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おもに劇団⭐︎新感線まわりの怪文章を投げています

地獄を知る者知らない者/髑髏城の七人月~上弦の月~12/17・24ソワレ感想 

 
上弦の月三回目観てきました。
とかいってるうちに四回目も見ちゃったのでその複合で感想を書いています。髑髏の感想はやっぱエネルギー要る。
 
上弦を立て続けにキメました…… 
いいたいこと しぬほど ある…

とにもかくにも見るたびに違う芝居になっているので困っています
太一天魔王三人目とかいう響きに「ま~た増えたの!?」と笑っていたが、このペースで三人目って。何人増える気。LDHに入って分身の術も会得したんかな…あの鎧全部早乙女太一入ってるんじゃねえだろうな…(とかいってる間に12/29公演で四人目になりつつあるとの話題を観て頭を抱えています)
どうでもいいよ太一天魔王だけで城燃やしチューチュートレインする話は。

あのねーーーまず、月から髑髏党入りした皆様にお伝えしておきたい。
この花鳥風月髑髏っていうのは、いったん死に向かいすぎてた髑髏を生に向けてリセットする方向性で始まってたんですよ。
鳥で成志さんが言ってただけじゃなくて、もう花見た瞬間、びっくりしたんですよね。あっ軌道を変えた!生きていく物語になった!痛みを覚えて苦しんだとしてもそれ以上の喜びを抱えて生きていく物語になった!と。

2011年版髑髏とか今見るとびっくりする。死ぬために生まれてきた登場人物たちが死ぬために暴れて、当然のように死ぬ。残された捨之介もボロボロで、たいした希望もなくて、ここでは死なないだけでいつか死んでしまうって言われても納得がいく。
それが、花鳥風月ではだいぶ方向性も転換されて、最終的には生きていくことへの喜び・救済と光に掬い上げられる捨という物語になっていたんですよね。

そのラストが月であることをね…
私は……恨みますよ…………鬼悪魔いのうえひでのり中島かずき…大天才
 
「辛い。苦しい。でもそれを上回る喜びがあるさ。生きていこう!」って髑髏の物語が、最後の最後で「辛い。苦しい。それでも生きてかなきゃいけない」というものに変貌したこの空気感。花~風で生の喜び髑髏に甘やかされまくった身には劇薬すぎる。特に上弦!!!お前だよ!!!!お前お前ーーー!!!!下弦くんも下弦くんだからちょっと二人で廊下に立ってもらっていいですか!!!!???
 
鳥の時にね、なるし~さんが「滅びの美学みたいなものに傾きすぎている」と仰っていて。確かになぁ、そうだよなぁ、と深くうなずき、事実それが拭い去られた鳥髑髏はめちゃくちゃ私に刺さったんですよね。死や過去よりも、生きていくこと・明日を見つめてまっすぐに走り抜けていった鳥髑髏は、ほんとうに雨上がりの虹のようでした。よりによって「滅びの美学」ドストレートだったワカと同一キャストが天・蘭をやってる鳥がああいう味付けになったのは、めっちゃ面白いことだったと思ってます。
 
なのに、滅びの美学とはまた違った方向でしんど~いを提供されてしまった。しんど〜いわこんなん。月髑髏ってなんだよつら髑髏に改名しろ。上弦のつらい/下弦のつらいだわ。
要するに!!要するに!!「滅びの美学」ではなく「滅べない醜さ」の物語として月髑髏が出てきた。と思う。
突き抜けるよな光をもたらすことなく、ほんのわずか一筋の光に照らされて、なんとか生きていく物語。まさしく「月」髑髏。

救いなんてなくても生きていかなきゃいけない。それが遺されたものの為すべきこと。
捨之介・霧丸・極楽大夫の三軸からそのテーマ性を強く訴えかけられる月の、残酷すぎる物語構造をどう受け止めていけばいいか。
わかんねえ…わかんねえよ…もう何もわからん…なんでステアラでは水が300円で売ってるの……?


