私は宮野捨のなんなんだろうな……
 
下弦髑髏くんの感想をはじめます!!!
 
上弦観劇が続いていたので、久しぶりの下弦登城でした。
は〜…やっぱめっちゃ観やすい……上弦はもう見てる間「何が起きるんだ」ってハラハラして胃が痛いので、下弦は良い意味で安心して観れて胃腸に負担がかからない。もう私的にはリゾットレベルで優しさ感じる。下弦髑髏くんは…やさしいね……好きになっちゃうよ…嘘…もう好きになってる…ちょ〜〜好き……。
 
キャストがステアラと髑髏に慣れてきて、遊んでもいいんだ!みたいな開放感を持ってくれたのかな。前見たときよりもさらにのびのびとお芝居をしてくださっている気がしました。
 
いやーー上弦好きなんだけどさ 上弦大好きなんだけどさ
でもやっぱり、圧倒的正義 vs 圧倒的悪 胸がスッ……とするよね。
いけぇ〜〜っ!!しゅてのしゅけぇ〜〜っ!!!がんばえ〜〜〜っ!!って脳死でミラクル髑髏ライト振れちゃいそうなテンションで見てられるので、終わったあとも「あーっ捨之介天魔王倒してくれてよかったー!」みたいな感想出てくるもん。まあ数十秒後には「でも天魔王様だっていろいろ考えてたし辛かったんだよぉ…」ってべそかいちゃうんだけどね。
 
上弦はものすごく、光量が少ないんですよね。なんじゃそりゃって感じだけど、光の含有率が少なくって、みんなわずかな光を希望にして、なんとか生き抜いている気がする。でも下弦は生命力が強くて、捨も天も強烈な、違う色の光で舞台のうえに立っている。だから、上弦は「月」そのものって感じなんだけど、下弦は「太陽の裏にはいつだって月がある」みたいなイメージだな。
 
捨にとっての天魔が月でもあるし、捨のなかにも太陽と月がある。逆に霧丸みたいに、最初は光を拒絶していた子が、最終的に捨之介の光になっていくというカタルシスも、下弦のほうが強いように感じました。強烈な陽のエネルギーと、だからこそ後半で落ちる陰の濃さが引き立って、胸が苦しくなる。このコントラストが下弦の魅力だと思う。(そして上弦は、終始陰が濃いがゆえに、差し込む僅かな光が強烈に美しい瞬間があるんです)
 
二回目を見て、ああここからまだまだ、もっと良くなるんだろうなぁ、と感じたので、次がいつになるかはちょっとわからない…んですが、本当に楽しみです。下弦のことは、ガチンコ張り付きでは追いかけられなさそうで、ほんとに残念なんですけど……それでも、ちょっとずつだとしても下弦に立ち会えて、下弦を見せてもらえたことが嬉しい!
 
こんなこと言ってるけどいざ観に行ってしまうと「もうこれ以上宮野出てこないで私の脳内のローチケをアクセス過多でパンクさせるのはやめて」って呻くし今も下弦のローチケ眺めながら「は…はやく誰か買ってくれ…私が観に行っちゃうから…」って呻いてる。早く買って。私は腰をやったので医者に長時間観劇止められてるんですよ誰か俺を止めてくれ……(実話)(やめてない)(果たしてドクロイヤー終了までこの腰は持つのか!?)
 
以下、いつもどおり個別の感想です〜。今回は一部にパワー偏ってしまった……。
 
■捨之介
ちょっといい加減にね、最高以外の言葉でね、感想を書きます。
行くぞ~~~~
 
最高でした!!!!!!
 
言わずにいられるか。最高だったんだよ。最高が最高を越えて最高になってたんだよね。
まず太ももがね、太ももが主張激しい。太もものほうが自分から見られにきてる。太ももと目があう。あっ私、いま太ももにファンサもらった!!!って思う。とにかく太ももが乱舞してるしふんチラも惜しげなさすぎてふんモロじゃん!!!モロふんどしじゃん!!!って脳味噌がボロボロ。
 
みんな!太ももからファンサをもらえるのは髑髏城の七人月〜下弦の月〜だけだぞ!!!
嘘だ!風もめっちゃ太ももファンサくれてました!!
 
このまま太ももの話で5000字ぐらい書けそうなんですけどさすがにやめます。
 
1回目見た時は「捨之介という概念そのもの」ってむせび泣いたけど、今回見たら「ああ…でもこれ宮野真守の捨之介、というひとりの人間だなあ…」と強く強く感じた。
花のわざと陽気を装って自分を奮い立たせている捨とも違う。風の純朴であったかい、土の匂いの捨とも違う。よく笑いよく怒り、色とりどりの感情をたくさんたくさん見せてくれる捨之介。そこにいるだけで、場の空気がぱっと変わってしまうような魅力に溢れていて、そうだよなぁ〜〜捨の強さってこういうとこなんだよな〜って思う。純粋な腕っ節、刀さばきじゃなくって、魂の持つ魅力こそが捨の強さ。スピリチュアル案件ではないですよ!!!
 
やっぱり彼は、歴代捨に比べると善を信じすぎている明るい男だなという風に感じるんですが、救えない闇もあるということはどこかでわかっている。けれども、それに触れてしまうと自分が揺らいでしまうから、自分が揺らいでしまうと助けられるものが助けられないかもしれないから、葛藤もあるけど笑おう明るく振る舞おう、としている気がするかな。ただ花ほど自分を取り繕うというわけではなく、もう少し気楽に立ち振る舞っていると思うんですけどね。
 
信長は彼のそういう、飾らない魅力を買って「地の男」としたんだと思うんだけど、それを天魔は「天を知らない男」という風に解釈しちゃってるんだよね。でも天魔も、やっぱり捨の強さを知ってたと思うな。蘭より捨を怖がっていると思いますよ。月髑髏は捨之介と天魔王の物語だから。
 
あっでもね 二回目観たらね 弱点もあるなと思った
あのね!!!前列で観るとね!!!!!さすがに一幕がクドい!!!!!!!!笑
 
もうほんと小芝居の情報量が多くてね、顔だけじゃなくていろんな動きするから、待ってwwwやめてwwwちょっと止まってwww止ま……顔も止めてwwwww勘弁してwwwwってなる。宮野捨一回見ちゃうとずっと追いかけちゃうから!!!勘弁してほしい!!!わたし霧ちゃんのことも見たいんだよ!!!!!wwwww
10列目~以降から見るぶんには問題ないので、特に直してほしいというわけではないです!!!
 
でも、宮野捨の真骨頂は小ネタ仕込みの多い一幕より、二幕だと感じるなぁ。ネタ仕込む余裕もなくなって、肉体もやっぱり疲れてきちゃって、それでもぐらつくことなく芯を通して芝居をしてくれるので、二幕がめちゃくちゃ魅力的なんですよ。ていうか、なんなら髑髏城脱出後からが本番だと思ってる。ここまで引き絞っていた陰を一気に解放して吼える宮野捨。ここ観るたび「この五分に13000円払ってもいい」って思っちゃうんだよね……。
 
天魔王が飛び降りたあと、崩れおちて、目線はいつまでも天魔が飛び降りた先に囚われながら霧丸に引きずられていくところが、あ〜〜ここ、このシーン、このために月髑髏があるといっても過言じゃないんだよな〜〜〜……。
私は髑髏城において「変わらないものは変わらない」という残酷なメッセージを突きつけられるのがすごく好きなんですよ。
 
だってあれだけ頑張った七人も、歴史に残ることはなくって、別に七人の戦いが後世になにかを残すわけじゃないんですよね。もしあの七人が天魔王を止められなかったとしても、多分天魔は家康に倒されてたんじゃないかな。天魔はどうやっても天下は取れなかったと思う。
 
変わらなかった天魔王。変えられてしまいそうになる捨之介。物語の終盤に差し掛かって、急に物語の構図がぐるんと回転するようなあの関係性の変化は、月髑髏しか持ち得ないものだ。そしてそこから霧丸という、「変わったもの」が捨之介を止めてくれるのがね…アツすぎるよね…。おまけに月の捨之介は「名前を捨てない」。彼は己を変えられてしまいそうな巨大な陰に翻弄されても、踏みとどまって「変わらない」ことを選ぶ。宮野捨は特に、この変化の振り幅があるので翻弄されているという状態で引き立って、緊張感があるのがいいですね。緊張感からの解放と共に、本当の終わりに着地する物語の気持ちよさときたら!
 
やっぱり、髑髏城は捨之介の物語なので。
捨之介が本当にしっかりとしていて、物語のなかで己の役割をまっとうして、生きることを自分から選んでくれる下弦、捨之介オタクとして好きだなぁと思います。正直初見は「なんで天魔を殺しにきてくれなかったんだ」って辛かったし、あ、いやこれは今でも辛くて(ごめん)、私としては元に戻して欲しい気持ちはあるんだけどね、月はこれでよかったんだと思います。
 
でも宮野捨 客席にめっちゃ話しかけてくるのやめてくんない!?
無理だから!!集中できないから!!あなたなんなら話してなくても顔が話しかけてきてるから!!!!!!
 
は〜〜〜 好き!!!!
 
 
■天魔王
上弦のどぶろくみたいな天魔王見慣れてると、下弦スッキリ爽やかサラリとした梅酒でありがてえ〜〜〜っ!!!!飲める飲めるこの天魔王いくらでも飲める!!!天魔王は飲み物!!!
 
脳壊れてるので(周知の事実)、上弦天魔のこと「てんまぴゃ」と呼びがちなんですが、下弦天魔のことは「てんまお様…」と畏まってしまう。畏まっちゃわない!?あなたも私もみんな生駒!!天魔王様のために刀を首に刺して死のう!!!!こんな人間性の低い言動をオタクにさせるためにすずきひろきくんはお芝居してないと思うんだよね。ほんとごめんね。人間性が低くて…。
 
どうでもいいけど冒頭のお着換えシーンエレベーター乗り込んで出てくるみたいでフフッてなってしまう。
 
(^o^) < 天魔王様下の更衣室入りまーす!!!シュンッ
…………チーンッ
(^o^) < 天魔王様お着換え終わりましたーーーっ!
 
死のエレベーターじゃん。取り潰してどうぞ。
なぜてんまお様の感想になった瞬間急にバカが増してしまったのかわからないんですが許して。
 
上弦のバブ見たあとだと下弦天魔王様ちゃんとカリスマあってえらいしすごい。
こっちの天魔王様は、ほんと国盗りとか政治が好きそうなので、なんなら殿への愛着は上弦>鳥>>>下弦なのかもなぁ。最後まで蘭の話されたことに対して怒ってるのも、「こんな時までオンナの話!?まじめにやれよクソ!!」って思ったのかもしれない。職場恋愛とかほんとはヤなタイプなのかもしんない。そうだよね…上司と付き合ってる同期…扱いに困るよね……会社倒産で「俺の給料ちゃんとでんの!?」って思ってるときに「蘭(同期)に退職金を…」って言われたら「俺は〜〜〜!!??」ってなるよね。サビ残したのにね……。
 
いや多分そういうことではないと思う。
さすがにそういうことではないです。すみません。
 
上弦がぶっちゃけカリスマ性に欠けるので(できないからみんなやってよーー!!って投げたら周りがやってくれちゃうタイプ)、下弦天のカリスマ性・悪としてのキャラ立ちの仕方が気持ちいい。この天魔王様は二万人集めて率いて国盗りできるよね。捨天別役系列だと一番カリスマ性あるかもと思っちゃう。ほんと頭良さそう。ちゃんと手紙読むし。手紙破らないし。ぐずらないし。いやぐずるのは上弦天ちゃんがょわょわすぎる。気をしっかり。
 
すずきひろきさんほんと憑依しすぎてて、天魔の御霊降りてるので、一幕見終わったあと「すずきひろき出てた?」ってなるじゃん。
二幕見終わって「すずきひろき最後まで出てこなかったな…」ってなるじゃん。
カテコ始まるじゃん。
 
「……あれっ!?すずきひろきいるな!?」ってなる。
 
もうこれ二回繰り返してる。わたし多分月髑髏完走しても「すずきひろきくん出てた?」って言ってるから。すずきひろきくん出てた?わかんない…出てたはずなんだけど…どこにいたのか……。
困る…月髑髏が終わるまでに蛮幽鬼の再演告知チラシ挟んでくれないと困る…サジ:すずきひろき の文字印刷して挟んでくれないと……。
(サジとは!?笑顔を絶やさない凄腕の殺し屋※キャスト堺雅人さん のオタクが死ぬほど好きなキャラのことだぞ!!気になった人は蛮幽鬼見てね!!)
 
サジ:すずきひろきが見たすぎてアンケートに書いたからね。堺さんしばらくは難しいかな、そうすると再演するにしてもサジやれる人材がな…とか思ってたんだけど、すずきひろきくんさんが新感線の村にやってきたので、こうなったらサジやってオタクの村という村を焼いてもらわないとな…って目をつけてる。かわいそう…すずきひろきくん…変なオタクに目をつけられて……。
 
というわけで、私のこの怨念かなって蛮幽鬼(サジ:すずきひろき)が叶ったら絶対絶対見に行きます。
その時は多分こう言うね。
 
「すずきひろきくん……出てた?」
 
ダメすぎ。
 
■蘭兵衛
ええ…わからん…わからん城のわからんseasonわか蘭……
一回目見たとき「よくわからん…」となったので「二回目観たらわかるでしょ」と思ってたんですが、二回目観た結果「いやもう全然わからん…」となった……。もう三回観ても四回観てもわからない予感がする…。
 
ちゃんと強いんですけど、上弦のみうらんがあまりにも作画:さいとうたかお なので、下弦の作画:高屋奈月 のひろせ蘭が儚げでふわっふわに見えてくる。おい騙されるな!!!そいつメンヘラ殺戮マシーンやぞ!!!!!オタクはす~ぐ蘭兵衛に騙される!!!!!!
 
うーん なんか言おうとしてもわからん…というところに終始してしまうなぁ。
正直、私は蘭のクソチョロオタクなんで大体のことはオッケーオッケー好き好きらんべさんイエ~イ!で流しちゃうんですけど、下弦蘭は初めて…蘭を肯定的に見れていなくて申し訳ないんですよね…。
 ※ここからちょっと肯定的ではないうえ、クソ長めんどくさオタクの意見になるので、不要なようであれば読み飛ばしてください。
 
前提として、シーンのひとつひとつとしては好きなんですよ。そう…好き…好きなんだよな…だからこそ腑に落ちなさがある。
基本的に「蘭兵衛」の制約に縛られず、役者さんは好きにやればいいと思うんですよね(上弦蘭とか、あて書きじゃないってのにほんと型破りでおもしろいし。クセは強いので好き嫌いはあると思うけど)。ただ、個人的には、蘭兵衛という人物において絶対破ってほしくないルールがあって、それは彼が「外道」であるということなんですよ。
 
天魔王は「非道」だけど 蘭兵衛は「外道」。それは蘭の性別が変わろうとも動かない蘭という人間のコンセプトだと思うんですよね。
下弦で戸惑ったのは、蘭が天魔を越えた「非道」の悪人に見えてしまうところ。
なまじ天魔のほうがクレバーでやることに筋が通ってるのも手伝って、蘭が外道っていうかもう非道に見えるんですよ。
 
天魔と蘭がどう違うかというと、天魔は「その道が間違っている」ということを認識しないまま悪の道を行く人なんだと思うんですよね。2011のゲキシネ版パンフで未來さん(2011天魔王)が書いてるんだけど「時代観から見たら、勝ったほうが正しいという世界なので、天魔王は悪ではないという見方もある」んですよ。天魔王は、それが悪いことだとは思っていない人。
でも蘭は違う。「道を外れる」と書いて外道。ということは、正しい道に則ったうえで、「外れる」ことを選んでいる。蘭は「それが道理に反している・倫理を越えている」とわかっているし、その痛みや重みを認識したうえで、落ちていってしまう人だと思うんです。
 
だからね、彼は基本的に「自分で選ぶ」子じゃないとだめだと思うんですよね。
もちろんそれを逆手にとるアプローチもあって、例えばアオの蘭なんかは完全に強すぎる天魔に流されて落ちてしまって、でも落ちきれなくってあわあわしてて、なんか迷った末に捨之介の牢屋に花投げこんだりするし(いやさすがに可愛すぎるにもほどがある?なんだ?どういう意図だ?かわいいぞ?)、そういう不安定さで一貫するのもひとつの手だなーとは思ってます。
 
下弦蘭が(私のなかで)しっくりこないのは、その不安定さで進んでいくのかと思ったら、二幕口説き以降で歴代ナンバーワンなんじゃないの?ってぐらい非道な男に成り代わっちゃうところなんだと思うんですよよね。
ど、ど、どうしてそうなった!?情緒不安定!?やっぱり…命の母いる!?
 