もう一つ「しんど〜〜〜〜〜〜い」を感じるのは月髑髏の「相互不理解」っぷり。
こんなに相互不理解激しい髑髏他にあった!?いやない!私は知らん!!!
かつてなく捨が天魔を・蘭を助けたいと願っていて、掬い上げたいどうにかまた仲間になりたいと思っているにも関わらず、かつてなく捨の手が天魔に・蘭に届かないんですよね。

もうね。この相互不理解っぷりがつらいんですよ私は。
鳥とか花って、「お前とはわかりあえねえ」ってことをみんな自覚してたから、ある種、気持ちは楽だったんですよね。鳥なんて捨がもう完全に天魔殺す…天魔殺すからな!!って姿勢だったし。よし!!殺せ!!天魔悪いやつだもんな!!って。

でも月は、「殺すんじゃない。止めるんだ」って言う。
いや~~!!!あれ見ててみんな「おいおいおいおい」ってならないの?私はなる。
あれと分かり合えると思ってる!?太一天魔だよ!!??ゴジラの赤ちゃんだと思ったほうがいいよ!!?
なーーーに甘えたこと言ってるんだよ顔がよくて高身長で顔がいいからって!!ってなりますよ!!??
これにはさすがのダチ大好き捨代表格・ワカ髑髏小栗捨も「無理無理」とドン引きだよ。
この「理解できるはず」という思い込みこそが徹底的な不理解につながっている空回り具合、月(特に上弦)のしんどいポイントなんですよ。

で、なんでこんな相互不理解が生まれているかというと「地獄」を知っているか知らないかの、彼らのコンテクストの不和が原因なんじゃないかと、そういう風に思うわけです。

月捨は鳥・風の「目の前で罪なき人々をたくさん殺された」捨之介ではないんだよね。
なんなら、捨って無界虐殺にも立ち会ってないからね。それであの若さってなると、ホントに地獄を見てないんじゃないかなーと思う。信長のもとにいたわけだからいろんな戦場はくぐり抜けただろうけど、それでも本能寺を潜り抜けてきた天魔とは見てる世界が違うよ。
この「地獄を知っているか否か」「その地獄を超えることができるか否か」という二つのコンテクストを持つもの・持たざるものの不和が強調されていて、つ~~らいですよこれ。ステアラの水300円だし(しつこい)
 
「お前にはわからない」と天魔・蘭側が捨を拒絶するだけならこれまでの髑髏にあったんですよ。
月髑髏は霧丸からの「お前らに捨之介はわからない」という返しと結びついているところがキーポイントだと思います。
これ、これまでの沙霧のセリフだと「お前らと捨之介は違う」という、あくまで沙霧という人間の持つ視点による断絶でした。
ところが、今回のセリフ変更によって「霧丸という人間が見た”捨之介と天蘭”の断絶」に代わっているんですよね。それも「捨を天蘭が理解できない」という主張。

この霧丸のセリフめちゃくちゃ残酷じゃないですか?
あの瞬間、月髑髏において捨:天蘭の相互理解という可能性はぶち切られてるんですよね。
そりゃね。見てる側はわかってるんですよ。天・蘭と捨は違う。理解しえないし、まったく違うところに生きてる人たちだって。
でも捨は信じてたんだもん。現実がどうであれ、彼は天・蘭を引き戻せると信じていたんだもん…。

要するに、もはや物語後半では霧丸のほうが大人なんですよねぇ…。
下弦霧丸はかなり無邪気で幼く、それゆえに幼さを貫き通すひたむきさが魅力だと感じたのですが、上弦霧丸は後半からの成長目まぐるしく、ものすごい勢いで大人になってく。
彼だって一族皆殺しにされて一人生き延びていくことになったのに、最終的には捨より落ち着いてるし、捨より現実見えてるんですよ。彼は一族皆殺しという地獄を見てきているから、きっとおそらく捨よりも天魔・蘭への共感がどこかにあるから、「わかりあえないものはわかりあえない」ということを理解している。