鈴木天魔はカリスマ性に溢れてるし、諭されて落ちてしまうところまではわかるんですよ。ただ落ちてしまってから一気に非道に落ちきって、一切の情をまわりにかけなくなるので、蘭という人がわからなくなってしまう。
一幕の彼は仮初だったのかな、と思うけど、それにしては優しすぎるんですよね…。あれだけ優しかったいい子が、ここまでの非道になってしまう。嵌ればインパクトある振り幅なんですが、逆に納得させるだけのパワーがないと、腑に落ちない感が強まってしまうというか。蘭という役柄の難しさはここにあって……。
ま〜ぶっちゃけ鳥蘭とか…振り幅がデカかったせいで序盤は「力押しで乗り切った」感強かったんですよね(中盤から軌道を修正して最終的にはとんでもサークラに落ち着いたんだけど…)(鳥蘭のこと大好きだよ!!!)
 
ピースとしてはすごく良いものが揃っているんですよ。それを束ねる芯が見えづらいせいで、ものすごく損してしまってる気がする。というのが現時点でのイメージかなぁ。一回目のほうがまだ像が見えてたかもしれない。
観てる時は派手だな~って感じで、瞬間的な麻薬めいた楽しさはあるんですが、見終わったあと「で、彼はどういう人だったんだ?」って言われると……うーん……となってしまう。初見の人のほうが逆に先入観無く見れるから、納得いくのかな。髑髏城見すぎてると逆にいらんところで頭が固まってる可能性も高いので、初見で見てみたかったですね…
 
上弦蘭も正直クセ強くて、下弦とは逆に解釈の余地を与えないというか、頑固おやじが「うちには醤油ラーメンしかないけど?」みたいなノリでやってるラーメン屋さんって感じなんで、人によっては合わない気がしてるんですが、下弦蘭はこう…カレーとシチューが出てきて「はいポトフ」って言われてる気分になる(?)わかる原材料はだいたい同じ…カレーもシチューも好き…でもそれをポトフって言われると…ポトフ…ではなくない!?カレーもシチューも好きなんだけど一気には食べづらくない!?
複数回観ればカレーとシチュー!合わせてポトフ!!と思えるのかもしれないけど。今の私はカレーとシチューを混ぜながらわからん…これがポトフ…なのか…?とスペースキャット顔になっている……。
 
誤解を招いていたらとても嫌なので重ねて申し上げたいのですが、嫌いだとか、下手だとか、そういうことを言いたいわけではないんですよ。むしろ、どの部分も感情が載っていて強烈で魅力的な分、糸を手繰るのが難儀になってるように感じる。もったいないなぁ もったいない…という気持ちが…強い…。きっと役者さんがサービス精神にあふれた方なんだと思う。
自分のなかにもう少し解釈の引き出しがあれば、うまくつなげてあげることができたかもしれないんですが、やっぱりどうにも繋がらなくって。。
 
おそらく、今のところ私がこうなのかな、と考えている像としては。下弦蘭のテーマは「抑圧と解放」なのかな。
前提としては、自分のことがすごく「好きだった」子なんだと思う。それがいい子を演じよう演じようとしていて、それで変わろうとするほど、己の中の歪みが見える。醜さばかりが目につく。己の中の醜さよりも、その醜さを取り繕おうとしている自分が美しくなくて嫌。いい子であろうとすればするほど、本人としては落ちていく感覚があったんじゃないかな。
 
だから抑圧されていた本質を解放するタイミングを与えられて、一気に弾けてしまう。彼は自分の美しさを知っている。残虐な自分が美しいという自覚があり、本質に立ち返った自分こそが、己にとっても最も愛しい。もしくは、信長に寵愛された部分なのかもしれませんね。そう考えると比較的クレバーで冷静な天魔が残虐性に走ったのもわかるかも。下弦においては、天魔が蘭の真似をした、という可能性もあるようには感じます。線として濃くはない、妄想の域をちっとも出ないお話ではありますが。。
 
うーん これなのかなーという気がするんですが、多分これだ!と大きな声で言うには、やっぱり決定打が足りないですね。いま盛りまくってるところなのかな…同じ振り幅勝負だった鳥蘭も序盤は盛りまくりだったしな…ここから少し削いでくれた方が私はわかりやすくて好みです。結局わたしが馬鹿なんじゃないのか?という話、大いにあるよな…馬鹿でごめん…
 
でも箇所ごとで観ると、本当に好きなので…
あの穏やかな前半からドスの利いた低い声出るところとても好き…
黄泉の笛で素早いだけでなく、跳躍がものすごくふわっとして良い意味で重みがないところも好き…
ま~~あとさすがにビジュアル良いよね…花鳥風月で一番愛され感出てるし殿もそりゃ天と蘭なら蘭可愛がっちゃうよねって…コラーーッ!!!天魔もちゃんと可愛がれ!!!!
ノッブがちゃんと愛してくれなかったからあんなファンデ厚塗りになっちゃったんだぞ責任を取れ!!!
 
あまり良くない意見を書いてしまいましたが、好きな部分も多くあり、だからこそどうしてもあとひとつの歪みが気になってしまう、という気持ちでいます。芝居とは直接関係ないけど、毎回ブログの更新早くてすごいね……帰り道入ってすぐ書いてるのかな?若いっていいな…体力があるな……もう完全におばさんの気持ちで見てる……。
 
 
■霧丸
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
きりちゃん…きりちゃん…きりちゃん;;;;;;;;;;;;;;;;;;
 
TLにだんだんと増えていくきりちゃんおじさんを訝しんでいた昨日にバイバイ!!!
こんにちはわたしがきりちゃんおじさんです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 
上弦に比べるとしょうじき下弦のほうがちょっと拙い部分目立つんですけど、霧丸に関してはそこが愛らしさにつながっているので、良いなあと思っちゃいます。(もちろん上弦は上弦で、お芝居の手堅さが賢さにつながっていて素晴らしいです!)
 
最後のね…捨を救い出して、捨てるのは楽じゃねえなって笑いあったあとにね。霧ちゃんが金に寄っていって、もう一回振り返って、捨之介が笑っているのを確認してからほっと微笑むんだよね。あの一連のやり取りを見て「まって」「むり」「尊いのオタク三段活用をうっかり使っちゃいましたね。まってむり尊い。ほんとむり……霧ちゃん;;;;;;;;;;
 
霧ちゃんの純粋さがね、すごく好きでね…だからこそ辛かったよね…歪んじゃうよね…そこからよく立ち直って、強くなったね、ってもう授業参観だから。わたし、霧ちゃんの授業参観にきてるし、わたしの横で捨がビデオカメラ回してるから。わたしと捨を鬱陶しがって霧ちゃんは授業参観のプリントを出してくれなくなっちゃうんだけどね…何の話これ。
 
上弦が、著しく成長したゆえの、賢さを得た立ち回りで捨を救う、のに対して、下弦は純粋さと「絶対に死なせない」っていう思いのパワーで捨を救うのがいいなぁ。捨霧に年の差があるので、霧ちゃんという子供のひたむきさが、捨をどろどろした思惑の闇から引き上げてくれる心地よさがある。のでやっぱ私は、上弦:鳥沙霧 下弦:花沙霧 に近しい気がしてる。
 
あと下弦霧ちゃんイキりまくっててかわいいね…この霧ちゃん上弦にいたら蘭兵衛さんの舎弟になっちゃったんじゃないかなって思うけど。もう蘭出て着た瞬間にかかかかかかっけぇ〜〜〜!!!!ってなってしまったかもしれない。おそろいの着物とかきちゃったかもしれない。やめて霧ちゃん。派手な紫柄シャツ真似するのやめて。それゴリラ専用戦闘服だから!!!!
 ※もづやまはみうらんべさんを心から応援しています
 
見れば見るほど霧ちゃん好きになっちゃう。発表時は沙霧オタクとして失神するかと思うほどショック受けて、マジで…マジで……この際他の変更とかもうなんでもいいから沙霧だけは返して…ってむせび泣いてたんだけど……今はオタクニッコニコで霧ちゃんに家庭用ビデオカメラを向けています。だから言っただろ!?オタクの手のひら返し!電光石火より早い!!!!霧ちゃんイエ〜イ!!霧ちゃんイエ〜〜〜イ!!!!!!!
 
もう一回脳死で!!
霧ちゃんイエ〜〜〜〜〜〜〜〜イ!!!!
 
■兵庫
実はわたしが下弦で一番すごい…評価されてほしい…と思ってるの木村兵庫なんですけど、いざ見ると感想が書きづらい。あまりにもナチュラルに兵庫すぎて、非の打ち所がなさすぎて、書くポイントがないという…。でもほんと、下弦MVPだと思ってる。
 
前も書いたけど、兵庫がしっかりしているかどうかは髑髏城の屋台骨を揺るがすほどの重要事項なので。
兵庫は「名もなきもの」の代表なんですよね。本当に因縁もなにもないのに、自分の身ひとつで因縁に飛び込んでしまう。そしてさらに「武士を名乗ってすらいない」いん平まで引き込んでくるわけで。兵庫・いん平の和解・協力の流れが、わたしとしては一番髑髏で泣いちゃうポイントだな。髑髏城という物語のコンセプトを牽引しているのは、兵庫なんですよ。
 
髑髏城、四時間に渡る緊張と緩和の繰り返しで、正直見てて疲れる芝居なので。兵庫がきちんと「緩和」のポイントを作ってくれることによって、ぐっと見る側の集中力があがるんです。
だから、下弦が観やすい理由の大きなひとつには、兵庫の貢献があると思う。というか、なんならここが核でさえある。
 
木村さんいいなぁ。また出てほしい……。
 
■極楽
また見てるあいだ年齢忘れてた……。
極楽はなあ。極楽もなぁ、なんか、もしかして私たちが見ていた極楽ってぜんぶ真実じゃないかも、って思っちゃうんですよね。あの人、ずっと無理して気を張って、自分を演じているように見えてくる。上弦極楽がとても自然体で飾らないから、なおのこと。
 
最後だって、彼女は死のうとしているわけじゃないですか。
あんなに明るく振る舞っていて、捨之介に笑いながら「あんたは生きなきゃ」と諭した極楽だけど、その内側ではもう死のうと考えていて。最後さ、兵庫に言い寄られる手前、女たちの髪を額に当てて泣きそうな顔してるんだよね。でもそれ、みんなが見てるところではやらないし、ほんとにひっそりやってるの。
 
それが彼女なんじゃないかな、と思ってしまう。
ずっとずっと、最後の最後まで「極楽太夫」というシンボルを演じきっているけど、中身はとても弱くて脆い女性。誰にも弱さを見せられないまま、年を取ってしまったんじゃないかなぁ。
 
そう思うと本当に切ない。上弦・下弦共に、とてもクセが強い極楽が出て着たと思うんだけど、若い子たちが多い月髑髏の物語のなかで、極楽がある種人生を諦めてしまえるような年頃の人間になった、というのは面白いですね。辛いんだけど…上弦下弦、どちらも好きだな。
 
 
またこうして長文を書いてしまった…。
上弦・下弦をこうして交互に観ると、心から「どっちも見てほしい」って思ってしまいますね。
チケット代高いし豊洲は遠いし座席ガチャ状態だし、気軽に観れるわけではないとわかってる。あれだけのコストをかけるなら、やっぱ推しが出てるほうが見たいとか、あるよな〜あるよ!私もやっぱり推しがいる方を多めに見ちゃってるし。
 
でも、一回だけでもいいから、ライビュでもいいから、上弦のオタクには下弦を、下弦のオタクは上弦を、見てほしいよ。
片方にしかない魅力があって、まぁ、片方にしかない欠点もあって。でもそういうのをここまでの装置・環境を揃えた状態で見比べられるっていうのは、お芝居のオタクとしてほんっっっとうに贅沢させてもらってると思うんです。こんな楽しいおかわりある!?!?最近ローチケからの請求見ても「いつの?」みたいになってるからね!!!
はいはい過去のチケも来月の請求も三途の川に捨之介捨之介!!
 
もちろんどちらか片方を見て貰えただけでも嬉しい!
でも、もしも髑髏城という物語を気に入ってくれて、また別の角度から見たいと思ってくれたなら、やっぱりもう片方のお月さまも見上げてみてほしいですよ。あのチラシのコピーなんなんだろな。「君はどちらの月を見上げるか?」みたいに書いてあったけど、うちのTLの髑髏党員たち「どっちも観るだろ」って血気盛んにスタンバイしてたからな。
「君はどちらの月を何回ずつ見上げるか?」に修正してくれてもいいですよ。
 
もうね これで髑髏城が最後かもしれないから。
何があるか本当にわからないんですよ。生きてる人間がやってることだから。もしかしたら明日、もう公演がなくなってしまうとか、そういうことだってなくはないわけで。
だから、今この時やっているお芝居をどうか見に来てほしい。難しければライビュでもいい。
そして花鳥風月のゲキシネかかったらゲキシネ見て。あっあとイーオシバイのほうで過去髑髏のDVDあるんでどうですか!?
 
贅沢言いましたすみません。
 
金を捨て時間を捨て腰を捨てて拾ったチケットだからね。安くはないからね。でも蘭もそう言って乗り込んでいつもあっさり籠絡されてるからね。髑髏城はいつだって俺たちに「チケットを増やせ 惜しむな」ということを教えてくれる。
 
大切なことはいつだって…髑髏城が教えてくれたんですね……勉強になります……。(これが結びの文なのほんとに良くないと思います)
 
 

地獄を知る者知らない者/髑髏城の七人月~上弦の月~12/17・24ソワレ感想 

 
上弦の月三回目観てきました。
とかいってるうちに四回目も見ちゃったのでその複合で感想を書いています。髑髏の感想はやっぱエネルギー要る。
 
上弦を立て続けにキメました…… 
いいたいこと しぬほど ある…

とにもかくにも見るたびに違う芝居になっているので困っています
太一天魔王三人目とかいう響きに「ま~た増えたの!?」と笑っていたが、このペースで三人目って。何人増える気。LDHに入って分身の術も会得したんかな…あの鎧全部早乙女太一入ってるんじゃねえだろうな…(とかいってる間に12/29公演で四人目になりつつあるとの話題を観て頭を抱えています)
どうでもいいよ太一天魔王だけで城燃やしチューチュートレインする話は。

あのねーーーまず、月から髑髏党入りした皆様にお伝えしておきたい。
この花鳥風月髑髏っていうのは、いったん死に向かいすぎてた髑髏を生に向けてリセットする方向性で始まってたんですよ。
鳥で成志さんが言ってただけじゃなくて、もう花見た瞬間、びっくりしたんですよね。あっ軌道を変えた!生きていく物語になった!痛みを覚えて苦しんだとしてもそれ以上の喜びを抱えて生きていく物語になった!と。

2011年版髑髏とか今見るとびっくりする。死ぬために生まれてきた登場人物たちが死ぬために暴れて、当然のように死ぬ。残された捨之介もボロボロで、たいした希望もなくて、ここでは死なないだけでいつか死んでしまうって言われても納得がいく。
それが、花鳥風月ではだいぶ方向性も転換されて、最終的には生きていくことへの喜び・救済と光に掬い上げられる捨という物語になっていたんですよね。

そのラストが月であることをね…
私は……恨みますよ…………鬼悪魔いのうえひでのり中島かずき…大天才
 
「辛い。苦しい。でもそれを上回る喜びがあるさ。生きていこう!」って髑髏の物語が、最後の最後で「辛い。苦しい。それでも生きてかなきゃいけない」というものに変貌したこの空気感。花~風で生の喜び髑髏に甘やかされまくった身には劇薬すぎる。特に上弦!!!お前だよ!!!!お前お前ーーー!!!!下弦くんも下弦くんだからちょっと二人で廊下に立ってもらっていいですか!!!!???
 
鳥の時にね、なるし~さんが「滅びの美学みたいなものに傾きすぎている」と仰っていて。確かになぁ、そうだよなぁ、と深くうなずき、事実それが拭い去られた鳥髑髏はめちゃくちゃ私に刺さったんですよね。死や過去よりも、生きていくこと・明日を見つめてまっすぐに走り抜けていった鳥髑髏は、ほんとうに雨上がりの虹のようでした。よりによって「滅びの美学」ドストレートだったワカと同一キャストが天・蘭をやってる鳥がああいう味付けになったのは、めっちゃ面白いことだったと思ってます。
 
なのに、滅びの美学とはまた違った方向でしんど~いを提供されてしまった。しんど〜いわこんなん。月髑髏ってなんだよつら髑髏に改名しろ。上弦のつらい/下弦のつらいだわ。
要するに!!要するに!!「滅びの美学」ではなく「滅べない醜さ」の物語として月髑髏が出てきた。と思う。
突き抜けるよな光をもたらすことなく、ほんのわずか一筋の光に照らされて、なんとか生きていく物語。まさしく「月」髑髏。

救いなんてなくても生きていかなきゃいけない。それが遺されたものの為すべきこと。
捨之介・霧丸・極楽大夫の三軸からそのテーマ性を強く訴えかけられる月の、残酷すぎる物語構造をどう受け止めていけばいいか。
わかんねえ…わかんねえよ…もう何もわからん…なんでステアラでは水が300円で売ってるの……?


もう一つ「しんど〜〜〜〜〜〜い」を感じるのは月髑髏の「相互不理解」っぷり。
こんなに相互不理解激しい髑髏他にあった!?いやない!私は知らん!!!
かつてなく捨が天魔を・蘭を助けたいと願っていて、掬い上げたいどうにかまた仲間になりたいと思っているにも関わらず、かつてなく捨の手が天魔に・蘭に届かないんですよね。

もうね。この相互不理解っぷりがつらいんですよ私は。
鳥とか花って、「お前とはわかりあえねえ」ってことをみんな自覚してたから、ある種、気持ちは楽だったんですよね。鳥なんて捨がもう完全に天魔殺す…天魔殺すからな!!って姿勢だったし。よし!!殺せ!!天魔悪いやつだもんな!!って。

でも月は、「殺すんじゃない。止めるんだ」って言う。
いや~~!!!あれ見ててみんな「おいおいおいおい」ってならないの?私はなる。
あれと分かり合えると思ってる!?太一天魔だよ!!??ゴジラの赤ちゃんだと思ったほうがいいよ!!?
なーーーに甘えたこと言ってるんだよ顔がよくて高身長で顔がいいからって!!ってなりますよ!!??
これにはさすがのダチ大好き捨代表格・ワカ髑髏小栗捨も「無理無理」とドン引きだよ。
この「理解できるはず」という思い込みこそが徹底的な不理解につながっている空回り具合、月(特に上弦)のしんどいポイントなんですよ。

で、なんでこんな相互不理解が生まれているかというと「地獄」を知っているか知らないかの、彼らのコンテクストの不和が原因なんじゃないかと、そういう風に思うわけです。

月捨は鳥・風の「目の前で罪なき人々をたくさん殺された」捨之介ではないんだよね。
なんなら、捨って無界虐殺にも立ち会ってないからね。それであの若さってなると、ホントに地獄を見てないんじゃないかなーと思う。信長のもとにいたわけだからいろんな戦場はくぐり抜けただろうけど、それでも本能寺を潜り抜けてきた天魔とは見てる世界が違うよ。
この「地獄を知っているか否か」「その地獄を超えることができるか否か」という二つのコンテクストを持つもの・持たざるものの不和が強調されていて、つ~~らいですよこれ。ステアラの水300円だし(しつこい)
 
「お前にはわからない」と天魔・蘭側が捨を拒絶するだけならこれまでの髑髏にあったんですよ。
月髑髏は霧丸からの「お前らに捨之介はわからない」という返しと結びついているところがキーポイントだと思います。
これ、これまでの沙霧のセリフだと「お前らと捨之介は違う」という、あくまで沙霧という人間の持つ視点による断絶でした。
ところが、今回のセリフ変更によって「霧丸という人間が見た”捨之介と天蘭”の断絶」に代わっているんですよね。それも「捨を天蘭が理解できない」という主張。

この霧丸のセリフめちゃくちゃ残酷じゃないですか?
あの瞬間、月髑髏において捨:天蘭の相互理解という可能性はぶち切られてるんですよね。
そりゃね。見てる側はわかってるんですよ。天・蘭と捨は違う。理解しえないし、まったく違うところに生きてる人たちだって。
でも捨は信じてたんだもん。現実がどうであれ、彼は天・蘭を引き戻せると信じていたんだもん…。

要するに、もはや物語後半では霧丸のほうが大人なんですよねぇ…。
下弦霧丸はかなり無邪気で幼く、それゆえに幼さを貫き通すひたむきさが魅力だと感じたのですが、上弦霧丸は後半からの成長目まぐるしく、ものすごい勢いで大人になってく。
彼だって一族皆殺しにされて一人生き延びていくことになったのに、最終的には捨より落ち着いてるし、捨より現実見えてるんですよ。彼は一族皆殺しという地獄を見てきているから、きっとおそらく捨よりも天魔・蘭への共感がどこかにあるから、「わかりあえないものはわかりあえない」ということを理解している。

今回、霧丸で素晴らしかったのが、最後の家康へ仮面を差し出すシーン。
からっぽの仮面を「首」と差し出し、捨之介を縄から解けと説得するために、激情を堪えて礼節を保ち、跪いて落ち着いた口ぶりで進言する霧丸。このタメが、今回ものすごく良かったんですよ。前回見たときはあんなにタメてなかったと思う。
手も出さない。声も荒げない。捨之介を助けるために、大人になれる。相手のコンテクストに寄り添って話す霧丸。「コンテクストの不和」にて悲劇を繰り返してきた髑髏城が、最も序盤不安定だった少年が、家康へと「コンテクストを寄り添わせる」ことによって悲劇を回避させる。すっっっっ……ごい。あの絶妙な間のタメ・その間の決意の表情や声色すごい。私はこのシーンで一番泣きました。今回イエヤッスが評価したの捨じゃないんだわ。霧丸なんだわ。

地獄を見せられて、不和のまま終わって、それでも生きていかなきゃいけない物語髑髏城。
捨之介にとって厳しいこの物語はやっぱり「捨之介敗北」の髑髏城なのではないかと思います。
マジこれで捨不在極髑髏に突っ込んでいくのなんなのぉ…来年は髑髏城の七人衣食住が上演します。

■捨之介
二幕かなりよくなりましたね!!
一幕は…が、がんばれ…滑舌…がんばれ…百人斬り…は…、17日ソワレだいぶヤバくって、髑髏見ててこんなハラハラする百人斬り初めてだったかも…刀落としちゃってたし受け取り損ねちゃったしだいぶ手順狂っちゃってた。疲れるよなあぁ…頑張れ…頑張れ…。
 
いやーふくし捨ほんと、初日に比べるとぐんぐん良くなってきているんだけど、その「良い」の方向性が「安定感」じゃなくて「不安定感」なところがめちゃくちゃおもしろいですね。
安定していってるどころか、どんどんグラグラになっていく。不安定で、危なっかしくて、今にも足を踏み外してしまいそうな捨之介。
ところが、以前の感想からずっと続けている「天魔王に敗北する捨之介」という像を描くとなってくると、この不安定さが妙にかっちり嵌ってくるんですよ。
 
やっぱりね、捨之介という役柄は或る程度年齢を重ねた人間にしか適合しないと思うし、上弦捨もそのあおりを受けてるとは思います。単純な捨之介というキャラクタにおいて、肉体・ビジュアルでの説得力ではどうしても下弦に勝てない(下弦捨がほんとうに、二人別役軸の捨之介ラインでは適合しすぎてて怖いレベルのハマりっぷり…というのもあるんですが…)。
 
一方で、この「地獄を知らない捨」という役柄には、捨天蘭でも一番年下で本当に若い彼が適しているのかも、と感じてくる。
私は、髑髏城の七人という物語のなかでは、捨之介が正義・天魔王が悪という構図は揺るがないものだと考えています。
天魔王は悪いやつだし、蘭も悪いやつだし、捨は人のために動き続ける本当にいいやつです。
だけどそれは、捨之介が「正しい」ということにはならないんですよね。
 
捨之介はほんと頑張ってていいやつなんですよ。私は捨之介の、人を傷つけるぐらいなら自分を傷つける優しさが大好きで、そういうところにめちゃくちゃ執着して捨之介のオタクをやっています。捨之介のオタクです。捨之介のオタクです!!!!
そのうえで、やっぱ捨之介って圧倒的な正しさを持った人間ではないんですよね。
なんなら月は、ちょっと自己中心的だなと感じるところもあるぐらい。
 
天魔・蘭兵衛は捨之介を理解しないように、捨之介にもまた、捨之介の見えている世界しか見えていないんです。
前述した「相互不理解」の根幹は、捨之介が優しすぎるゆえに「人を傷つけられる人間を理解できない」という部分にあるんですよね。
捨は悪くないよ。天魔と蘭があんなん拗れすぎだし、あっちが悪いし、ほんと捨悪くない。でも月捨が正しいかというと、うーーーーーーんちょっと怪しい…ですよね…。
 
そして、自分が正しくなかったことに捨之介も気づいているはずなんですよ。
これまでの髑髏城にあった最後に捨之介が「名前を捨てる」流れ、月でなくなりましたけど。
あれはやっぱり、捨之介が自分の罪に気づいて、それを「背負う」ことを決めたからなんじゃないかと思う。
 
「浮世の義理も昔の縁も、三途の川に捨之介」は劇中で複数回出てくる台詞ですが、最初と最後(家康に捕縛される手前)では、全然意味合いが違う。
最初は、口ではそう言ってても何も捨てられちゃいない男の語る台詞だった。
最後は、本当に浮世の義理も昔の縁も、自分のせいで断ち切ってしまって、生きていく意味を見失った男の語る台詞になった。
「捨之介」という名前が持つ意味合いを、その重みを、本当の本当に意識して背負っていこうと決意したから、月の捨之介は名前を捨てないまま去っていったんじゃないかなぁ。
 
それでもやっぱり、私はどれだけ辛くっても他人を傷つけないように剣を振るいつづけた捨之介のことがとてもとても好きだなと思います。
捨之介ってほんと愛しいな……捨之介…愛しいよ……お米券贈りたい……
 
【天魔王】
キャスト発表時は「強そうすぎる」「病死してもらわないと」「薬をのませよう」とさんざんなことを弊TLで言われていた太一天魔王。一ヶ月経った今では「まだ首がすわってないの」「優しくしてあげて」「赤ちゃんなんです」などと言われているのでもうめちゃくちゃ。私も二幕見てる間は脳内で太一天魔を抱き上げて「助けてくださーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!」ってやってる。(これは世界の中心で愛を叫ぶごっこを夏のステアラでやっていた鳥捨之介とがんてっさいごっこです)(おじいさん鳥はもう終わりましたよ)
 
前提として天魔王は悪いやつ。もう一回。天魔王は悪いやつーーー!!!!!!!!!
そして天魔王は許されてはならない。もう一回。天魔王は許されてはならなーーーーい!!
 
許したいよな。もう許してあったかいもので包んで爆睡するまでふとんにつっこんでおきたい。
悪いやつでもいいからうちで匿ってやりたいですよ。
大丈夫私じゃなくて蘭が世話するから。(めちゃくちゃ嫌がられる)
 
もうそんなこんなで、見てる間のこっちの情緒がめちゃくちゃになってしまう。
3人目天魔は、感情の起伏がわりあい抑えめ。相変わらず、口説き方がめちゃくちゃにうまいとかではなく、感情に任せた力押しで人を操っていく天魔王。感情爆発はほんとうに最後の最後までとっておかれている感じですね。
 
月天魔王は鳥と近しいキャラ造形何だと思ってたけど、やっぱ上弦は「女性的な執着」が根本にあると思うなぁ。
鳥天魔王・下弦天魔王が執着しているのは「織田信長という器」なんですよ。その存在の強大さ・厳かさに執着し、その「器」の再現をしようとしている。「天」という概念を身に下ろそうとしている。
 
でも上弦天魔は、織田信長という人間」に執着しているんだよなぁ。織田信長という人間を愛していて、その愛した信長と共に生きる方法を「天」として生きていくことしか知らない。織田信長の遺したものを身に纏い、自分こそ天だと名乗る。
やっぱりね…やっぱりね「情炎の天魔王」ですよ。上弦は。歴代天魔王というより、ワカ蘭に近いかもしれないな。正直政治とか国盗りとかそんな興味ないんだわ。信長がそうやってたから、それをなぞってるだけなんだわ……。とはいえ、それでもなぞれてしまうところが彼の能力値の高さなんだけど。
 
あとね、上弦天は「わかってほしかった」んだと思うよ。
鳥・下弦は「お前には俺のことなんてわからないくせに」「俺のことなんてわからなくていい」だったけど、上弦は「お前には俺のことなんてわからないくせに」からの「だからわかってほしかった」があったと思う。
どこかで、捨之介は俺を理解してくるかもしれない、と考えていた、かもなぁ。蘭には期待していないだろうけど、捨には可能性を感じていたかもしれない。
 
「他のものの手に渡るぐらいなら落ちてしまえ」と冒頭で城を燃やす彼だけど、自殺もそういうことなのかもしれませんね。天が手に入らないのであれば、死んでしまうほうがまし。あと自ら刀で腹をさばくのもね……ワカでは「腹を天の字でかっさばいて死ぬなんてあのお方(信長)にしかできない」と捨が発言するシーンがあったので、どうしてもそことリンクしてしまってそうか…そうかぁ…となってしまう。燃え盛る城で踊りながら生まれた(字面おもしろすぎ大事件)天魔王が、腹を自ら捌いて自害で死ぬ。最後の最後まで信長をなぞりきったんだな、と思う。
 
特に上弦は、仮面を剥がされてからがボロボロで。本当に小さくてしょうもない自分を見てほしくないという気持ちが強くって、でも捨之介が天魔王に望む「自由」とはその小さくてしょうもない自分だから。捨之介を見ていると「誰もがこういうふうには生きられないよ」って思っちゃうんですよね。私なんてどーしようもない人間だし。オタクだし。チケット増やすのやめられないし。だから天魔王に入れ込んじゃって、辛くなっちゃうんだよな。

本当に醜く、憐れに死んでいった天魔王だったけれども、それゆえ胸をえぐられまくってクレーターをあけられてしまう……。

 

あっ月ってそういうこと…?

 
月髑髏戯曲の二幕タイトルがす……っごいんですよ。まだ見てないひと早く見てほしい。
あれを見ると、月髑髏に置ける天魔王という存在に対して「ああ…そうかぁ…そうなのか」ってなるので、絶対買ってほしいし読んでほしい。中島かずき先生に印税を振り込みたい勢としても買ってほしいのでここには載せないです。
みんな!!!かずき先生に印税振り込んでねーーっ!!!!!
 
【蘭兵衛】
みうらんべ正直好きになりすぎてきてしまってヤバい。
終始情緒が正の方向向いたまま好き!!好き!!!嬉しい楽しい大好き!!!!!!!!!!!!!!!ってなる(JASRAC未申請)
 
初日⇒えっ!?かなり良いな
二回目⇒あれ?なんかめっちゃ良くない?
三回目⇒アアア〜!?すっげすっご良くない!?
四回目⇒……っべ……やっべーぞおっとう!!!!!!!!!!!!!!
 
ぐらいの温度感で好きがアツくなっていく。好きでしょこんなん。好きだわこんなん。
 
どんどんクローズZERO感が増していくんだけど、なんかみうらん…潔くていいな…って気持ちになってる。
上弦は捨も天もグチャグチャだから、そのなかでみうらんが意志を通して、自分の責任で死んでいくの、卑怯だけど爽やかで気持ちがいいよ。上弦の危ういバランスを、ギリギリ破綻しないよう踏み留めさせてくれていると感じます。
 
ていうか序盤はクール系かな〜?って感じだったのに、最近ではおっとうが出てきたあたりで、女たちをすっとかばったかと思ったら、兵庫とおっとうの話が気になるみたいで野次馬根性丸出しで覗き見してたり、でもやっぱおっとうが寄ってきたらそっと極楽を下がらせたり…みたいなことするから、えーーーーーー!!!!無界のことめちゃくちゃ好きじゃん;;;;ってなっちゃう。鳥もなんだけど、無界のこと好きそうな描写をダイレクトに入れられるのがとっても辛い〜;;;
 
序盤は落ちてから女性感強めてた気がするけど、それもなくなってきたことによって、一本筋がきっちり通ったと思います。蘭にありがちな「え、なんでそうなったの?」が割りと和らいでる気がする。もうわたし蘭見すぎててわかんないんだけどね(髑髏城あるある・見すぎててもうよくわからない)
 
男性に振った蘭が大好き勢としてはみうらんべだいぶボーナスタイムですよ。超ボーナス。
なんか好きすぎて逆にあんまり自己解釈掘り下げるタイミングないな?って思う。余地はあるんだろうけど、見てるあいだの私、蘭兵衛さんの豚だから。あーー好き!!アクションが超大ぶり!早乙女太一監修済みだけど本人よりダイナミック!!ハリウッド!!顔のきれいなゴリラ!!!!!ここは世界一美しいサファリパーク!!イエーーッ!!みうらんべサイコーーッ!!!!
この項目だけ違う芝居見てきたみたいになってるな……つまりみうらんべが最高ということです。みうらんべは髑髏城の七人月〜最高の月〜に出ているので……ここだけ上弦の月の感想ではないです!!!!!!!!!!!!!!!
 