今回、霧丸で素晴らしかったのが、最後の家康へ仮面を差し出すシーン。
からっぽの仮面を「首」と差し出し、捨之介を縄から解けと説得するために、激情を堪えて礼節を保ち、跪いて落ち着いた口ぶりで進言する霧丸。このタメが、今回ものすごく良かったんですよ。前回見たときはあんなにタメてなかったと思う。
手も出さない。声も荒げない。捨之介を助けるために、大人になれる。相手のコンテクストに寄り添って話す霧丸。「コンテクストの不和」にて悲劇を繰り返してきた髑髏城が、最も序盤不安定だった少年が、家康へと「コンテクストを寄り添わせる」ことによって悲劇を回避させる。すっっっっ……ごい。あの絶妙な間のタメ・その間の決意の表情や声色すごい。私はこのシーンで一番泣きました。今回イエヤッスが評価したの捨じゃないんだわ。霧丸なんだわ。

地獄を見せられて、不和のまま終わって、それでも生きていかなきゃいけない物語髑髏城。
捨之介にとって厳しいこの物語はやっぱり「捨之介敗北」の髑髏城なのではないかと思います。
マジこれで捨不在極髑髏に突っ込んでいくのなんなのぉ…来年は髑髏城の七人衣食住が上演します。

■捨之介
二幕かなりよくなりましたね!!
一幕は…が、がんばれ…滑舌…がんばれ…百人斬り…は…、17日ソワレだいぶヤバくって、髑髏見ててこんなハラハラする百人斬り初めてだったかも…刀落としちゃってたし受け取り損ねちゃったしだいぶ手順狂っちゃってた。疲れるよなあぁ…頑張れ…頑張れ…。
 
いやーふくし捨ほんと、初日に比べるとぐんぐん良くなってきているんだけど、その「良い」の方向性が「安定感」じゃなくて「不安定感」なところがめちゃくちゃおもしろいですね。
安定していってるどころか、どんどんグラグラになっていく。不安定で、危なっかしくて、今にも足を踏み外してしまいそうな捨之介。
ところが、以前の感想からずっと続けている「天魔王に敗北する捨之介」という像を描くとなってくると、この不安定さが妙にかっちり嵌ってくるんですよ。
 
やっぱりね、捨之介という役柄は或る程度年齢を重ねた人間にしか適合しないと思うし、上弦捨もそのあおりを受けてるとは思います。単純な捨之介というキャラクタにおいて、肉体・ビジュアルでの説得力ではどうしても下弦に勝てない(下弦捨がほんとうに、二人別役軸の捨之介ラインでは適合しすぎてて怖いレベルのハマりっぷり…というのもあるんですが…)。
 
一方で、この「地獄を知らない捨」という役柄には、捨天蘭でも一番年下で本当に若い彼が適しているのかも、と感じてくる。
私は、髑髏城の七人という物語のなかでは、捨之介が正義・天魔王が悪という構図は揺るがないものだと考えています。
天魔王は悪いやつだし、蘭も悪いやつだし、捨は人のために動き続ける本当にいいやつです。
だけどそれは、捨之介が「正しい」ということにはならないんですよね。
 
捨之介はほんと頑張ってていいやつなんですよ。私は捨之介の、人を傷つけるぐらいなら自分を傷つける優しさが大好きで、そういうところにめちゃくちゃ執着して捨之介のオタクをやっています。捨之介のオタクです。捨之介のオタクです!!!!
そのうえで、やっぱ捨之介って圧倒的な正しさを持った人間ではないんですよね。
なんなら月は、ちょっと自己中心的だなと感じるところもあるぐらい。
 