なに言ってんだろうな。
次はもうちょっとまじめなこと書けるようにがんばります。
 
【霧丸】
うっかり霧丸のよかったところを前述部分で書きまくってしまった。
24日は声が潰れかけてしまっていたのか、だいぶ危うくトーンも抑えられていたのでちょっと残念でしたが、17日がめちゃくちゃ良かったです。序盤は沙霧⇒霧丸の変更の意図を読めなかった自分も、やっと「ああ…霧丸いいなあ」となってきた。
 
平間霧丸は間のとり方が本当にうまいですね。グッと来る間がいっぱいある。下弦ほど我武者羅でひたむきな感じではなく、本当に年頃の男の子って感じの霧丸だけど、要所に「敏い子なんだな」と感じる部分があって……やっぱこの子は沙霧なんですよ。性別は変わったけど、根幹は沙霧から変わらない。
 
最後、捨之介に手を握られてお礼を言われたあと、その手をぼうっと見つめる霧丸。え???恋?????????ついに恋が始まってしまった????と焦ったけど冷静に考えたら霧丸のキーワードは「手」だったもんなぁ。太夫に「いい手」と褒められた霧丸の手。でも、その手が結果的に一族を殺めてしまうこととなった手。その手を握って、お礼を言ってくれた捨之介。あの瞬間、霧丸のなかに「捨之介の城を作る」という気持ちが強まったんだと思う。捨之介が救った霧丸が、捨之介を救う。というのは本当に美しいんですが、捨之介を救うことによってやっぱり霧丸がもうひとつ救われていると思う。誰かを救うためにその手を使えてよかったね。
 
彼の作ろうとする「城は」ふらふらとどこかに行ってしまいそうな捨之介を繋ぎとめるための場所であり、霧丸がもう一度、過去ではなく明日に向かうための場所になるのかな。
お正月の間で声を休められるといいなぁ。次見るのが一番楽しみなのはココかもしれない、というぐらい期待値が高まってます!
 
 
【兵庫】
すが兵庫確変してない!!!!!!!!!!!!!?????????????
正直ここが一番確変してる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!と思う!!!!!!!!!!!
 
初日は正直、うーんかっちんの兵庫見てるんだろうな…と思っちゃったんだけど、今はちゃんとすがくんなりの兵庫になっていると思います。とにかくまっすぐ、純でかわいい。相変わらず無尽蔵スタミナで声を張り上げ続けてぴょんぴょん動く。かわいい。
 
兵庫の存在って髑髏城でかなり重要というか、この役柄によって作品のテンションが左右されているぐらいのものだと思うんですよねー。のですが兵庫がテンポ感のコントロールをしはじめて、だいぶ作品のテンション・速度が変わったと思います。下弦みたいな完璧進行管理ぶりとは違うけど、これはこれで上弦のテンションにあってる。
 
しかしほんとに動きまくりなんですけど、あまりに飛ぶのでたまに「これが噂のハイステ城の七人くんですか…」という気持ちになってくる。怪我しないでくれよな!!!!
 
【極楽】
え〜〜もうほんとにほんとに好き。上弦極楽、わたしとしては花鳥風月ナンバーワンかもしれないぐらい好きになってしまった。
 
月髑髏の主人公はね、捨之介・霧丸・極楽だと思う。
月髑髏は「辛くても醜くても生きている」という物語だから。聖子さんは、私は本当にいつまでも美しくって素敵な役者さんだと思うけれども、それでもやっぱり年齢はある程度重ねてらっしゃって……そういう人が、完璧な美しさでなくとも「ものすごく美しく見える」っていうところ、月髑髏に合ってるんだよね…。
 
極楽は「地獄を知っている」から。それでも越えてきた人だから。
だから、いろいろな人の気持ちがわかるんだと思う。わかってしまうからこそ、蘭兵衛を送り出した。
これまでの極楽って、蘭を「止められなかった」って意味合いが強かったけど、月は「送り出してしまった」って感じですよね。あなたの好きなようにしてもいいんだよ、って。でもそれが娘のようにかわいがっていた女たちを殺してしまうことになって……それはそれは辛くて、苦悩したと思う。
 
蘭との年齢差を思うと、なんなら「蘭兵衛」という名前を与えてくれたのは極楽かもな、と感じます。
そして、それに対しての蘭からのお返しが「極楽太夫」だったのかも、と。
極楽が蘭を呼ぶときの「蘭兵衛」がものすごく優しいので、なんかそんなこと考えちゃうな。いや〜もうつれえ。ただひたすらにつられえ。
 
聖子さんはとにかく声の芝居がうまくて、声の芝居だけでも泣きそうになる。というか泣いちゃう。
「蘭兵衛」「蘭兵衛さん」の声変遷がほんとうにほんとうにすごくて、いつも苦しくなるし、涙声になるところも胸を打つ。
 
あと、捨之介の語る言葉を「道理だ」と蘭に行って聞かせて、そのあと「所詮外道だ」と拒絶された極楽が「道理なんて関係ねえ」という信念で戦う兵庫と一緒になる流れ好きだな。好きだな……
 
 
いやーーーほんと上弦 なんかね 正直上弦は下弦ほどの安定感なくてハラハラするところもあるんだけどね
でも完璧なものを見たかったらいのうえ歌舞伎のなかでも髑髏城でなくともいいしね、まああと、リピーター的には花鳥風月通してだいぶきれいな髑髏城だって見せてもらったからね、もうあとは若い子たちで好き勝手やってくれって感じですよ。すごくいい意味で「好き勝手やってくれ!」って思う。いいぞいいぞ髑髏党員の感情をそのままグチャグチャにしつづけろワッハッハッハッハ!!!
いいよいいよ もうなんなら髑髏城をやろうとしなくたっていいよ!!!!つらい城のつらいだもんなこれ!!!
 
下弦が安定してしっかりとしたつくりの髑髏を見せてくれている安心感もあるよね。
カラーが本当に違うので、交互に見る楽しさがすごい。でもやっぱ、下弦そろそろ観たいですね。宮野捨が観たい。安心安全の太ももが観たい。ふくしくん捨の最大の弱点は太ももが折れそうなところだと思ってますね……マジで間違って太一天が折っちゃわないか不安なので最後まで無事でいてほしい……太くあれ福士くんの太もも……もづやまは福士くんの太ももを応援しています…
 
 

髑髏城の七人月〜下弦の月〜を観てきましたの感想

 
上弦に続いて下弦も観てきました!
上弦の感想はコッチです⇒

moduyama.hatenablog.com

 
前提を話すと2011髑髏のゲキシネから髑髏というコンテンツにズブって全髑髏履修済み・花鳥風月コンプもなんとかできた髑髏党員の感想です!!2.5は不勉強状態です。
 
 
総評として……とてもよかったーー!!!!
前評判がとても良かったので楽しみにしていたのですが、その期待を裏切ることない、手堅く纏まった髑髏城でした。
 
終わったあと「良かった」「面白かった」「すごくよかった」「宮野」「宮野〜〜!!」「宮野真守〜〜〜!!!!!」「捨之介…」「しゅてのしゅけーーー!!!!!!!!!」ばっか言ってた。
髑髏城という概念が自走して舞台を執り行っているかのような、まさしく髑髏城のための髑髏城でした。何言ってんだお前でももういいよ!それぐらい「髑髏城」のための「髑髏城」だったんだよ!!
いやーーーもう宮野真守のオタクは絶対絶対観て!?私は宮野真守のオタクじゃないけどあまりに最高だったから劇中百回ぐらい死んだし、宮野真守のせいで上演中に下弦のチケット(脳内で)増やしたから!!!!10回ぐらい脳内のローチケアクセスしたから!!あの画像認証パズルカチカチカチカチ嵌めてたから!!!まだ観てない!!??「チケ増やしたかった」って思っても遅いんだよ!?わかってる!?宮野真守のオタク全員玄関に「宮野真守のオタクです」って子羊の血で書いて!!!!郵便受けに一軒ずつチケット差し込むから!!!
 
えー 下弦くん。下弦くんの感想です。
 
全体的にまず声が聞き取りやすい。
上弦は声が似てる人が多かったり、滑舌ちょっと頑張ろうね感あったりで困惑する場面も多かったんですが、下弦はノンストレスで引っかかるところもなく、とにかく最初から最後まで素麺みたいな快適さで食べられた……。やっぱり「声で誰が喋ってるかわかる」っていうのは強いですね。ステアラが視界良好劇場じゃないからなおさら。立ち振舞いに大きな問題ある役者もおらず、強いていうならベテラン勢に関しては上弦のほうが安定感あったかな〜…と思わなくもない程度かな…?
 
上弦は顔小さい城の七人だわって思ったけど下弦は顔うるさい城の七人だわ…って感じ。とにかく捨天の顔がうるさすぎて顔の交通整理してー!!!顔渋滞してます!!あーー!!詰まってます顔が!!アーー!!大変目が足りません鈴木拡樹さん他の人が喋ってる間も表情筋が爆発してますアアーー宮野真守さんも何その顔ーーどうにかしてーー!!!
 
表情豊かだし声もきっちり届くし、とにかく四時間の長丁場を見せきるだけの地力・パワーを感じました。2.5に対して否定的な意見も色々あるだろうし、私もキャスト発表あったときは戸惑いもしたけど、もう気にしなくていいし素晴らしい役者にジャンルの垣根は無いと思います。そのラインを積極的に踏み越えてくれたのが新感線という劇団であることは本当に嬉しいです。
 
同じ脚本から上弦みたいなねじれにねじれたブツが出てきたのに対して、月は「髑髏城の七人」という物語が「本来はこういう話だったんだわな…」ということを思い出させてくれる、スタンダートでとてもわかりやすい髑髏城でした。
役者の肉体・年齢差が脚本とシンクロしているため、上弦より脚本とキャストの親和性が高いですね。ここは…上弦もうちょい調整してほしかったなあ…とおもっちゃうなあ。
 
そんなこんなで兎にも角にも安定感。始まる前にキャストが「バブドクロ」なんて言ってましたけど、上弦は「(作品として)バブ(状態の試行錯誤を日々やってる)髑髏)」下弦は「バブ(でもわかるぐらい完成してる)髑髏」ぐらい違う。下弦から見ることをオススメします。下弦
上弦を初見にするとこう…色々と拗れて…危険なことに…
 
……でも上弦も見て…………
お願いだよ…私と一緒に苦しんでよ………あの苦しみもまた髑髏城が我々オタクに与えてくれるものなんだよ…
 
この後上弦帰ったら福士捨の顔小さすぎて見慣れないんじゃなかっていうのが一番不安ですね。
顔の小ささに戸惑ったときは、小さいを突破して遠近法を無視してたむかいり蘭をじゅんさんの横に並べて落ち着こうね。
 
■捨之介
花鳥風月通して最強最高の捨之介が出てきてしまった感に殴られていま死んでいる。
私はわりと珍しいんじゃないかな〜と思う、捨之介というキャラクターにめちゃくちゃ固執しているタイプのオタクなんですが「捨之介という概念が舞台に出てた」って錯覚するぐらい、もう良いとか凄く良いとかじゃない…「捨之介だった」としか言いようがない。
 
前評判としては殺陣がちょっと?みたいに聞いてたけど捨之介ならこのぐらいでもいいかな〜と思います。そんな気にならなかったです。小ネタの仕込み具合がサダヲ捨級とまではいかなくともかなりのもので、がんてっさいとの!!やり取りで!!ボケる捨!!見たかったーーー!!見たかったのありがとう!!!宮野真守さんなんか欲しいものありませんか!!?権力とか永遠の命とか……
 
私は花髑髏の小栗捨に脳味噌をぶん殴られてグズグズにされたんですが、それは彼が「自分が死に向かっているとは気づかず、のらくらと笑って生きている根暗」な捨之介であり、その見た目と裏腹の捻れに惹かれてしまったんですよね。小栗旬の顔やぞ。それでそんなねじれるなんてことある!?って。彼は根暗で、最初から死に向かっていて、心の奥底では「死にたい」と考えながら生きていたと思うわけです。そんな小栗捨が大好きなので、捨之介として最強の捨之介が宮野捨だとしても私は小栗捨が大好きなので髑髏城の七人花season花を観てください(小栗しゅて最高アピ)(ゲキシネはよ)。
 
なんで小栗捨の話をしたかというと、見てる間「ああ…これが本来小栗捨のやるはずだった路線だ…」って思ったんですよね。小栗捨、多分この路線になる予定だったと思う。それがなんか…何かがこんがらがって…というか多分ワカドクロでの未來・太一の持つ強烈な死の匂いに引きずられたままブラッシュアップがなされて、花のような捨になったと思う……。
 
だから観てる時の捨之介オタクとしての気持ちは「やっと会えたね捨之介」でした。
何いってんの案件でいいんですけど、それぐらい宮野捨は捨之介という概念を真正面から描ききった、捨之介というキャラクターの実写化だったんですよ……。
 
上弦の感想記事でも書いたんですが、私は月髑髏は「はじめて捨之介が天魔王に敗北する髑髏城」だと考えています。
これまで「天魔王を殺す」ことを目的に置いてきた捨之介が「天魔王を止める」ことを目的に置いてしまったせいで、天魔王に敗北をしてしまう物語。
そうなったことに対して正直捨之介のオタクとしては悲しいなと思っていたりもしたのですが、宮野捨を見たことによってすとんとこの設定変更が落ちてきました。
 
宮野捨…めっちゃ陽キャ!!!!!
天魔王や蘭のような極端な思考の人間がいることを理解できない。人の善性を信じ続けている。差し伸べた手はいつか取られるものだと思っている。夏は海辺でバーベキュー。冬はゼミの同期とクリパに鍋パに忘年会。
底抜けの明るさと、自分の持つ信念を「信じ続けている」捨之介なので、鳥風で追加された「罪のない人間を天魔に殺されるところに立ち会ってしまった」みたいな設定がないのもよくわかりますね。彼はある種、本当の地獄を目にしていない捨之介なんです。だから天魔王をそこまで憎まずに済んでいるわけで……。
 
もしかすると、この捨之介にとっては「多くの人が天魔王に泣かされている」ということよりも「天魔王が多くの人を泣かせている」ということのほうが辛いのかもしれないな。もちろん、誰にも泣いてほしくないと思っているけれども、泣かせている側の人間のことも「辛い」と思って寄り添いたくなってしまうタイプ。歴代ナンバーワン甘ちゃんだと思います。この点が宮野捨の特徴であり、ある種本来の「捨之介像」から少し外れている部分・宮野捨にしか表現できない部分だと思うし、そこが私には刺さりました……。
 
宮野捨が一番激情を露わにした瞬間が、天魔王が自死してしまったあと、というところがすごかった。そこから霧丸に支えられて歩き、すぐさま「俺が惹きつけるからお前らは逃げろ」と口にする流れ。本当の地獄を知ったんですよ。あの瞬間、捨之介は「性善説」「友情」「許し」が通じない人間がいること、ましてそれが自分の友人(と思っていたんじゃないかな)であったことに絶望して、死んでしまいたいほど苦悩していた。
 
これまでの捨之介が「死に場所をずっと探していた」のに対して、宮野捨は「死んでしまいたいほどの地獄を最後に見せられてしまった」んですよね。そんな捨を救うものが誰かというと、霧丸であるわけです。「天魔王を殺すためではなく、捨之介を生かすために髑髏城へのりこんできた」霧丸。もう家族を失って一人きりになって、もう死んでしまってもいいから天魔王の首を取りたいと考えていた彼が「あんただけでも生きろ」と言う。
霧丸という存在は、今回の髑髏城において「己の考えは間違っていた」と天魔王(というよりも信長の陰)にボコボコにされまくった捨之介に差し伸べられる「違うよ。間違ってなかったよ」という肯定と祝福です。霧丸じゃなきゃ、捨之介は救えなかったんです。捨之介が救いたくて、救えた霧丸だからこそ、地獄を目の当たりにした捨之介をなんとか引き上げてやることができた。この構図を美しいと言わずになんと言いますか!?
 
この対比がくっきりしたことによって、霧丸・捨之介の関係性が美しくてなんていうんですか!?若者言葉で!?エモい!?エモかったよーー!!!!!!!!
 
往年(ではない)の捨之介・沙霧関係性モエオタクだったので霧丸の登場にはま〜〜ぶっちゃけふてくされていたんですが(許して…沙霧がほんとうに好きなの…)、これならいいよ!これならいいんだよ!!!!すごくよかったよ!!捨之介と霧丸良かったよーー!!!
 
とにかく捨之介が最高すぎたので宮野真守のオタクは臓器を売ってでも見てほしい。
捨之介を魅力的に見せられるかは後半にかかってると思っていて、その後半を満身創痍で演じきった宮野真守さんにはもう是非おいしいごはんをいっぱい食べてほしいです。ステアラで髑髏やると激ヤセするんだよ。りんご三個分になる前に早く。
 
■天魔王
 
すずき ひろき さん ……
 
私は2.5詳しくない(元ライトニチアサオタク)ので鈴木拡樹さんはディケイトと戦国鍋でしか見たことないんですけど、数々の伝説はつたえ聞いており、そしてこの人に関してはそれ全部ホントなんだろうな…じゃないとここまで来れないよな…みたいな気持ちもあって、こんだけマジメにやってる人が報われない世界は嫌だ…絶対売れてくれ…と思っている謎のポジショニングの人間なんですけど(ここまで一呼吸)、見終えても~~~絶対髑髏城踏み台にしてくれよな!!って思った。
 
見てきたぞ。天魔王。
髑髏城という作品のオタクだけど鈴木拡樹さん絶対髑髏城踏み台にして死ぬほどビッグになって。
もう絶対売れて。
 
非の打ち所がないっていうのはこういうことを言うんですね。
さすがに先に太一天魔を見てしまっているとマント裁きはもうちょっと欲しくなってしまうんですが、殺陣きれいだし声聞き取りやすいし芝居によどみなく完璧と言わざる負えない。
あとこっちも顔がうるさい!!!宮野捨と喋ったりしてると顔wwww顔wwwww喋ってないときも小芝居やめてwwwなにその表情筋どこまで動いてるの!!!???wwww状態。
 
こっちもこっちで「天魔王」という概念をそのまま憑依させた感じでした。
アニメ:髑髏城の七人のハイパー最高舞台化作品だよこれ。天魔王完璧。二次元から出てきたみたいだよ。
 
トリッキーすぎる太一天魔を見たあとだと、鈴木天魔のクレバーさにびっくりします。
すごくない?ちゃんとエゲレスからの手紙読んでたよ!?いちいち振る舞いが知的すぎて絶対この天魔王国立大学出てるよ!!経済学部でガチ系ゼミ入って就職も早々に決めてるよ!!太一天魔と偏差値20ぐらい開きあるよ!!!!!!(太一天魔はたぶんIQが高いほうの天魔だよ)(多分子どもの頃は天才って言われてたよ)(試験はちょっぴり苦手だよ!)
 
卑屈で矮小で賢くて強くて血も涙もなくて少しだけ憐れで、きれいな配合の、本当によく作り込まれた天魔王。天魔王という概念が自走してる……すずきひろきさんに天魔王が憑いてる……カテコで帰りがあんまり早くない…すごい……
とにかくノンストレンスの権化で見ている間の不満点が一切なく、「すっげ…すずきひろきすっげ…」感に心が満たされていったし、下弦髑髏のノンストレス感最大の功労者はどう観てもこの人でしょ…。
 
ものすごい贅沢を言ってしまうと、ほんとうに天魔王としてデキはよかったが既視感は多々あったので、これだけお芝居のできる人ならこの人にしかできないような天魔王を観てみたいなーという欲張りが出てきますね。まだまだ公演期間あるし、ここから遊べる余裕はいくらでもありそうな座組なので、進化が楽しみすぎて震える。
そして是非次は、すずきひろきさんのために一から宛書された役で新感線に出演してほしいな。
 
あと早乙女太一の体(うるさい)に鈴木拡樹の顔(うるさい)をくっつけて大騒音スピーカーにして宮野真守にぶつけてみたくない???今度は勝てるかもしれない…うるさいほうが勝つならうるさいのとうるさいのを合体させてうるさいのにぶつけるんだ……
 
 
■蘭兵衛
顔のちっさくてちょっと愛想あるワカ蘭観てるみたいな感じだった…(?????)
上弦も思ったけど蘭の衣装だけは本当にどうにかならないかな〜!?新宿のホストみたいなのでなんとかしてほしかったですよ!!!
 
上弦三浦蘭がこれまた異色だったので、スタンダートなしなやか・ちょっと愛想ある蘭が出てくると「おっ…蘭兵衛じゃん(???)」感ある。三浦蘭が殺陣頑張ってたのでどうかなーと思ってたのですが、こちらも問題無しって感じですね。
 
こっちの蘭は極楽とも恋仲な感じだ。
私は風蘭が極楽を抱きしめた時「お、お前ーーー!!!!!!」とキレちらかしたのですが、今回もキレるかと思った……。今回の蘭正直ちょっとよく…つかめてないんですが…君アップダウン激しくない?みたいな…なんであんな楽しそうにしてたのに大虐殺で大暴れなの……?情緒が不安定……命の母あげたい…
 
蘭をほんとにどう処理していいのかわからなくて下弦で一番困惑してる。私が今回捨にめちゃくちゃ目をやってしまっていたせいもあると思うんですけど、今回の蘭がどういう蘭なのかはもっかいちゃんと観ないとなんとも言えなそうです。
まあ蘭兵衛なんて作中一番情緒めちゃくちゃでわけわかんない奴からしょうがないんですよね。
なんで上弦は天魔があんな情緒めちゃくちゃなの??
 
あっカテコで極楽の手をとってたの最低最悪でカーーッ!!ってなりました。私蘭兵衛さんという概念に心をめちゃくちゃにかき乱されてきてるオタクですけど、ほんとこの男がこの話で一番許されざる男だと思いますよ!!!許せない…ちょっと見た目と設定がオタク受けするからって……
 
■霧丸
捨之介と年の差が出るだけでこんなにも説得力が出る……ということを認識してしまった……。
霧丸良かったです。霧丸に変更した意図を感じ取ることがやっと、やっとできた…。
 
芝居としてはやや拙い部分?危なっかしい部分がちょこちょこ見受けられたのですが、ものすごく気にかかるレベルでもなく。上弦霧丸が賢そうだったのに対して、こっちは山・土に慣れ親しんでいるうちに才を発揮してしまったタイプの天才って感じですね。沙霧だと上弦が鳥。下弦が花みたいな。私は沙霧のひたむきさにボコボコにされて沙霧の親族のおじさんになったので、この下弦霧丸がだいぶグサグサと…きました。
 
わたしは霧丸(沙霧)のひたむきさが本当に好きで、髑髏城という大人・武士の理屈が絡み合ってぐちゃぐちゃになるなかで一人、子どもの主張の世界でいきているところが好きなんですが、この下弦霧丸もそういう子で、だからこそ捨を救えたのだなと感じます。
上弦霧丸がちょっと照れが入ったり、素直になれなかったりの果てでの「あんたカッコつけすぎだ」だったのに対して、下弦霧丸は本当にストレートに、コイツめっちゃカッコいいよって思いながらの「あんたカッコつけすぎだ」のように感じられて、どちらもいいなぁ…と。
 
そしてやはりめちゃくちゃ動ける。
上弦も思ったけど……君のほうが捨之介より強いのでは????????????????
あとなんか上弦に比べて顔近くなかった???最後のほうキスするのかと思って「沙霧じゃないんだぞ!!沙霧でもしてないんだぞ!!」ってめっちゃ慌てた。
 
■兵庫
個人的にはMVP。花鳥風月通してナンバーワン兵庫。
月髑髏発表時に一番「ここ絶対外さないだろうし楽しみ」って思ったのがこの木村兵庫だったんですよね。木村くんの兵庫は外すわけ無いだろうと思ってた。そしてその想定どおり、素晴らしくって木村くんにしかできない兵庫を見せてもらいました。
 
いや。すごいよこの兵庫!兵庫の王道を行ってるんだけど、一方で木村さんの兵庫にしかない匂いがしっかりとする。
この兵庫という存在がしっかりしているかいないかって、結構作品のテンションに影響をおよぼすんですよね。木村兵庫は緩急のつけかたも巧みで、物語をぐいぐいとリードしたり、観客がほっと息をつく時間をつくってくれたりするのがとても上手くて、下弦の持つホスピタリティの権化はこの人だと思いました。
 
どのシーンも完璧だったけど、特に良かったのはやっぱり、無界襲撃後かな。
死んだ荒武者隊の子分たちに気づいて、名前を呼びながら死体と向き合っていくシーン。髑髏城でも最も心が痛いシーンだと思うんですけどね、あそこをあんな風にやった兵庫は今までいなかった。
 
なんと表現していいのかわからないんですけど、「死を認識していない」声で呼びかけるんですよ。
これまでの兵庫たちがどこかで「死んでる」とわかっていて、それでも縋るように明るい声で子分たちを呼んでいたのに対して、今回の兵庫は本当に「死を見つめずに」生きている子分たちに声をかける。
それが段々と死を認識した声色に変わっていくあの様。すごい。鳥肌たちました本当に。そうだよね兵庫って、野武士を斬ったことはあっても死とはあんまり関わってこなくて、そんな兵庫があれだけの地獄を観てすぐ飲み込めるわけがないよね。
月髑髏観ててもっとも鳥肌だったシーンはここかも。
 
木村兵庫すごかったですよ本当に。
いくらでも絶賛したい。兵庫という単純そうに見える役柄を、物語の歯車として捉えつつもキャラとしての魅力も両立し、どちらもしっかりとやりきった手腕に頭があがりません。木村兵庫を観て。
 
■極楽
え?この人何歳…??? 何歳……????
これがレジェンドか……という気持ちであっけにとられて観てました。
年齢を感じさせない可愛らしさ・きゃぴきゃぴ感。女の子たちとも同い年のような距離感で接して戯れてる。常に桃色。コーラルピンク。いつでも顔の周囲にお花が見える。かわいい…かわいい……!!!!!!
そりゃこれは兵庫も好きになっちゃうわという納得の説得力でした。
 
でもちゃんと年上の貫禄もあって……パーソナルスペース凄く近くて、あれやっぱり母親目線だからあんな風にスキンシップするのかな〜とか…いろんな味が混ざり合っているのに極楽として成立していた。極楽としての情報量が多かった…。
 
木村兵庫とやり取りするときに小声で「いらないわよ」とか「バカ」とか言ってるのがちょーーーーかわいかった!!!
聖子さん太夫は「魂の美しさ」に惚れた兵庫って感じだったけど、こっちは「女はいつまでもその気でいれば女だしカワイイのよ」って極楽にウィンクされた気持ちになる。そりゃ兵庫も惚れるわ。
同行者なんて「今回の兵庫と極楽ってどっちが年上なの?」って聞いてきたからね!?わかんないよね……。
 
■渡京
ここに関しては正直厳しさをいろいろと感じてしまった…。
役者さんが悪いとかじゃなくて、渡京はもう、本当に誰にも代えの利かない粟根さんの役柄なんだなと。三五ちゃんがサンボさんにしかできないようなもの。全体的に爽やかなので最低だなこいつ感がイマイチ足りない気がしました。
 
やくしゃさんが悪いとかではなく…
粟根まことのための役柄「渡京」だったんだなということを…思い知った……
悪かった点とかはないので、粟根渡京を見続けてきた人でなければこのショックは受けないと思うし、問題ない…?のではないかな…?と思います。
 
■生駒
さとみさんの生駒ってなに!!??どういうこと〜!?と思ってたんですけどハマってた。
上弦生駒とはまったく違ってカワイイ…。いこま、おこだからね!!絶対カナコさん生駒は言わないww
 
天魔王への態度も全然違いますね。
上弦は生駒が天魔をヨシヨシしてくれてたけど、下弦は生駒が天魔王様にヨシヨシされた〜い♡って感じ。
死に方も、生駒が「あなたがそう決めたのならそうしなさい」と選択して死んでくれたのに対して、下弦は「やっぱり天魔王様って残虐で素敵ーー!!」ってテンションで死んでいくので、こっちのほうが狂気的で怖かったです。
 
私は山本カナコさん大好きオタクなんですけど、これはこれで…凄く…いいなあ…。
さとみさんの持ち味が存分に発揮されていて、魅力的でした。
 
■いん平
インディさんがこの役どころってどうなの!?と思ってたんですけど予想を越えたハマり用
ガリガリのおっとうになったことによって、農民としてのリアリティ・貧相な人間が敵に立ち向かうカタルシスが増したと思います。いん平は月髑髏のダークホース。
 
強いていうなら、ここまでガリガリげっそりにするなら仁平の「どらえもん」に対抗する何かが欲しかった気持ちがありますね。何かないかな…いいの…ていうかステファニーはずるいでしょ。しかも連呼するし。ステファニー。
 
■鴈鉄斎
上弦がわりと害のない変態だったので、下弦が普通に害のある怖い変態で笑ってしまった。わたしこのがんてっさい好き……。やっぱりがんていっさいは有害じゃなくっちゃ…。(上弦のかわいいがんてっさいも好きです)
従来のおもしろおじさんコーナーほど遊べないはずなのに、かなりガチャガチャ遊んでたし、宮野捨も乗ってくれるおかげで楽しいシーンが多くてよかったです!中村まことさん初めて拝見したのだけど、良いなぁ。もっと見たかったー!
 
■狸穴
千葉さん狸穴って危険なんですよね…。
どれだけ若手のイケメンがモリモリ出てきてかっこいいことしてても、この人出てきて喋った瞬間「最強イケメンが出てきちゃった」感にスン…となってしまうんですよね。
声から振る舞いから顔から何から何までかっこよいよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜;;;;;;;;;;ウワ〜〜〜〜〜〜ン;;;;;;
ここまでかっこいいと何も狸じゃないよ〜〜〜〜〜〜〜;;;;;;;;ウワ〜〜〜〜〜ン;;;;;;;
好き〜〜〜〜〜〜〜;;;;;;;;;;
 
上下通してぶっちぎり夢女向け枠でしょ!!!!!!
 
 
そんな感じで下弦は全体的にノンストレス・熱量もありとにかくよくできている髑髏城でした。初見の方に気持ちよくオススメできる!
特に宮野捨のハマりようは凄まじく、最後の最後でこんなに大正解捨之介を見せてもらえたことに感謝しかない。
ホスピタリティにも溢れていて、まさしく「ロイヤルホテル豊洲のスウィートルーム」待遇髑髏城。いいんですかこんな…いいんですか?いいんですね…?
 
もう本当に満足していて、素晴らしかったという気持ちでいます。
その前提でちょっとだけ言うと…ここからはちょっと髑髏城老害オタクイズム入る意見なのですっ飛ばしてもらっていいです)
 
上弦も感じたのですが「髑髏城をやろう」としている役者さんが凄く多かったので、なんかね…そこはね…気負わなくてもいいのでは?若いんだしもっと遊んでいこうぜ!!イエイイエイ!!みたいな気持ちになるところもあったかな。
上下通して、ワカドクロの残したものの重さを噛み締めています。やっぱり当時のでき・評価をさておいたとしてもワカドクロで髑髏城は第二シーズンに入っていて、初演小栗旬森山未來早乙女太一の演目という色合いを、完全には消せずにいるんだなと。(特に蘭はやっぱり…良くも悪くも…他の人がやるときには悪くもですが…早乙女太一ナイズされすぎてしまったと思います)
 
下弦は本当にデキが良くて、みんな素晴らしかったのですが、ここまでやれる人たちならもう少し「この人にしかできないこの役」を見てみたかったな、と感じる人もちらほらといました。オタクは本当に贅沢な生き物だ…。
 
とはいえそこが下弦のカラーだとも思うので、とにかくこの素晴らしい髑髏を見せていただけたことに感謝です。
ありがとう下弦ーー!!!!ありがとうーー!!!髑髏城って楽しいよー!!!一階席ーー!!二階席ーーー!三階席ーー!!
 
下弦が安定して楽しい極楽を築いてくれているなか、上弦がゴロゴロと地獄を転げ回りながらオタクを呼んでいるのが怖すぎるんですが、上弦と下弦ローテするの楽しすぎてヤバくない?頭おかしくなりそう…温泉と水風呂だよここ…下弦の髑髏城ホテルに泊まったあと野宿イヤなんですけど、それでも上弦の「これが関東荒野だよ。思い出した?」と言わんばかりの荒々しさ・独善的で整備されていない人間の感情のぶつかりあいに魅せられている自分もいるので、上弦も上弦で本当に楽しんでいます。
カラーの差がぱっきりと別れたけど上弦も下弦もおもしろいよ!ほんとだよ!!!怖くないよ!!!みんな上弦にもおいで!!怖くないよ!!嘘だよ!!私は上弦怖くて毎日泣いてるよ!!!
 