天魔・蘭兵衛は捨之介を理解しないように、捨之介にもまた、捨之介の見えている世界しか見えていないんです。
前述した「相互不理解」の根幹は、捨之介が優しすぎるゆえに「人を傷つけられる人間を理解できない」という部分にあるんですよね。
捨は悪くないよ。天魔と蘭があんなん拗れすぎだし、あっちが悪いし、ほんと捨悪くない。でも月捨が正しいかというと、うーーーーーーんちょっと怪しい…ですよね…。
 
そして、自分が正しくなかったことに捨之介も気づいているはずなんですよ。
これまでの髑髏城にあった最後に捨之介が「名前を捨てる」流れ、月でなくなりましたけど。
あれはやっぱり、捨之介が自分の罪に気づいて、それを「背負う」ことを決めたからなんじゃないかと思う。
 
「浮世の義理も昔の縁も、三途の川に捨之介」は劇中で複数回出てくる台詞ですが、最初と最後(家康に捕縛される手前)では、全然意味合いが違う。
最初は、口ではそう言ってても何も捨てられちゃいない男の語る台詞だった。
最後は、本当に浮世の義理も昔の縁も、自分のせいで断ち切ってしまって、生きていく意味を見失った男の語る台詞になった。
「捨之介」という名前が持つ意味合いを、その重みを、本当の本当に意識して背負っていこうと決意したから、月の捨之介は名前を捨てないまま去っていったんじゃないかなぁ。
 
それでもやっぱり、私はどれだけ辛くっても他人を傷つけないように剣を振るいつづけた捨之介のことがとてもとても好きだなと思います。
捨之介ってほんと愛しいな……捨之介…愛しいよ……お米券贈りたい……
 
【天魔王】
キャスト発表時は「強そうすぎる」「病死してもらわないと」「薬をのませよう」とさんざんなことを弊TLで言われていた太一天魔王。一ヶ月経った今では「まだ首がすわってないの」「優しくしてあげて」「赤ちゃんなんです」などと言われているのでもうめちゃくちゃ。私も二幕見てる間は脳内で太一天魔を抱き上げて「助けてくださーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!」ってやってる。(これは世界の中心で愛を叫ぶごっこを夏のステアラでやっていた鳥捨之介とがんてっさいごっこです)(おじいさん鳥はもう終わりましたよ)
 
前提として天魔王は悪いやつ。もう一回。天魔王は悪いやつーーー!!!!!!!!!
そして天魔王は許されてはならない。もう一回。天魔王は許されてはならなーーーーい!!
 
許したいよな。もう許してあったかいもので包んで爆睡するまでふとんにつっこんでおきたい。
悪いやつでもいいからうちで匿ってやりたいですよ。
大丈夫私じゃなくて蘭が世話するから。(めちゃくちゃ嫌がられる)
 
もうそんなこんなで、見てる間のこっちの情緒がめちゃくちゃになってしまう。
3人目天魔は、感情の起伏がわりあい抑えめ。相変わらず、口説き方がめちゃくちゃにうまいとかではなく、感情に任せた力押しで人を操っていく天魔王。感情爆発はほんとうに最後の最後までとっておかれている感じですね。
 
月天魔王は鳥と近しいキャラ造形何だと思ってたけど、やっぱ上弦は「女性的な執着」が根本にあると思うなぁ。
鳥天魔王・下弦天魔王が執着しているのは「織田信長という器」なんですよ。その存在の強大さ・厳かさに執着し、その「器」の再現をしようとしている。「天」という概念を身に下ろそうとしている。
 
でも上弦天魔は、織田信長という人間」に執着しているんだよなぁ。織田信長という人間を愛していて、その愛した信長と共に生きる方法を「天」として生きていくことしか知らない。織田信長の遺したものを身に纏い、自分こそ天だと名乗る。
やっぱりね…やっぱりね「情炎の天魔王」ですよ。上弦は。歴代天魔王というより、ワカ蘭に近いかもしれないな。正直政治とか国盗りとかそんな興味ないんだわ。信長がそうやってたから、それをなぞってるだけなんだわ……。とはいえ、それでもなぞれてしまうところが彼の能力値の高さなんだけど。
 