それと、他の髑髏城ももれなくぜーーーんぶおもしろいから、もし下弦から髑髏に浸かってくださった方がいらっしゃったら、是非過去髑髏も観てください……
髑髏…楽しい…かゆ…うま……
 
 
 

髑髏城の七人season月〜上弦の月〜 初日見てきましたの感想 ※12/3追記

12/3 二回目見たので、中盤あたりから追記しました 太字が追記部分です
 
月髑髏(上弦)初日見てきましたーーーーーー!!!
現時点では下弦はまだです!週末見れるといいな〜(チケットはない)
 
まず前提を話すと、わたしはワカゲキシネから髑髏とペガサスにズドンといったタイチサオトメ推し髑髏党員だったので、腰を壊す覚悟で鳥に通いつめて燃え尽きる…(風月は2回ずつぐらいかな〜^^)予定だったのですが……月…をぶちこまれ……財布は死んだし腰は壊れました…今も壊れています…。そんな感じなのでこの感想は髑髏城知ってる人向けな感じです。というか初見勢でまだ見てない人は読まないでくださいね!!!髑髏城は「何も知らないで見る」のが一番楽しいんだ…ほんとだよ…。
 
いやもう正直とても怖かったし恐れていた……
どうなっちゃうのこれ……どういう髑髏になっちゃうのていうか推しの天魔王…さっきまで蘭だった推しの天魔王を見せられるってどういうことなの……と怯える日々を過ごし観に行ったんですが。
 
うわーーー!!!!!!!!!!!!!!!!
みんな顔が小さい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 
風のときにむかいりの顔の小ささに「じゅんさん(大好き)の半分ぐらいしかなくない…?」「遠近法が狂う」「コンソメキューブぐらいの大きさしかない」「見るたびに小さくなってる気がする」「小さすぎて米粒に見える」「もはや顔が消えた」と混乱してたんですが、月は小さい顔がバンバン出てきてバンバン並ぶので「顔小さい城の七人」って感じで頭がおかしくなりそうだった。なんであんなに顔が小さいんだ……?????????????????なに食べてるの?なにも食べてないからなの?じゅんさん(風)若い男の子いっぱいだよ月にお蕎麦振る舞いにおいでよ…。
 
鳥髑髏の掲載誌バラバラの漫画ぶりのあとだと、風のビジュアルめっちゃ地に足ついてて「ドラマ21 その時髑髏城は動いた」って感じだな…って思ってたけど、月も月でドラマっぽい。髑髏盛りの君たちへ〜イケ武士☆パラダイス〜。一幕終わりで霧丸が実は女って判明してインターミッション
 
月髑髏自体は初見さん向け?というか補足事項もけっこう多く、特に極楽と霧丸・雑賀と熊木が土の民山の民として助け合う様子が見えたのはほんっっとうに良かったです!舞台で是非見たいと思っていた設定でした。全体的にわかりやすかったんじゃないかな。(鳥髑髏の説明不足ぷりたるや凄まじかったしね…)
 
初日なので相当荒削りなことになってるやも、と覚悟して向かったのですが、思っていたよりも手堅くまとまっていた……という印象でした。四時間あるとは思えないスピード感でする〜っと進んでいった。ワカほどの重苦しさもなく、エンタメ感も強いので、初見さんには勧めやすい髑髏になっている気がします。
逆に新感線!!要素を楽しみたいとなると、ちょっと物足りなくは感じてしまうかも。いのうえ演出だし中島脚本だし、劇団員もいるけど、どことなくヨソの舞台感あったように思えました。
 
以下、細かな感想です。
好きだな〜!!!ってことと一緒に、個人的にあんまり好みじゃないな〜と思ったことの話も普通にしていますが、私の「好みじゃない」の話なのであんまり気にせず読んでいただけるとうれしいです。(好みじゃなかった、は自分という個人がこのコンテンツのどこにこだわってるのか、って部分に起因する話でしかないので)
この感想、まだ初日(と12/3追記)のやつだしね……。鳥ですら初日は「これ私は好きなんだけどウケるやつなのかわからない…」って困惑してたからね……。
 
■捨
立ち回り・芝居ともに正直を言うと粗削りさ・危うさが、特に後半は目立ちましたが、もうとにかく顔が良かった……。あと…顔……小さいですね……。
高身長の細身でありながらも、しっかり舞台に立っていたのも良かった。あの体型の役者さんってけっこう肉体を持て余してしまうというか……所在なさげに見える瞬間が多いので。
 
捨に関してはですね、個人的には、この改変はちょっとなぁ…と思うものの、中島さんが戯曲あとがきで書いている「これが現代的ヒーローの価値観」という言葉にも同意できてしまい、う~ん…私としては、私としてはなんですけど、正直なところ言いますと、(ほんとうに個人の感想ですよ)め〜〜〜っちゃ複雑!!!!
私はやっぱり…捨には天魔王を殺す、という覚悟を持っていてほしかったんですよね…。朗らかで一見フラフラしていて優しい捨之介は、天魔王だけは許さない。覚悟を持って殺す。という明確な意思を貫いているところが、少しいびつでもあって好きだったんだな~。
今回は月捨の優しさが完全に天魔を追い詰めまくっていたこともあり、ちょっと受け入れるのに時間がかかりそうです。ちょっとすれ違ってるだけ、とかじゃなくて根本的に理解できないんだろうなぁ、、と感じてしまったのは寂しかった……悪いというわけではなく、寂しかった…。オタクは寂しいという感情に弱いいきものなので……。
 
話は変わるような変わらないような、なんですが、捨之介というキャラは失敗する要素もあんまりないけど、成功させる材料にも恵まれないキャラだなあと思っています。天や蘭みたいなピーキーさ・華やかな飛び道具はなく、立ち位置も善なのでそこに色男要素やほの暗さで味付けしてるというか。その味付け要素も薄れてるので、今回の素直すぎる、自由で爽やかな捨という役柄は、初舞台でものすごく試されてるなあ…と感じました。
 
とはいえこういう改変も髑髏城のだいご味であり、若い福士くんの捨はこのストレートさ・あるいは微量の愚かさもコミでキャラ立ちしていくような予感が強くあります。宮野捨はどうなるんだろう…私としてはバリバリドスケベなのが見たいんですけど…!!!!!!!!!!!!!!
 
あっ!!!あと良かったと思った改変は、最後の天魔王攻略法!!!
いつも、弱かったはずの捨が強い天魔を一発グサッとしただけで、天魔が顔に水かけられたアンパンマンみたいに死んでいくの違和感あったので、今回みたいな根気勝負でひたすらひたすら剥がして、天を目指していた男を「地に足のついた」人間にまで引き戻して…というのは地の男らしかったし、今回の捨之介らしくて良かったです。
ただあのシーン…暗くて、遠くの席からだとなにが起きてるのかイマイチわからんよ…灯りを持て~~!灯りを持てぇ~~い!!っていうのあそこでほしい。
 
そういえば「雨を受け止める傘になる」という像は風から引き継がれてる感じですね。色男要素が薄れていくぶん、こういう大らかさで攻めるというのは捨之介の路線が広がっていいな~と思います。
久々に蘭の瞼を閉じてやる(閉じてたよね…見間違いだったら怖い)(二回目見たら見間違いでした!!!!初日はそれなりに遠かったのでごめんなさい!!)(と思ったらやっぱり初日はやってたのこと。日によって閉じたり閉じなかったりなんですね…)捨だったのも、その路線ゆえかな。今回の捨、天魔にも蘭にもめっちゃダチ感ある。仮面ライダー部に誘うんじゃないかとハラハラしたよ。。。人間のことが大好きで、どんな悪いことした子でもその子の幸せを願ってしまうような、小栗捨松山捨とは違う路線の純な優しさですね。
やっぱり捨之介という人間は天蘭に比べると、ど〜しても若い役者向きではない立ち位置だと思うので、そこをふくしくんがどう馴染ませていくんだろうな〜と楽しみにしています。
 
2回目見てかなり見方が変わりました。
要するに今回の捨之介って、髑髏城ではじめて「天魔王に敗北する」捨之介なんじゃないでしょうか。
 
正直初回見てる時は、あまりに捨が善すぎて・よくできすぎていて、こんなに完璧でいいのかなという不安をいだいていたのだけど、それが全て「捨之介が敗北する」ために敷かれている設定なのかもしれない、と思うとかなり納得がいくんだよね。
捨之介という人間はこれまで「天魔王を倒す(殺す)」ことを目的に置いてきた。正直、それさえ果たせればその先自分がどうなったっていいという想いで生きていた。だから天魔王を殺した捨之介は天魔王に「勝つ」。物語のなかで勝利をおさめる。
ところが月髑髏において捨之介が掲げている理想は「天魔王を止める」こと。ご丁寧に「殺すんじゃない。止めるんだ」とまで言う。捨之介にとって「天魔王を殺してしまう」は勝利条件ではなく、「彼を生かしたまま止める」が勝利の条件になっている。
その観点で見ていくと、捨之介は天魔王に「負けて」しまったんですよ。もっと言うとこの「天魔王」は人の男じゃない。月の捨之介は人の男や自分、蘭兵衛に覆いかぶさる「天魔王」という存在を相手に戦っていた。
 
それが、天魔は自決してしまうわ、あまつさえ「もういないんだ」と訴えてきた「天魔王」の亡霊をかぶせられ、家康に捕まる。もう完全敗北なわけですよ。そりゃ、これまで温厚でなるべく人を手にかけてこなかった捨之介も、鬼みたいな表情でまわりに刃を向けるよな。という。
月の捨之介は、あの場面にきてはじめて「自分が負けた」ということを感じ取ったんじゃないかと思う。自分の愚かさを悔いて、諦めて、天魔王の亡霊相手に降参してしまったんだと思う。
これまでの捨之介が「天魔王」への勝利を収めた上で死を受け入れるのに対して、月の捨之介は「天魔王への敗北」を機に死を受け入れてしまう。捨之介は天魔王に負けたことによってはじめて、己のなかにまだ居座る天魔の御霊に向き合い、戦うことを決めたんじゃないかなと思いました。つまるとこ、彼の戦いは本当にここからはじまるのかなと。
 
霧丸と共に「ここからまた始める」という色合い濃い捨之介がラストに来たのは面白いなーと思いますし、天魔王が勝利した髑髏かもしれないと思うと、ここから修羅天魔に雪崩れ込む流れがまたなんとも言えず……月…深い……。
 
とはいえやっぱり、捨之介という役柄はある程度年を取ってなんぼだと思います。霧丸とのやりとり含めてちょっと若すぎるとは思っちゃうなー……。こればっかりは役者さんにも動かし難いことだし、なんともいえないなあ。
 

■天魔王
化粧濃~~~~~~!顔怖~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!
 
これ知ってるよ私鳥で学習したよ。多分一週間後にはもう全然違う天魔になってて、毎週のようにコロコロやること変わっちゃうやつでしょ。知ってるよ!!!!!!!!!今日の公演から日本語喋らなくなってても納得のレベルだよ!!!
 
大きな持ち味である殺陣はわりと抑えめでしたね。敦盛がないし(なぜ…今回はあってもよかった…)
得意技の扇子に、未來さんから受け継いだマント技を披露する機会もあるのでそこで補えてるかな~とは思いつつ、今回はまじで芝居を試されている感じですね。
 
芝居を…
いや~~……
正直めっちゃ月 こわい…
 
始まった今でもこわい…推しの力量を試されまくってるという恐怖…一介のオタクには何もできない祈ることしかできないんだけど、それはそうと胃がキリキリしてくる。
太一さん推しの自分としては、勝負の土俵が森山未來さんかと思うとね…もう震えが止まらないんですよね…。
 
念のため言いたいんですけど鈴木くんがライバルでない、と思っているわけじゃないんですよ。
(下弦見たあとの感想で書きたいけど鈴木くんマジ絶対強すぎ俳優として覇道を築いてほしい…みたいな謎の願いを抱く外野の人間です)
ただ見てもらうと分かると思うんだけど、あまりにも未來さん(鳥)の残した軌跡がデカくて、夏から豊洲の劇場に居座り続けている未來さんのゴーストと戦わなきゃいけない感を覚える。
 
ふー。
上弦天魔王というキャラの話です。
鳥髑髏見終わったあと「鳥の蘭ヤバいサークラ女みたいだった」って頭抱えてたんですけど、月は見てる時「妖怪級のヤバい女では」と思った…。
オカマって言われると違うんですよね…これ鳥蘭のときも表現に困ったけど「女」なんだよな…。歌舞伎のお岩さんとか、そういう美しくって憐れで不気味で恐ろしい女の化物。
っていうのをあまりにもあまりにもな感想だからと思って控えていたら、帰ってきてパンフを読んだ瞬間に脳が爆散しました。さ、さおとめたいち~~~~~~…さおとめたいち…
天魔王でよりによって 天魔王で女性を併せ持った人間をつくろうとするとか、考えついてもそんなことさおとめたいちしか
やらなくないですか!?!?(せやろか?)(今だけ盲目オタクでいさせてほしい)このあたりで推し最高スイッチ入って親指立溶鉱炉でした。
 
やーー 鳥髑髏の蘭を私は「情炎の蘭兵衛」と呼んでたんですが、今回もそれな気がする。「情炎の天魔王」。
彼の素地は鳥髑髏と同じようにも見えるんですが、彼は鳥の天魔とは違うんですよ。
大きな違いは鳥天が口にしなかった「人間五十年夢幻の如くなり」をきっちり口にしたところ。多分だけど、鳥の天魔は晩年の信長なんて愛していなくって全盛期の信長を愛していた。一方、月の天魔は本当に最後の最後まで信長を愛してたんじゃないかなぁ。愛してたから傍にいて最後看取ったんじゃないかなぁ…。でもそこで蘭には勝てないって現実を突きつけられて、狂ってしまったのかもしれないなぁ、、とか思っています。
敦盛こそなかったけど、冒頭城燃やしダンスはまさしく敦盛を彼なりになぞったんだと思うしな……。
 
従来は仮面だけで済むのに、最後の最後で皮をべりべり剥がされていくの、むごかったな。それこそ羽を捥がれるイカロスみたいだった…。月天魔にとって天魔の鎧までもが信長そのもので、あの鎧と一緒にいることだけが天魔にとっての最後のよすがだったようにも思えたので、それをはがされていくのは…無理やり信長から引き離されていくみたいで辛かった。
下弦天にはないと噂を聞いた、しもやけてぶくろ(しもやけではない)もどういうイメージなんでしょうね。血みたいな赤色の指先……。

始まる前は「キングギドラ」「聖闘士星矢」「天魔王のオンナコスしても聖闘士星矢にしかならない」と嘆いていたギンギラギンにさりげなくねぇ甲冑だけど、あれ、モチーフ蛾だったのかなぁ…と見終えた今では思います。
美しい蝶にはなれず、羽をもがれたらもう飛べない蛾……
テンマチャン…つらい……鳥路線の天魔は私の心をぐちゃぐちゃにする…
 
待って!!!!!!!!二回目見たら全然違う人になってた!!!!なにこれ!!!!!!
ぶっちゃけ初日は持ち味のエモーショナルさがやや暴走していて、台詞が聞き取りづらくなっていたりまあ正直…未來さん色が濃く残っていたりしたのですが、二回目はもう全然違った!静か動なら静!するりと相手に絡みついて、知らないあいだに喉笛に噛み付く、蛇のような天魔王。
 
未來さんの天魔とかソンハさんの天魔って「口先が本当に達者で、相手の心をくすぐるのがうまい」という感じだったのですが、早乙女天は口先は大したことないんだけど、天性の魔性で相手を惑わすという感じになってきましたね。ぶっちゃけ、頭はあんまりよくなさそう(笑)なんなら蘭よりもずっと女性じみた挙動、所作、口ぶりが目立つ。でもオカマとかオネエっていうとまた違う……なにこれ……。
私は早乙女太一という役者の魅力の一つに「声」があると思うのですが、一方でこの「声」が足かせになると感じる瞬間もあり、初日はそれを感じてしまったんです……が、二回目見た時は完全にその「声」が天魔王という役柄の魅力に直結していて感動しました。表面は掠れているのに中身は湿気の高いあの声が囁いたかと思ったら、低い男性そのもののような叫び・威圧に変貌するともうね、すごく「怖い」の。一人二役路線の天魔王に対してこのタイプの「怖い」を感じたのははじめて。気持ち悪くて、それでちゃんと怖い。それでいてカワイイこともするからもう感情はめちゃくちゃ。
 
天魔王がこの女性めいた仕草・口ぶりを織り交ぜたり、あと銃を向けられるとかならず顔からかばったり(頭をかばうっていうより、顔をかばうって感じだよねあれ…)するのに、お化粧はやっぱりきれいよりは不気味に寄っているアンバランスさがまた気味悪い。彼は信長に「天地人」のうち「人」を与えられても、満足できなかったんだなぁ。そんなものより、蘭丸がもらっている「愛」がほしかったんだろうなぁ……。鳥の天魔は「もう今の殿は見ていられないし昔の殿が好きだから殺してしまおう」って感じだったと予測しているんですが、月天魔は「今のあなたも昔のあなたも愛しているけど、どちらにせよ私を見てくれないなら殺してしまおう」だたんじゃないかなーーーと思います。だから殿の面・鎧に酷く固執しているのかな。
 
どうしても天魔王のキャラ造形が月は鳥に近しいから、完全に切り離した芝居になるのは難しいと思うけど、それでも今日見た太一天魔にはもう森山天魔の面影はなかったと思います。鳥に通った私が言うんだから信じてくれ。もうぜんっぜん違う天魔だよ。ここからまだ二ヶ月以上あると思うと、どれだけ変わっちゃうんだろうという期待しか抱けない。推し最高です。世界にありがとう。


■蘭兵衛
登場シーン一億点!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 
すご…三浦さんすごいですね初めて見たけど、かなり動けますね……あと顔…小さいですね……。(二人目)
ノリとしてはほんと普通のあんちゃんって感じの蘭でしたね。工業高校のインテリヤンキーみたいだった……これクローズだったっけって思っちゃった…。
全体的にワカ…というか太一さんを勉強してきてくださったのかな…みたいなのを感じてソワソワしたしありがたみを感じた。
決戦前あそこまでイキってる蘭初めてみたのでヒエーッwwwってなりました。ステイッ!ステイッ!って声かけたくなるもん。完全にお散歩待ちわんわん。
 