あとね、上弦天は「わかってほしかった」んだと思うよ。
鳥・下弦は「お前には俺のことなんてわからないくせに」「俺のことなんてわからなくていい」だったけど、上弦は「お前には俺のことなんてわからないくせに」からの「だからわかってほしかった」があったと思う。
どこかで、捨之介は俺を理解してくるかもしれない、と考えていた、かもなぁ。蘭には期待していないだろうけど、捨には可能性を感じていたかもしれない。
 
「他のものの手に渡るぐらいなら落ちてしまえ」と冒頭で城を燃やす彼だけど、自殺もそういうことなのかもしれませんね。天が手に入らないのであれば、死んでしまうほうがまし。あと自ら刀で腹をさばくのもね……ワカでは「腹を天の字でかっさばいて死ぬなんてあのお方(信長)にしかできない」と捨が発言するシーンがあったので、どうしてもそことリンクしてしまってそうか…そうかぁ…となってしまう。燃え盛る城で踊りながら生まれた(字面おもしろすぎ大事件)天魔王が、腹を自ら捌いて自害で死ぬ。最後の最後まで信長をなぞりきったんだな、と思う。
 
特に上弦は、仮面を剥がされてからがボロボロで。本当に小さくてしょうもない自分を見てほしくないという気持ちが強くって、でも捨之介が天魔王に望む「自由」とはその小さくてしょうもない自分だから。捨之介を見ていると「誰もがこういうふうには生きられないよ」って思っちゃうんですよね。私なんてどーしようもない人間だし。オタクだし。チケット増やすのやめられないし。だから天魔王に入れ込んじゃって、辛くなっちゃうんだよな。

本当に醜く、憐れに死んでいった天魔王だったけれども、それゆえ胸をえぐられまくってクレーターをあけられてしまう……。

 

あっ月ってそういうこと…?

 
月髑髏戯曲の二幕タイトルがす……っごいんですよ。まだ見てないひと早く見てほしい。
あれを見ると、月髑髏に置ける天魔王という存在に対して「ああ…そうかぁ…そうなのか」ってなるので、絶対買ってほしいし読んでほしい。中島かずき先生に印税を振り込みたい勢としても買ってほしいのでここには載せないです。
みんな!!!かずき先生に印税振り込んでねーーっ!!!!!
 
【蘭兵衛】
みうらんべ正直好きになりすぎてきてしまってヤバい。
終始情緒が正の方向向いたまま好き!!好き!!!嬉しい楽しい大好き!!!!!!!!!!!!!!!ってなる(JASRAC未申請)
 
初日⇒えっ!?かなり良いな
二回目⇒あれ?なんかめっちゃ良くない?
三回目⇒アアア〜!?すっげすっご良くない!?
四回目⇒……っべ……やっべーぞおっとう!!!!!!!!!!!!!!
 
ぐらいの温度感で好きがアツくなっていく。好きでしょこんなん。好きだわこんなん。
 
どんどんクローズZERO感が増していくんだけど、なんかみうらん…潔くていいな…って気持ちになってる。
上弦は捨も天もグチャグチャだから、そのなかでみうらんが意志を通して、自分の責任で死んでいくの、卑怯だけど爽やかで気持ちがいいよ。上弦の危ういバランスを、ギリギリ破綻しないよう踏み留めさせてくれていると感じます。
 
ていうか序盤はクール系かな〜?って感じだったのに、最近ではおっとうが出てきたあたりで、女たちをすっとかばったかと思ったら、兵庫とおっとうの話が気になるみたいで野次馬根性丸出しで覗き見してたり、でもやっぱおっとうが寄ってきたらそっと極楽を下がらせたり…みたいなことするから、えーーーーーー!!!!無界のことめちゃくちゃ好きじゃん;;;;ってなっちゃう。鳥もなんだけど、無界のこと好きそうな描写をダイレクトに入れられるのがとっても辛い〜;;;
 
序盤は落ちてから女性感強めてた気がするけど、それもなくなってきたことによって、一本筋がきっちり通ったと思います。蘭にありがちな「え、なんでそうなったの?」が割りと和らいでる気がする。もうわたし蘭見すぎててわかんないんだけどね(髑髏城あるある・見すぎててもうよくわからない)
 
男性に振った蘭が大好き勢としてはみうらんべだいぶボーナスタイムですよ。超ボーナス。
なんか好きすぎて逆にあんまり自己解釈掘り下げるタイミングないな?って思う。余地はあるんだろうけど、見てるあいだの私、蘭兵衛さんの豚だから。あーー好き!!アクションが超大ぶり!早乙女太一監修済みだけど本人よりダイナミック!!ハリウッド!!顔のきれいなゴリラ!!!!!ここは世界一美しいサファリパーク!!イエーーッ!!みうらんべサイコーーッ!!!!
この項目だけ違う芝居見てきたみたいになってるな……つまりみうらんべが最高ということです。みうらんべは髑髏城の七人月〜最高の月〜に出ているので……ここだけ上弦の月の感想ではないです!!!!!!!!!!!!!!!
 
なに言ってんだろうな。
次はもうちょっとまじめなこと書けるようにがんばります。
 
【霧丸】
うっかり霧丸のよかったところを前述部分で書きまくってしまった。
24日は声が潰れかけてしまっていたのか、だいぶ危うくトーンも抑えられていたのでちょっと残念でしたが、17日がめちゃくちゃ良かったです。序盤は沙霧⇒霧丸の変更の意図を読めなかった自分も、やっと「ああ…霧丸いいなあ」となってきた。
 
平間霧丸は間のとり方が本当にうまいですね。グッと来る間がいっぱいある。下弦ほど我武者羅でひたむきな感じではなく、本当に年頃の男の子って感じの霧丸だけど、要所に「敏い子なんだな」と感じる部分があって……やっぱこの子は沙霧なんですよ。性別は変わったけど、根幹は沙霧から変わらない。
 
最後、捨之介に手を握られてお礼を言われたあと、その手をぼうっと見つめる霧丸。え???恋?????????ついに恋が始まってしまった????と焦ったけど冷静に考えたら霧丸のキーワードは「手」だったもんなぁ。太夫に「いい手」と褒められた霧丸の手。でも、その手が結果的に一族を殺めてしまうこととなった手。その手を握って、お礼を言ってくれた捨之介。あの瞬間、霧丸のなかに「捨之介の城を作る」という気持ちが強まったんだと思う。捨之介が救った霧丸が、捨之介を救う。というのは本当に美しいんですが、捨之介を救うことによってやっぱり霧丸がもうひとつ救われていると思う。誰かを救うためにその手を使えてよかったね。
 
彼の作ろうとする「城は」ふらふらとどこかに行ってしまいそうな捨之介を繋ぎとめるための場所であり、霧丸がもう一度、過去ではなく明日に向かうための場所になるのかな。
お正月の間で声を休められるといいなぁ。次見るのが一番楽しみなのはココかもしれない、というぐらい期待値が高まってます!
 
 
【兵庫】
すが兵庫確変してない!!!!!!!!!!!!!?????????????
正直ここが一番確変してる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!と思う!!!!!!!!!!!
 