ほんとにビジュアルが完璧で、登場の瞬間から「ハ~イ一億点で~す」って感じだったので、一億点じゃん…一億点!!一億点でーす!!って大興奮しましたね。わたしはむかいやらんべというキャラのキャラデザが好きなのでむかいやらんべのキャラデザで出てくる役者のこと無条件で好きになってしまうんですけどね。
 
立ち姿とか歩きの、細いけど重心感じるところすごくよかったです。動きがねーすごく…ワカを見てきたのかな?いやというか本人いるし、本人に教わってきたかな…みたいな…多分見間違いでなくて…凄く綺麗だったので感動しました。
やんちゃで年頃の男の子ぽいところが見えるのも新鮮でいい。年としてはワカ蘭も男の子だったけどあっちは今すぐ死にますみたいな顔して出てきて死んだからな…。鉄パイプで窓ガラスカチ割り続けてたら後ろからドタマ割られて死ぬみたいな蘭、生き意地汚そうで新しいなぁ。
 
極楽たちに息子のように可愛がられて育ってきたって設定も、それゆえカーチャン泣かせるなよ!!!みたいな気持ちになってしまって辛かった……。本当に無界に恩義感じてそうだったし……「は?無界?別に……」みたいなテンションだったむかいり蘭のあとに見るとなおさら際立ってきて、こういう差異が髑髏のおもしろさですよね。
 
しかし本当に普通の男の子って感じの蘭ですごいな、これどうするんだろう…と思ってたけど、天魔が女性にふりきっているというのなら、それに呼応するように男性を強めてる、って要素もある蘭なのかもな〜と思ったり……?どうなんだろ…怖い…そわそわする…
 
黄泉の笛また早くなった!?
初日見た時はちょっと二幕からが弱いかもしれないと思ったんですけど、今日見たら二幕からもすごく良くなっていた。これまでパキッと乾いた男らしさを貫いてきたからこそ、ガラッと色が変わった瞬間が際立ちますね。男性極振りの蘭兵衛すっっっごい好き。
 
「無界屋蘭兵衛はもう死んだ」の言葉に違わぬ、未練のなさ。無界を愛していたように見えたからこそ、ここまで未練なく裏切られると本当に辛いですね。月は捨が自由色強いからこそ、天と蘭の囚われぶりが鮮やかに浮き上がってくる。
しかし兵庫にビンタしたの最高だった。そういうことできるレベルには気安い仲なのかもしれない(そうか?)
「男性感強いらんべさん」ツボの自分にはみうらんべさん趣味に合う。普通に同情の余地ない最低の外道なところもいいよね。鳥とか被害者ヅラしすぎで同情しそうになるからやめてほしかった。無界屋蘭兵衛は作中で一番やりたい放題して殺しまくって死んでく男だから、憐れまなくてもいいんですよ!!こいつ悪いやつなですよ!!私は無界屋蘭兵衛さん担当Pです。
 
もーあと身も蓋もない話するとね。この蘭見てると「この蘭が趣味な信長はそりゃ〜天魔のこと愛してくれないわな」とか思っちゃう。タイプ全然違うもんね。「天魔のことも愛してあげればよかったじゃん」とか思う余地ない。そうね。これが好きなら天魔は無理だよねみたいなね。まあ私も天魔はちょっと重くて無理だけど…でももうちょっとやりようあったんじゃないの……ねえノッブ……ちょっと飲もうか……。
 
 
■霧丸
役者さんはじめて拝見したのですが、動けるし芝居もしっかりしていてよかったです!
今回初参加勢の役者さんのなかでは、個人的には一番安定感はあったと思います。
 
ただ、事前の懸念通り霧丸にした意味とは……という感じだなぁ~……。
いや霧丸にならざるおえない理由もわかるし、やりたいこと・意図もわかるんだけど……。
 
戯曲読む限りでは復讐者という立ち位置なんだろうけど、数々のメタファーや関係性の類似・因果の回収が飛び交う髑髏城で、ここにきて復讐からの解放、がテーマになっても、あまり明確に見えてこないんですよね。
というかそれ、鳥の捨が遠回しにやっちゃってるしなー……というのもあり、私個人にとっては新鮮味には欠けてました。(これは髑髏全部観てるからだと思うけど)
動けてしまうことが裏目に出て、捨が頑なに霧丸を守るのも(また、霧丸が都度守られるような状況に置かれてしまうことも)違和感出てしまったのがまた難しいな……と感じました。重ねて言うのですが役者さんは本当にきっちりとこなしていたのでなおさら。
 
あくまで捨之介と沙霧は「救った相手に救われる」という対等の関係性だったんですが、それが男性同士になることによって兄貴と子分じみてしまい、結果的に「救い救われ」の関係性が薄れたのも、かなり痛かったと思います。かといって中の人の年齢は大して離れていないのでやや違和感あり、、という…この点はどうしても役者の年齢的に、下弦のほうがナチュラルになってきそう。
男性同士になったせいかホ…に見えないように、情熱的なセリフを取り締まられちゃったのも痛い…。
霧丸がぼやけてしまうことによって、捨之介の輪郭もだいぶぼやけるので、結果的に捨陣営はやや精彩を欠いた形になってしまいがちと感じました。
 
どういう立ち位置にすればよかったんだろう…
銀さんと新八みたいな感じがよかったんですかね

霧「ってオイイイイイイイ!駆け込み先色里かよォオオオオ!」
捨「おい何はしゃいでんだよ霧っつあん 男の駆け込み先はいつだって女の懐の中よ…おっいいケツ」
霧「アンタはアンタで何しにきたんですかァアアア!!??」
 
ないなって思ったし無理って思ったしイヤすぎるわって思った。やっぱり年齢差が開いてないの痛い気がするなあ。
 
あっ!ただ、沙霧と捨の百人斬りは私の夢だったので、男になったとはいえそれがかなったのはうれしかった。本当にものすごく動けるので、見ていて連携プレーが気持ち良いの!!良かったなぁ……
 
今日近くの席から見たら表情がとてもよかった!
台詞だけ見ると棘のある言葉や行動が目だってしまうので、近くの席で見ることによってかなりイメージが変わるなぁ、もったいないな…と感じちゃいました。近くでみるとかなり表情での演技・苦悩や怒りや喜びころころ変わってて、なんかそこに沙霧に面影を見て……ちょいロス覚えた……。霧丸くんのこと好きになっても沙霧ロスが晴れるわけじゃないんですよ!
 
霧丸が男になったことのメリットとして「地の男」の捨之介と「土の民」の霧丸が協力しあって、ニコイチで天魔を倒す感があるのがいいなと思いました。「天魔王を殺す」ために動いていた彼が「捨之介を助ける」ために城へ行くという変化も、「変われなかった」という色合いがシーズン中でも特に色濃い月蘭・月天と合わせて見るとかなり救われた気持ちになる。
これが主流になっちゃったら寂しいけど、今回の捨之介との相性としては今回の霧丸も良いのかなーと感じるようになってきました。ウウウすみません沙霧ロスを引きずっていて……。
 
しかしやっぱり……霧丸のほうが捨より強そう問題は深刻だと思う…笑
 
■兵庫
ワカドクロを見て予習してくれた感がする!!!(気の所為かもしれない)
顔…小さいですね…(3人目)
とても器用にこなしてくださっていた印象です。霧丸同様安定感があった。やっぱりテンションが高くて若い兵庫って、いるだけで舞台が華やぎますね。前回がちょっと異色の、すん…とした兵庫だったので、こっちもこっちで差異が楽しめて嬉しいです。
 
難点としては、役者の年齢に開きもないせいか、霧丸と立ち位置がかぶってしまいがちかな〜と感じました。
極楽との年の差をものともしないスタイルにも、ま、まじで〜!?wwwwwって感じ。でもここまで思い切ってると、私としてはすんなり飲み込めるな。
 
最後カテコで、絶対に極楽のお衣装の裾を持って出ていってくれるのがかわいくてかわいくてかわいかった……あそこを見て「え〜完全にアリ 今回の兵極アリアリのアリ〜」って頭どろどろになっちゃったよね。
 
 
■極楽
聖子さんの極楽をこの目で拝める日が来るとは思っておりませんでした…!!!!!!!!
 
蘭や娘たちを自分の我が子のように、お母さんのように接して守っていこうとしている姿が、これまでにはない極楽像でよかったなぁ。極楽太夫、というよりほっとする実家のカーチャン感が出ていますが、でも髑髏においてはそういう場所こそ「極楽」かもしれないよね。
 
蘭とは恋仲ではありませんでしたが、まるで親子のようだった点が逆に、二人の別離の辛さを演出していたと思います。蘭はきっと極楽が積み重ねたものの結晶だったんだろうし、それが転がり落ちていって悲劇を起こすっていうのは、これまで極楽がしてきたことへの否定にもなるわけで……。
 
あと、家康を叩かないの新鮮でしたね。歳を重ねた極楽だからこそ踏みとどまれるというか。蘭のことも「好きにおやり」って気持ちがどっかにあったのかなと思います。でもその結果娘のように思ってた子を息子に思ってた子が殺していくという事態になったわけで、もうやりきれないし死んでしまいたいよな…って思う。
なんかもーーーーーーーーーーーーーーー ほんとに辛かった……。
 
二回目見て一番「ヤバイ好き」度合いが増したのここだった。
え???めっちゃ良くない??わかってたし知ってたはずだけど改めてめっちゃ良くない?????
聖子さんはいつまでも美しいけど、とはいえこの年代の極楽というのをどうこなされるんだろうという気持ちがなかったわけではなく、でもすごい。この極楽わたしめちゃくちゃ好きだ……。
 
多分月の無界には極楽より美しい娘はいくらでもいて、それは無界の人たちも、極楽本人もわかってるんだと思うんだよね。でもあの明るさと、周りを気遣う心とカーチャン感・安心感はやっぱり唯一無二で、その生き方の美しさを「関東一」と呼んでるんだと思う。「人の器量」で全てを図る里だもん。若さ・見た目の美しさだけで評価されないのは女たちも同じなんだ。
兵庫が極楽を好きになるのは無理があるんじゃ、と思ってたんですけどこの極楽を見たうえで、兵庫が「日ノ本一のきれいな背中だ」って言うののを聞いて、ああもう異論ない。納得できる。って腑に落ちた。兵庫は極楽が「背負っているもの」に惚れたんだ。極楽太夫がこの里を背負って立ってそれでも強く笑っているところにどうしようもなく惚れてしまったんだな、と。
 
あともう一箇所好きだな、って思ったの。蘭の呼び方。無界襲撃の時も「蘭兵衛」と呼んで次には「蘭兵衛さん」と問い直すじゃない。「蘭兵衛」は彼の母親みたいな気持ちで呼んでるんだろうし、「蘭兵衛さん」は一緒に無界の里を作ってきた仲間として呼んでるんだろうし、蘭に対しての二つの側面を使い分けて、どっちでもいいから戻ってきてと祈るような極楽はとてもつらかった。本当に辛いよ。この極楽はそりゃ死んじゃおうって思うよ。だからこそ、その極楽に「あんたを追い越す」とまでの遠い未来を語った兵庫がピッタリなの、異論ないですよ。
聖子さんの極楽を見るのは三回目(生でははじめて)だけど、月髑髏の極楽が私にとって一番好きな聖子さん極楽になりそう。すごくすごく好き……。
 
 
■渡京
なにその青メッシュ なにそれセクシーすぎない????????
そろばんは残念ながら封印でしたが、覚悟してたより出番普通にあってよかった……。
 
しかし鳥は演劇おじさんチャンピオン祭りだったから違和感なかったけど、月のなかにいるとさすがに「何故この若者のなかに紛れこんで…」って気持ちになってきますね。なんでだろ……若い男の子たちにお蕎麦を振る舞いに着てくれたのかな…????
けっこう上弦は声が似てる人が多かった?ので、そのなかで粟根さんの声聞くと、あまりに特徴的でわかりやすくってありがたかったです。粟根さんのお声本当に好きだな。
 
■生駒
不肖山本カナコさん大好きオタク狂喜乱舞。カナコさんもお声が好き……見た目とのギャップ…。
ていうか太一さんと山本カナコさん絶対舞台で絡むようになってるのなんかめっちゃ嬉しいんですよね。本当に全部絡んでる。
カナコさんの生駒が可愛くて本当に好きなんですけど、だからこそ今回の改変…自分から死んでいく生駒はウウッとなった……。風は天魔王様のためなら虫けらのように死ねる、って女が側近だったんだろうけど、月の生駒はワカの将監みたいな…ちょっと保護者のように思ってたところもあったんじゃないかなー。
なんとなく、月は極楽⇔蘭と天魔⇔生駒が対になっているような気もしました。天魔が望んで殺した生駒と、蘭に望まれて殺した極楽みたいな……。
 
要所要所仲良し要素が多すぎるせいで、殺した時のなんでそんなことすんの感が強かった。太一天は殺して一時間後には生駒〜って声をあげて呼んで、生駒が来ないことに駄々こねてから「あっ殺したんだった」って気づきそうなところがありますよね。
 
■仁平
あのシーン!!!!!!!!!上弦見てて一番会場湧いたと思ったし私もゲキアツだった。
やっぱ鎌は磯平の得意技なので、仁平には鍬で戦ってほしい欲あったんですよね!!!
てっきり今回は兄さかな〜と思ってたので、おっとうだったのにはビックリしました。うんうんでも、もうおっとうって年齢差だよねえ……。
本当に安定感抜群だったので見てて安心できた…。
 
■鴈鉄斎
なんかすごいかわいかった……最近暴れん坊ばっか見てたから…???????????
あんまり害のないタイプの変態でよかった(そうかな??)
鴈鉄斎の出番減っちゃったらやだな〜と心配してたんですが、心配いらないレベルで普通に出番あった。なんでー!!!これならビジュアルにがんてっちゃんも入れてーー!!!!ドンドンドンドン!!!!
 
■狸穴
今回は狸穴の陰いつもより薄めかな?と思ったけど、風が狸穴フューチャー髑髏だったからそう思ったのかもしれない。
いっけいさん!!!舞台でははじめて見たんですけど、当たり前のように馴染みますね。いやほんと…当たり前すぎる当たり前なんだけどね…馴染むっていうかまあ…馴染むどころの話ではないんですけどね…。
いろいろと変動のあったキャラのなかで、狸穴はいつもどおり狸穴だったので安心して見れました。
 
 
全体的には、月は超ワカドクロとなったことによって人物のキャラ立てがやり辛そうだな〜と思っちゃいました。
やっぱり髑髏って最初に見た髑髏にスタンダートを置いてしまうので、見ている側としてもいろいろ気持ちの整理が難しいですね。髑髏見ていると「オタクとして楽しい」と「観劇として楽しい」の二つの感情があって、月は前者としては楽しかった(捨之介周りに関してはオタクとしてしんどみがあったんですが…)のですが、後者としては現時点ではいまひとつかな…と感じたかな。
宛書きではないので、役者さんの肉体・声・動きとキャラをすり合わせる労力がいつもの非ではないと思いました。その他、2.5にあわせる都合かな〜と思うような変更点がちらほらあり、それが違和感を産んでしまっているように見えてしまった部分があったのも否めず、なんとなく商業都合を感じてしまった点は、気のせいであればいいんですが、、どうかな……。
どの役者さんも「髑髏城をやろう」と精一杯頑張ってらっしゃって、だからこそもうちょっと肩の力を抜いてもいいんだよ〜…みたいな気持ちになってくるのかな。演劇体験としては鳥髑髏がほんとうに楽しかったんですが、あれは髑髏城というお庭のうえで役者が好きなお花を持ち寄って植えて、一番目だったやつが優勝!じゃあ俺はラフレシアな!!みたいな…そういう空気が好きだったんだと思います。勿論、それはベテランが多いからできることであって、まして初日近くの今では難しいだろうけど……。
 
やっぱり髑髏城をいっぱい見ちゃうっていいこともあれば悪いことも多いですよね。
どの髑髏城を見るときでも「記憶消してこの髑髏を一番最初に見てみたかった」って気持ちになるな。今回も思った。この髑髏城の七人月は髑髏城の七人月であって、それ以外のなにものでもないはずなので、単品として楽しめるぐらい早く月で脳をじゃぶじゃぶにしたい……。
 
でもねーーーーーーーーーーーやっぱりねーーーーーーーーーーー
沙霧が恋しいよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!笑
 
とはいえ今週末も上弦増やすかと思ってるレベルで堪え性ないし上弦楽しんでます。イエーイ!!!髑髏城楽しいーー!!!!!!!!私はDDD(髑髏城 どれでも 大好き)〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!
 