初日は正直、うーんかっちんの兵庫見てるんだろうな…と思っちゃったんだけど、今はちゃんとすがくんなりの兵庫になっていると思います。とにかくまっすぐ、純でかわいい。相変わらず無尽蔵スタミナで声を張り上げ続けてぴょんぴょん動く。かわいい。
 
兵庫の存在って髑髏城でかなり重要というか、この役柄によって作品のテンションが左右されているぐらいのものだと思うんですよねー。のですが兵庫がテンポ感のコントロールをしはじめて、だいぶ作品のテンション・速度が変わったと思います。下弦みたいな完璧進行管理ぶりとは違うけど、これはこれで上弦のテンションにあってる。
 
しかしほんとに動きまくりなんですけど、あまりに飛ぶのでたまに「これが噂のハイステ城の七人くんですか…」という気持ちになってくる。怪我しないでくれよな!!!!
 
【極楽】
え〜〜もうほんとにほんとに好き。上弦極楽、わたしとしては花鳥風月ナンバーワンかもしれないぐらい好きになってしまった。
 
月髑髏の主人公はね、捨之介・霧丸・極楽だと思う。
月髑髏は「辛くても醜くても生きている」という物語だから。聖子さんは、私は本当にいつまでも美しくって素敵な役者さんだと思うけれども、それでもやっぱり年齢はある程度重ねてらっしゃって……そういう人が、完璧な美しさでなくとも「ものすごく美しく見える」っていうところ、月髑髏に合ってるんだよね…。
 
極楽は「地獄を知っている」から。それでも越えてきた人だから。
だから、いろいろな人の気持ちがわかるんだと思う。わかってしまうからこそ、蘭兵衛を送り出した。
これまでの極楽って、蘭を「止められなかった」って意味合いが強かったけど、月は「送り出してしまった」って感じですよね。あなたの好きなようにしてもいいんだよ、って。でもそれが娘のようにかわいがっていた女たちを殺してしまうことになって……それはそれは辛くて、苦悩したと思う。
 
蘭との年齢差を思うと、なんなら「蘭兵衛」という名前を与えてくれたのは極楽かもな、と感じます。
そして、それに対しての蘭からのお返しが「極楽太夫」だったのかも、と。
極楽が蘭を呼ぶときの「蘭兵衛」がものすごく優しいので、なんかそんなこと考えちゃうな。いや〜もうつれえ。ただひたすらにつられえ。
 
聖子さんはとにかく声の芝居がうまくて、声の芝居だけでも泣きそうになる。というか泣いちゃう。
「蘭兵衛」「蘭兵衛さん」の声変遷がほんとうにほんとうにすごくて、いつも苦しくなるし、涙声になるところも胸を打つ。
 
あと、捨之介の語る言葉を「道理だ」と蘭に行って聞かせて、そのあと「所詮外道だ」と拒絶された極楽が「道理なんて関係ねえ」という信念で戦う兵庫と一緒になる流れ好きだな。好きだな……
 
 
いやーーーほんと上弦 なんかね 正直上弦は下弦ほどの安定感なくてハラハラするところもあるんだけどね
でも完璧なものを見たかったらいのうえ歌舞伎のなかでも髑髏城でなくともいいしね、まああと、リピーター的には花鳥風月通してだいぶきれいな髑髏城だって見せてもらったからね、もうあとは若い子たちで好き勝手やってくれって感じですよ。すごくいい意味で「好き勝手やってくれ!」って思う。いいぞいいぞ髑髏党員の感情をそのままグチャグチャにしつづけろワッハッハッハッハ!!!
いいよいいよ もうなんなら髑髏城をやろうとしなくたっていいよ!!!!つらい城のつらいだもんなこれ!!!
 
下弦が安定してしっかりとしたつくりの髑髏を見せてくれている安心感もあるよね。
カラーが本当に違うので、交互に見る楽しさがすごい。でもやっぱ、下弦そろそろ観たいですね。宮野捨が観たい。安心安全の太ももが観たい。ふくしくん捨の最大の弱点は太ももが折れそうなところだと思ってますね……マジで間違って太一天が折っちゃわないか不安なので最後まで無事でいてほしい……太くあれ福士くんの太もも……もづやまは福士くんの太ももを応援しています…