↑↑↑
 
宣言通り増やしました!!!!堪え性ないです!!!!次は週末に下弦だよ(^_-)-☆
正直上弦髑髏くん荒削りでハラハラするんですけど、めっちゃエモいんですよね。私が髑髏城を好きなのはやっぱり「エモい」からなんですよ。演出の好きさとか話の作りとか完成度とか、そういうものを重視するならもっと他のいのうえ歌舞伎でいいなって思う。髑髏城はあっちを立てるとこっちが立たない厄介な演目で、結局どこかはほころぶし歪になるんですよね。
でもそこが好きで、なので上弦髑髏の正体不明のエモさが刺さってるところありますね……。
 
上弦捨天蘭全員「純すぎて危うい」という空気感なので、なんかちょっとしたハラハラ感すら胃がキリキリする圧迫感になってくる。これは上弦独特のカラーになっている気がします。いや、覚えさせちゃいけないハラハラ感もだいぶ…あるし、それはなんとか…どうにかして欲しいんですけど……でもこの危うさがあるうちにしか出せないものもあるって私知ってるよ……。
 
局私は髑髏っていうかいのうえ歌舞伎に漂う「変わらないものは変わらない」という清々しいほどの虚しさが好きなんで、くるしいし辛いけど天魔と蘭が清々しいほど「変わらない」まま死んでいき、それによって捨之介が敗北を喫してしまうという月髑髏の構造は……すごく好きになってきちゃいましたよ……。(ちなみに下弦は役者の肉体・年齢とキャラが上弦よりも脚本に寄り添っていそうなので、物語の再現という面でとても楽しみにしています)
 
でもね でもねーー 衣装はどうにかしてほしいよ!!!!!wwwwwwwwwwwww
前回は遠かったからあんまり気にならんかったけど、近くで見るとマジ!?ってなる衣装けっこうあったよ!!!!この際はあとはいいんだけど蘭兵衛さんの一着目だけはもうどうにかしてww兵庫と並ぶとガチャガチャしすぎて柄シャツの派手さで戦う工業高校のヤンキーだから!!!!!
 
あとこれ下弦はどうかわからないけど、やっぱ年齢差はもうちょっとバラけた方がいいと思います。年齢差があんまりない人たちが並んじゃうと髑髏城の持ってるいろんな出自の人々が〜…感が薄れてきちゃうんだなあ。上弦は声が似てる人も多くて「えっ今誰喋った?」みたいになりがち。ステアラの音響良くないからなおのこと。初日とか「えっ今の三浦くんしゃべった?太一さん?」ってなってたもん。さすがにそれは私の耳が悪い。はい。すみませんでした。
 
いやーーー
髑髏城楽しい……髑髏城楽しくない?
髑髏城って楽しい……すごい……足りない…足りないなら足せばいいって天魔王様がいってた……
 
 

風髑髏見てきたよ!!の感想

9/17のソワレ見てきました。
感想を残すか悩んだのですが、鳥髑髏を初日〜楽まで追って、そのあいだになにが変わったのかとかどういうところが進化して、こういうところが変化して…みたいな話をよいのもわるいのもどんどん忘れていったので、(自分にとっての)よいもわるいも残しておくことにしました。
 
当たり前ですがめっちゃネタバレ有りなので未見の方にはオススメしないです!!!
 
 
 
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髑髏城の七人風っていうかけものフレンズ。髑髏城フレンズ。ウェルカムトゥようこそドクロパーク。色彩めっちゃ暗いけど。髑髏城の七人鳥はけだものフレンズって感じだったけど今回はけものフレンズって感じでしたね。ほんとどうぶつ奇想天外状態だったしこれ髑髏城の七人狸に改名したほうがよくない!!!!!!???みたいなみたいな。
 
作りとしては一人二役の復帰なんですけど、「ウワッ!!!!アカ!!1997!!アオ!!…ワカ!!!!???」って気持ちがめっちゃ忙しくなるのでドクロジョーオタクは心臓3つぐらい持っておいたほうがいいと思いました。とりあえず普通に髑髏城見るようの心臓と過去髑髏に抉られるようの心臓と予備用のやつ。順番にパーンパーンパーンッ!ってなってステアラ荒野で死ぬから気をつけたほうがいいので持っていってね。約束だよ!
 
全体的に衣装・舞台・音楽など、おどろおどろしさを感じるほど無骨。アカでもこんなに暗くなかった気がする。時々「蜉蝣峠だったっけこれ」と思うレベルで色彩が暗かった……。アカの無骨さにワカのソリッドさをぶっこんでダバーッと豊洲に垂れ流したら風になるかな。
 
お芝居の味付けとしてはやっぱりアカに近いのかなーと思いました。
やっぱり花鳥って、ワカをやった上で得た新しい髑髏城、の路線を貫いてたと思うので、ここでいったん2004年代の髑髏城に引き戻されるって感じですね。でも、ところどころ「それでもこれは今やってる髑髏城なんですよ」といういのうえひでのり中島かずき神の意志を強く感じる部分もあり、回帰というよりも私は橋渡しの髑髏城に思えました。初演〜アカアオまでと、ワカ〜鳥の間にどことなく存在している(と私が感じているだけかもしれない)断絶の橋渡しのような、ミックス髑髏城というかー……。いろんな要素を壊して崩して打ち直して組み合わせて、そうして出来上がったものに新しい風という味付けをしたスクラップ&ビルド感。原点回帰というのも、集大成というのもなにか違うし、私としては「めっちゃ挑戦的だなぁ……」って気持ちで観ちゃってた。個人的には鳥よりも挑戦しまくってると思います。一人二役といえばあのオチ!っていうアレが覆されたのはびっくりしたし気持ちよかった。そうかぁ、これ、新しい髑髏城なんだな〜と。
 
一人二役の醍醐味として、早変わりであるとか、「えーーっ!すげーー!」と思うようなギミックも盛り込まれており、そういう意味ではより歌舞伎的かも。あそこ…あの、あそこ、みんな「えっ」て思いましたよね!?わたしは全然気づかなかったのでええーっ!って思ったし、天魔死に際のアレも「ええーーーーっそういうことしちゃうんだーーーっ」ってビビった。いのうえひでのりの手のひらでコロッコロされるのた〜〜のし〜〜〜!!!
 
ここからは一人ひとりへの感想です
 
■捨之介
はーーー どうなるんだ?と思っていたんですけど思った以上に前世(蒼の乱)からいらっしゃった感じだった。だいぶ松ケンのお芝居によったタイプの捨之介になっててよかったと思います。
鳥捨がめっちゃ好きなこと…は…真実なんですが…一方であの黒装束をいっぱい見たあとに白着流しふんどし太もも大サービス捨見ちゃうとうんうんうん!!うんうん!!!(脳汁ダバー)みたいになりますね。あと今回アクションおもしろい。身のこなしがひょひょいとしててあーースッパならたしかにこのぐらいできるできるって思える。(忍設定今回あったか忘れたけど…)
太ももサービスほんと激しくて戸惑った。一回百円ぐらい取ったほうがよくない?ロビーのマツケン人形の背中あたりに穴あけて募金箱にしたら最終日までにはいっぱいになって貧しい土地(市場前)に学校が建てられると思う。学校はいいのでコンビニ作ってくれ〜。
これまでの捨之介って「地の男」って言われても、こんな華やかな男が地に潜っても大目立ちでしょ……花捨とか草原歩いてたって赤絨毯が見えるし…って思ってたので、今回の捨之介がふわふわ喋りのちょっと抜けたとこある天然ぽい捨なのおもしろいですね。デカい…けど、地に潜っていたと言われても納得できる。デカい…けど。
女たらし復活なのかな〜とか思ってたけど、後半につれてあんまりそういうアピールもなくなり、助平感は全然なかったので玉転がしではないかなと思いました。女とか戦場より……草原が似合うよ。そりゃ蒼真も「お前の生きる草原を守りたい」って思っちゃうよな〜〜〜あっこれ髑髏城の七人でしたね。
正直なところまだ方向性自体は定まりきってない印象を受けましたが、とにかく純朴で心優しい捨な気がしました。鳥が「忍」に極振りした捨だとすると、風は「地の男」という人間にシフトしてたかも。天魔と一人二役だからなおそう思ったのかもしれませんね。
 
■天魔王
ウオーーー!あんまり仮面とらない天魔王だーー!!!!
一人二役髑髏城をこの目で見るのははじめてゆえ、二幕で仮面を取ったら松ケンの顔が出てくるところアドレナリンが出ました。すごーーい!!ほんとに一人二役だ!!って感じ。
最近人外みたいなビジュアルの天魔ばっか魅せられてきたので、普通に人間というか信長…だ…って感じの天魔が出てきたのはビックリです。なるほどね、そりゃビジュアル出さないわ。
久々に正当な、狂気とは違った「怖い」を感じさせてくれる天魔王…天魔王様…天魔王様!!を見せていただいた。小物感もなく、どっしりと構えた圧倒的ヒールの天魔王様。カリスマですよカリスマ。ちゃんと日本語喋るしすごい。
やっぱり松ケンがデカいので、デカい天魔が強そうな鎧でばしゃばしゃ人を斬ってると「こっわ……」と感じますね……。天魔王は絶対的悪役で悪いヤツだったという、髑髏城を繰り返し見てると忘れがちなことを思い出させてくれる。あんなん絶対相手にしたくない……信長の顔知らなくてもあんなやつ見たくない…怪獣じゃん…。
正直あんまり細やかな表情とかまで見れなかったので、次はもっと天魔王という人間を見たいですね。やっぱどうしても捨を見ちゃうので……。
 
■蘭兵衛
フレンズのお蘭ちゃん!!!!!!!!!!!!!!!!
ワカ蘭か?ってぐらい尖ったナイフの如し冷徹ぶりだったんですけど、その割に細かい動きがちょこちょこしてたりしてて可愛かったのでフフッwwとなってしまうし、激チョロだったのでもっとフフッwwとなってしまう。舞台の上のかわいい子猫ちゃん枠だった。
しかし黄泉の笛で歩いてるだけで敵が飛んできて剣に刺さるのはどういうこと…!?やっぱり顔が小さいから!?って焦りました。キッスも二回あったし…顔が小さいから二回ぐらいやらないと夢見酒一発okの自信なかったのかな?みたいな…いやホント顔小さいヤバい…オペラで見ても表情よくわからなかったもん(?)
冗談さておき、口移し二回あったのビビったんですけど、今回「織田信長」を強調した天魔王だったからなんだろうなぁ。最初のキッスで心を奪い二度目のキッス(夢見酒)で完全に奪う肌に無理なく深剃りがきく……。愛する人と同じ顔をした男にはもう全然まったく抗えないんだなと思いました。
 
今回の蘭史上最強に心閉じてるな…いやワカと同じぐらいかな…瞬間湯沸し器のワカvsテンションの心肺がずっと停止してる風って感じ。そのくせ極楽のこと抱きしめるの最高に最低でしたね。絶対愛してないじゃんっていう。なんならこの蘭、雑賀の女たちを抱え込んだ理由は「彼女たちが戦力になる」だったからかもしれないよねっていうレベル。信長以外への誰にも、未練も愛も持ってないので落ちる気もマンマンじゃ〜〜ん!!
でもそんな蘭でも髑髏党入ったらイメチェンがんばって眉毛剃ったりしちゃうんだなって思うとかわいい。完全に一部のシーン見てるあいだ、動物がかわいい動画見てるような気持ちだった。ふふ…懐かしいなこの隙ある感じ…(アオ)っていう……。本人は自分の掲載誌ヤングマガジンだと思ってるかもしれないけど!ねこのきもちに掲載されてますよ!
 
あっビジュアル。ビジュアルはもうやっぱすご〜い。は〜すご…顔ちっちゃ…スタイル良…を噛み締めてしまった。お衣装最高〜〜〜〜!!!!!最近ちょっと強そうな蘭(わたしとしては鳥蘭のこともだいぶゴリラだとおもっています)が続いていたので、久々に儚げな蘭が出てきてそうそうそうそう実はそうだった!!って心のなかで膝を打っちゃいましたよ。
 
■沙霧
かつてなく「女」でちょっとビックリした。
捨のことめっちゃ好きそうでかわいい。私としては少年のような沙霧大好きなので、今回のちょっと恋の駆け引きとか知ってそうな沙霧は、沙霧の親戚の立場からすると寂しいんだけど、でも捨がぽわわんとしてるのでちょうどいいかな!
けっこう動ける沙霧だった!!!今回は一人二役で沙霧の担う役割も変わってくるし、後半がすごく楽しみです。要所要所うぉっ…と思う点があったので楽しみ。
 
■極楽
うわっこれまた懐かしい路線の太夫だ…と感動しちゃった。
自分としてはかなり良かった!し、もっと良くなりそうと感じた太夫でした。
ただあの路線でいくなら、全体的に衣装もっとかわいい系でもよくない?とかは思っちゃう。かわいいんですわ今回の太夫。そりゃライトふりたくなるよね、っていう笑
あと、ちゃきちゃきしてる極楽が蘭みたいな男に引っかかっちゃうのか〜!?っていうの世知辛い。全体的に生命力強かったから最後死のうとするかな!?とか、最近の極楽要素と過去極楽要素が混じりあうことによってわりと混乱しちゃう気がしました。
 
■兵庫
山内さんの兵庫ってどうなるんだ!?と思ってたら、想定以上に山内さんの兵庫がでてきた。
今回の風、周りの熱量がわりと低めなので、そのなかで兵庫までスンとクール系になってしまうとちょっとのっかれないような気もします。でもクールバカの兵庫っていうのはやり遂げたら絶対おもしろいからここからどうなるか楽しみ!
くんろ日替わりにするみたいだけどネタ持つのかな!?笑
 
■鴈鉄斎
橋本じゅんオンステージ始まったって感じ。
ツッコミ不在でややしんどそうだったけど、じゅんさんがいつもどおり???で??なによりです。風見終わったひと絶対一定数は蕎麦食べたでしょ。食べたくなるわ、蕎麦。ずるいわ。あの百人斬り。
あとさぁ……黒魔鬼はずるい。
 
■三五
正直言っていいですか!!!??喋った時めっちゃほっとしたwwww
今回三五ちゃんが喋るともうそれだけでほっとしたし、花と同じ役をやりつつ、また違う役だったのでウオ〜三五ちゃんやっぱり好きだ〜〜;;;という気持ちになりました。狸駆使しすぎなんだよなぁ。
 
 
 
以下はあんまりよくない感じの感想となってしまうので、読みたいかただけドウゾという感じです。
でも初見の方にはあんまり先入観を持たずに見てほしいので、もしまだ風見てないけどこれ読んでるよって人いたら、見終えてご自身なりの「良かった悪かった」を体感したのちに読んでいただけると、私としても嬉しいです!これ、髑髏城の七人風見ないでねの文章ではないので。。
 
 
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結論からいうと「やりたいことはわかる」に現状は尽きるという感じ……。順番もよろしくないというか、花でおいしい月見うどん食べさせてもらって、そのあと鳥で天ぷらマシマシのうどん(天ぷら多すぎて麺まで食べられなかった)いっぱい食べて、風ですっと素うどんが出てきた感じ。いや……わかる…出汁で勝負…秘伝の出汁でね……おいしいよね素うどん…そうなんだよ素うどんはおいしいはずなんだけど…いかんせんまだ出汁が出きっていないのでひたすら地味に感じてしまうところがもったいない…。
 
まだあけたばっかりだししょうがないんだけど、役者さんにクールな人が多いのか、いまいちボルテージが上がる様が確認できなくて、生で見たはずなのにゲキシネで見た気分だった。とはいえ表情アップとかないので定点カメラの映像ってほうが正しいんですけどね。髑髏城見てるとグワーーッとお芝居の拳に頬を殴られた気持ちになるんですが、今回は割とさらさらっと流れてしまって、あれ…そういう意味で風…?か…?これが正しい気持ち…?と不安になったり……。
 
むかいり蘭……が動けないのはもうしょうがない!別に蘭って動くキャラでもなかったしね!って思うんですけど、じゃあ天魔に「ヒリヒリした命のやりとりがうんぬん」言わせちゃだめじゃない!?とか、蘭この立ち位置なら二番手じゃなくてもいいよね!?みたいな、蘭に対する消化不良が残ってしまう……カテコ曲が蘭である必要性をまったく感じなかったんですよね……いやだって別に…どの役者がどういう風にやろうと蘭って主役でもなけりゃ敵役でもない永遠の三番手(これでも番手めっちゃあがってる)だと思うしなぁ〜。
風はこの「蘭の置き所」に困ってる感が一番しんどかったかもしれない。役者が悪いといいたいわけではなく、そもそものコンセプト……?この路線ならもはや女蘭でもよかったのでは?と思わなくもないところがある……。
 
次の登城までは間が空きそうで、早くてライビュになるかもなのでそれまではみなさんのレポを拝見しつつ、楽しみに待ちたいです。でもこれ、ホントやり遂げたらすごい髑髏城になると思うし、私の大好きな髑髏城になってしまうと思う!そうなると今度はチケットのために財布捨之介でしんどいんですけどね……。